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壁はコンクリートじゃなく木々で覆いつくせ! ミラノ発、5,800本の木と暮らせるタワーマンション「Vertical Forest」

まちと森がいかしあう関係が成立した地域社会を目指し、竹中工務店、Deep Japan Labとグリーンズの共同で運営している「キノマチ会議」。今回は、海外のサステナブルな建築事例をご紹介します。

世界中で行われている、都市開発。日本も大きな都市では大規模な再開発が行われ、まちの風景は変わりつづけています。

都市開発が人々の暮らしを便利にする一方、人間と自然の関係をはぐくむ場所は、見つかりにくくなっているかもしれません。

今回は、自然と都市が美しく同居し、「いかしあう」関係がつくれているまちづくりの事例をご紹介します。それが「Vertical Forest」です。

日本語で直訳すると「垂直な森」。垂直に伸びる建築に所狭しと木々が育っています。

イタリアの建築家・Stefano Boeri(以下、ステファノさん)が設計した「Vertical Forest」は、2014年にミラノで建設され、2020年にはエジプトにも建設が予定されています。

ステファノさんは自身の建築事務所のウェブサイトで、

コンセプトは「植物たちの家、そして人と鳥たちの家」。「Vertical Forest」は人の生活だけでなく、人と生き物との関係性を大切にしながら、生物多様性のある建築を模索するプロジェクトなんだ。

と語っています。


さまざまな視点から建物が眺められる映像はこちら!

また、植えられている植物は機能面でも効果があるそうです。建物に植えられた約5,800本の木と15,000本もの植物は、太陽光を適度に跳ね返すことで断熱の効果があるだけでなく、湿度の調整にも一役買ってくれるそうです。

環境面でももちろん優れており、建物全体で年間約30トンの二酸化炭素を吸収し、約19トンもの酸素も生み出してくれるそうです。

ステファノさんはCNNのインタビューで、「Vertical Forest」は地球温暖化への有効な手立てだと語っています。

「Vertical Forest」のように都市部のいたるところで緑を増やしていくことは、地球温暖化を止めるためにもっとも有効な手段のひとつだと思っています。都市部での解決策は、ガーデンや屋上庭園だけじゃないはず。建物の壁にも緑を植えたらいかがでしょう?

自然と切り離された都市部で暮らしていると、まるで人間が中心となって世界が回っているかのように錯覚してしまうことがあります。地球の変化を見過ごし、環境問題がここまで逼迫してしまった理由のひとつには、人と自然が遠く離れ、自然のSOSに気がつけなかったということもあるのかもしれません。

日々の生活から自然と共に生きている実感を持つことが、環境問題を解決に導いてくれるのかもしれませんね。

[via stefanoboeriarchitetti.net, edition.cnn.com, edition.cnn.com]

(編集: あいだきみこ)

– INFORMATION –

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