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映画『37セカンズ』はみんなの話。尊厳を問う映画を観て変化した意識とは

「すごい映画だ…」

最後のエンドクレジットを眺めながら浮かんだのはこの一言だけ。あとはうまく言葉にならなかった。しかし、そのまま無言でプレス試写室を出るときは逆に、あれやこれや色んな思考で頭がいっぱいになった。

映画『37セカンズ』は、脳性麻痺という障害を抱えながら生きる女性が主人公だ。2019年初めに、史上初のベルリン映画祭2タイトル獲得というニュースが入った。その後も次々と世界の映画賞で話題に上がったり、海外のNetflixでは先に配信されるとも聞き、早く日本にも来てほしいと願っていた本作がやっと日本でも劇場公開となる。

障害をもって生きる人をテーマにした映画は多くあるが、この映画をそのひとつに分類することには躊躇する。なぜならこれは、障害者の映画という姿をした「人間の尊厳」の話だからだ。主人公のユマは、性的な気づきや自立を通して自己成長の道を歩んでいくが、その姿は、少しでも良い自分でありたいと願う気持ちに障害は関係ないと気づかせてくれる。

個人的にはこの映画を観て以来、障害者と健常者という区別さえ意味を感じなくなってしまった。この世に”完璧な人間”がいないのであれば、みんな言葉通り等しいはずだ。また、後天性や事故による障害を思えば、障害者の社会性は誰にとっても他人事のはずがない。

わたしたちは、無意識に「色メガネ」を通して見ていることはないだろうか。
誰かの歩みを「ゆっくり」だと思うか「遅い」と思うか、はたまた、特に何も気に留めないのか。いずれにしても人は、相手ではなく「自分の見方」をしていることに気づいたとき、初めて色メガネの存在を自覚するのだろう。
 
ユマの細い声には、力がある。社会について、人生について、大切な物事について、自問を始めさせる力だ。あなたはユマの成長に、自分の何を重ねながら観るだろうか。

– INFORMATION –

『37セカンズ』

監督・脚本:HIKARI
出演: 佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、宇野祥平、芋生悠、渋川清彦、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり/板谷由夏  
2019年/日本/115分/原題:37 Seconds/PG-12/配給:エレファントハウス、ラビットハウス/ (C)37 Seconds filmpartners
挿入歌:「N.E.O.」CHAI <Sony Music Entertainment (Japan) Inc.>
2020年2月7日、新宿ピカデリー他全国順次ロードショー