自分史、という言葉を聞いたことはありますか。
もしかしたら聞いたことはあっても、人生の集大成として年配の方が書くもの、という印象があるかもしれません。でもどんな年代の人も書くことができ、さらに書く過程で過去に向き合いながらも、結果として自分の未来を豊かにしてくれることがあるんです。
自分が「監督・脚本・主演」の作品
いろいろな時代を生き、様々な人間関係の中にあって、たくさんの気持ちを体験してきた自分というひとりの人間。そこには必ず物語やドラマがあります。
その物語を、客観的な視点を持って記した「自分が監督・脚本・主演」の作品が自分史です。だからアウトプットの方法も自由。
たとえば
SNSの投稿はまさに「3」ですね。
目の前の出来事をツイッターにつぶやく時、私たちは実は小さな自分史を書いてるんです。
もっとしっかり自分史を書いてみたい方のために、書き方を手順別にご紹介しましょう。
自分史の書き方
1. 過去の棚卸しをする
過去にどんな出来事があったかを思い出して整理してみましょう。そのときに、年表のようなものを用意すると、とりかかりやすいかもしれません。
例えば、年代別に、何歳のときどんな「社会のできごと」や「学校や仕事でしたこと」「家族の様子」があったのか、思い出せる限り、振り返ってみましょう。
ここで心に留めておきたいのは、全部をさらけだす必要はない、ということ。
自分に対して客観性をもつことや、作品のような仕上がりを意識することが大切なので、苦しい過去や恥ずかしい思い出など、全てを他人に明らかにする必要はありません。あくまでも、自分の身に起きた「事実」に向き合うことだけでいいのです。
2. シーンとテーマを選ぶ
次に、切り取るシーンを選びます。
例えばある年代に特化して「私の20代」としたり、キャリアパス(※)を切り取った「私の仕事史」とか、家族の項目を追った「家族の歴史」など人生のどの部分を切り取るか、どんなテーマでまとめるのかは自由に決めてみてください。
大切な1日や瞬間を記録するのもいいでしょうし、最高に幸せを実感した時や、逆にあえて苦悩の時期を振り返るなど、広い意味で自分をつくった時間を見つめてみます。
(※)キャリアの道筋を意味します。目指す役職に向けて、どのような仕事をどれぐらいの期間経験すればいいのか。そしてその役職には、どのような職務遂行能力が必要とされるのかを明確化したものです。
3. 書いてみる
さあ、いよいよ脚本家になったつもりで、選んだシーンを言葉にしていきましょう。
5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)の説明とともに、時代背景や五感(見たもの、音、におい、味、触感)の情報を盛り込むと、より臨場感のある文章になっていきます。
文章の最後は、当時の心情や、振り返って現在どう解釈しているか、で結びます。
こうして事実に心情描写を加えることで、シーンが締まるのです。
いま起きていることも、自分史の1ページになる
自分にフォーカスする時間ですが、自分自身を客観視して書くことで見えてくるのは、社会や他者との関係性。自分と社会とのつながりが、これまでよりはっきりと意識できるようになります。
過去を振り返ることは、「これからの自分はどうありたいか」を考え、「どういうストーリーで生きていくか」をデザインしようという未来への心持ちへと導いてくれます。
「いま起きていることも将来の自分史の1ページになる」という感覚をもてたら、より楽しいドラマにするための選択をすることも叶いやすくなり、ちょっとした失敗に悩むこともなくなるかもしれません。
どう生きていくか、自らの指針を見つけるツールとして、自分史を書いてみませんか。
– NEXT ACTION –
より興味が出てきた方は、今回お話をうかがった自分史活用アドバイザー・柳澤史樹さんの活動も併せてご覧になってみてください。
(取材協力: 柳澤史樹)
(協力: NPO法人トランジション・ジャパン)