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ソーヤー海が語る「パーマカルチャー」の魅力。それは「自分がどう暮らしていきたいか」に対して、「いますぐできる何か」を積み重ねられること。

ハロー! ソーヤー海だよ。今日はこの連載で何度も登場している、パーマカルチャーについて紹介するよ。

パーマカルチャーとは、ひと言で言うと、デザイン作法のこと。食や電力といった一部ではなく、生活に必要なすべてをホリスティックにデザインするやり方のことなんだ。

たとえば、自分が暮らす場所と職場が遠いと、お金とエネルギーと時間が毎日ロスしていくよね。でも、全部が統合されてうまくかみ合っていたら、お金と時間とエネルギーが余る。そうやって、どうやったらより豊かな暮らしや社会をつくれるかをデザインするのが、パーマカルチャーなんだ。

もともとは1960年代にビル・モリソン(Bill Mollison)とデビッド・ホルムグレン(David Holmgren)という二人が体系化したんだけど、そのきっかけは、現代の破壊的な大規模農業に対する解決策を探るためだった。

僕たちの食糧は工業的に生産されるようになって、健康に害を与える化学物質を大量に散布したり、生きるために欠かせない生態系を崩してしまったりして、環境や伝統的な営みを破壊する要素の大部分を占めている。じゃあ、どうしたら永続可能な(permanent)食糧生産(agriculture)ができるか。さらに、農業だけでなく人間の暮らしそのもの(culture)も考える必要がある。こうしてパーマカルチャー(permaculture)が進化していったんだ。

(ちなみに、自然農を提唱した福岡正信さんや平和活動家の賀川豊彦さん(立体農業)も、パーマカルチャー運動にを大きく影響を与えた人たちだよ)

初めてのゲリラガーデン

東京で見たパパイヤの木

上野のアクアポニックス

といっても、具体的にどうしたらいいのかわからないよね。

すごく簡単な最初の一歩は、トマトでもなんでもいいから植えてみること。そうすると、たとえば「食糧」とか自然とのつながりというリターンが得られるよね。

自信がついてほかの苗を育てれば自給率がどんどん上がって、「めっちゃ新鮮な食べものがタダで手に入る!」という感覚が生まれる。オーガニック食品は売っているところが限られていたり買うと高かったりするし「消費者を脱して自給自足をやる!」って言っても、ほとんどの人にはリアリティがない。 でもパーマカルチャーなら、すぐに結果が得られる大きな世界への小さな一歩を踏むことができるんだ。

小さく自然とのつながりを取り戻していって、より自分が養われる生活のデザインをするのが、パーマカルチャーの大事な考え方のひとつなんだ。とりあえず、何かを育ててみよう!

ミミズコンポスト

2つ目の例は、コンポスト。実は「ゴミ」って自然界には存在しなくて、人間が創造したものなんだ。

一番不思議に感じるのが、生ゴミ(生資源)を捨てる現代社会。 本来なら土から生まれて土に還るのに、僕らはわざわざ石油でできたプラスチックの袋に入れて、石油で走るトラックで収集して、ほとんど水なのに石油を使ってそれを焼却炉で大量に燃やす。

なぜ?
貴重な石油エネルギーとお金を無駄にする意味不明な仕組み。

だけど土に戻したりコンポスト(堆肥化)をすればゴミが肥料に変わって、家で育てはじめたトマトに与えることもできる。都会にいる人には、バクテリアでキエーロやミミズコンポストがオススメ!

持ち寄りごはん

3つ目の例は、SHARE=周りの人たちと分かち合うこと。

都会ってものすごく資源にあふれているのに、分かち合わないから自分で全部を集めないといけない。でも、たとえば「持ち寄りごはん(ポットラック)」をすると、お金では買えない、多様でユニークな豊かな食が創造される。そうやって「みんなが生かし合う関係」をデザインできれば、みんなの出費や労力が減り、人とのつながりも生まれ、安心や信頼も生まれ、多様性と喜びにあふれた素敵な循環が生まれるんだ。

ポットラックって、実は世界中の人が伝統的に行ってきた、コミュニティを養う重要な実践なんだ。

ソーラーオーブン

もっと深い例をいうと、「ムダなエネルギーを見つける」という方法もある。たとえば、エアコン。あれって膨大なお金とエネルギーがかかるけど、太陽光が入るように家を設計すればタダで家があたたまるんだ。

太陽光は元祖フリーエネルギー。僕はソーラーオーブンとかで太陽光で料理(宇宙料理?)とかもしている。そうやって、いまの生活が自分を本質的に豊かにしているかどうかを観察して、必要ないものを買うのを止めて消費を減らしたり、欲しいものを自分でつくったりして、自分が豊かになるように生活のすべてをデザインし直すことを、自分や仲間と実践してみるんだ。

permaculture principles 出典元: https://permacultureprinciples.com/

もう少し詳しく言うと、「多様性」や「エネルギーの循環」みたいに、パーマカルチャーには10個~12個の原則があって、その土台にはなるシンプルで素敵な3つの倫理がある。

(1)地球を大切にすること
(2)人を大事にすること
(3)豊かさを分かち合うこと

(1)は分かるよね。地球が健康じゃないと僕らも生きていけない。僕たちも地球の一部だから。

(2)のポイントは、他人だけじゃなく自分も大切にすること。自分が健康になれば周りの人に喜びのおすそ分けができて、結果的に社会が健康になっていく。

(3)は対等に配分・循環させること。お金でも食べものでも時間でも、自分の豊かさの余剰を恩送りすれば、みんなも豊かになっていくんだ。言い換えると、いまの社会や僕たちの健康まで、循環が滞っているから、いろいろな支障がでているとも言える。

パーマカルチャーって思想だけじゃなくて実践的なデザインの作法だから、結果が出ないと意味がない。議論したり難しく考えたりせずに、とりあえず苗を植えたり食べものをシェアしたりすれば、小さく社会や経済が変わっていくし、少なくとも自分の暮らしと意識が変わっていく。そうやって、「自分がどう暮らしていきたいか」に対して、「いますぐできる何か」を積み重ねることで、豊かな生活が現実になっていくわけで、そこに僕はパーマカルチャーの魅力を感じているんだ。

まあ、「失敗から学ぶ」のもパーマカルチャーの考え方だから、失敗を怖れずとりあえず身近でできるムリのない楽しい一歩を踏むのがオススメ。昨日まで消費の世界にいた人が翌日に完璧な生産者になれるわけじゃないし、消費の楽しさもあるだろうし、いきなり消費しない超ストイックな生活を実践したら家族に逃げられるかもしれないし(笑) だから初めは、小さな一歩。身の丈で、楽しく、気楽にね。

ちなみにパーマカルチャーは、昔はマニアックな人たちが田舎や自然のなかで実践していたんだけど、彼らの実践してきた結果が「現代に必要だ」って受け入れられて、いまでは世界中に広がっているんだ。

オーストラリアやアメリカでは大学でパーマカルチャーを専攻できるようになったり、エコビレッジやコハウジングのコア概念にパーマカルチャーが取り入れられたり、ハイチで大きな地震があったときに、パーマカルチャーの力で社会や生態系を再生したり、ヨルダンの砂漠を緑化するためにパーマカルチャーが用いられたり、ポートランドでは行政を動かすほどの都市レベルでパーマカルチャーを実践していたり……すごい広まり方!

奥が深くってすっごく面白い世界だから、全然伝えたりできないけど、今後はパーマカルチャーを実践している素敵な人たちと場所を紹介していって、一緒に冒険できたら嬉しいな。もしよかったら僕の本『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』(エムエム・ブックス)や、『みんなのちきゅうカタログ』(トゥーヴァージンズ)も読んでみてね!

(編集: 岡澤浩太郎)

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