散歩をしていると、いくつも見かける自動販売機(以下、自販機)。日本には、494万台の自販機が設置されていると言われ(出典元: 2016年 一般社団法人日本自動販売機工業会)、そのうち清涼飲料水を販売するために利用されているものが240万台(出典元2: 2018年 一般社団法人日本自動販売機工業会)。たばこの自販機は、「taspo(タスポ)」の導入後に減少しており、13万台ほどだそうです。(出典元3: 2019年 一般社団法人日本自動販売機工業会 )
ジュースやたばこはもちろん、駅や食堂で見かける券売機、お菓子や軽食を販売するものなど、きっとみなさんそれぞれに「自販機」という言葉から思い浮かべるものがあるのではないでしょうか。
最近では、洋服やゲームカードのポップアップストアに自販機が使われたり、マスクやPCR検査キットを販売したり、「あなたの夢が買える」とうたう怪しさ満点の1000円でくじ引きを楽しむ自販機まで出現。新型コロナウイルス感染症の拡大による非接触販売に注目が集まる今、自販機をひとつの仕組みとしてさまざまなシーンで利活用するポテンシャルが高まっているかもしれませんね!
greenz.jpでは、これまで世界各国に設置されたユニークな自販機をいくつも記事化してきました。今回は、コインを入れた途端に、新たな価値観やつながりへの出会いを提供してくれるものに絞って、まとめてご紹介していきましょう。
ジャンクじゃないファストフードを見つけに行く
ファストフード店が立ち並ぶフードコートの一角に置かれたFarmer’s Fridge。自動販売機の中には、ボトルに入った芸術的で色鮮やかなサラダやお惣菜がいっぱいに並べられています。その魅力は何といっても、種類の豊富さと美味しさ、栄養価の高さ。高タンパク質サラダやデトックスサラダ、レモン豆腐やレモンペッパーチキン、ギリシャヨーグルト&ベリーなど、聞いているだけでもお腹が空いてしまうようなメニューばかり!(続きはこちら!)
近所までやってくる、容器持参マストのスーパー
2012年に設立された「Algramo」は、大手消費財メーカーUnileverと提携して、三輪電気自動車を活用し、石鹸と洗濯洗剤の中身のみの移動販売を試験的に導入。
販売車には、自動販売機が搭載され、再利用可能なペットボトルへの詰め替えを提供。1週間に市内の決まったルートを巡回し、週末にはリサイクルセンターなど特定の場所に設置されます。(続きはこちら!)
喉を潤したいあなたに渡される、決して飲んではいけない水
「発展途上国に清潔で安全な水を提供しよう」とUNICEF(ユニセフ)が、2016年まで展開していた募金キャンペーン「DIRTY WATER Campaign」。彼らが、ニューヨークのど真ん中に設置したのは、なんと汚水の自動販売機!「DIRTY WATER」と名付けられ、1本1ドルで、「マラリア」、「コレラ」、「腸チフス」、「デング熱」、「肝炎」、「赤痢」、「サルモネラ」、「黄熱」の8種類の病原菌から選び、ペットボトル入りウォーターが買える、という“ブラックジョーク”のようなマシンでした。(続きはこちら!)
感動の再会を演出する、つながりのシンボルをつくる自販機
ヨーロッパ最大級のハブ空港である、アムステルダムのスキポール空港のゲートに置かれたある自動販売機。なんと自分で好きな言葉やフォント、サイズを選んで自分だけの旗をプリントすることができるのです! お値段は1枚3.95ユーロから。手頃な値段で日常の一コマを特別にすることができますね。
新型コロナウイルスにより、なかなか会えなかった外国の友人の再会の瞬間をきっとドラマチックにしてくれることうけあい!(続きはこちら!)
非接触なのに強烈にエモい、人の心をつなげる自販機
人々の心をつなげるためにコカ・コーラ社が取り組んだキャンペーン「Open Happiness」。使われたのは「Small World Machine」と名付けられた2台の自動販売機。インドとパキスタンのショッピングモールにそれぞれ1つずつ設置され、タッチスクリーンとカメラを通じてリアルタイムで二国間の人々を結びつけます。
そこではお互いの様子を見れるだけではなく、スクリーンの向こう側の相手とペアとなって取り組む簡単なリクエストが出されます。ダンスをしたり、お互いの写真を撮りあったり、一緒にハートマークを書いたり…無事クリアすると、無料でコカ・コーラが手に入るという仕組みです!(続きはこちら!)
Withコロナの時代が始まって以降、置き配やクレジットカード、電子マネー決済を用いた非接触での商品購入をするようになった方は多いのではないでしょうか。現金以外で購入できる自販機が増えいま、自販機は非接触経済活動の究極形。利便性の一方で、人間の温度感が徹底的に省かれた買い場とも言えるかもしれません。
そんな自販機が、健康的な食生活への転換、家族や恋人同士のつながり、さらには政治対立を乗り越えるきっかけをつくっているという5つの事例を知ると、なんだかカウンターパンチを食らったかのような痛快な気分を味わいました。
どこにでもある、生活に浸透しきった販売システムに、「どう応用できるか?」と試行錯誤して行き着いたアイデアを魔法としてふりかけることで、ワクワクする未来へ歩む冒険の出発点にできる。非接触という、このご時世ならではの利便性をいかしつつ、そのイメージを反転させるようなアイデアで「つながり」をつくる。そんなインパクトがきっと大事なのではないでしょうか。