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超有名な平和活動家で、ものすごいパワー。でも偉そうじゃないし、優しさがにじみ出ている。そんなサティシュ・クマールの姿から僕が学んだこと。

ハロー!ソーヤー海だよ。前回は「シューマッハカレッジ」のツアーについて書いたけど、今日はその創設者のひとり、サティシュ・クマールのことを紹介するね。

サティシュは、ガンディーやビノーバ・バーベの非暴力の思想に共鳴して、世界中で環境運動や社会運動を展開している思想家・活動家。

核廃絶を訴えてインドからモスクワ、パリ、ロンドン、そしてアメリカまで無一文で2年間の旅をしたり、科学とエコロジーとスピリチュアリティを融合させた雑誌『RESURGENCE & ECOLOGICAL(リサージェンス&エコロジカル)』を40年以上編集したり、『君あり、故に我あり』(講談社学術文庫)とかいろいろな本を執筆したり……。僕のあこがれの大先輩であり、世界中の人に影響を与えている超有名な平和活動家!

でもサティシュのすごいのは、そうやってものすごいパワーがあるのに、全然偉そうじゃないこと。主張はあるけど、議論するとすぐに折れるし、誰と話しても普通だし、優しさが滲み出てて、彼といると本当に居心地がいいんだ。いつも微笑んでいるし、ゆったりしてて焦りもないし、何も惜しまないし、いつでもウェルカムで、ただただ気楽でハッピー。自分がいいと思う種を蒔き続けている感じ。その普通さが偉大なんだよね。

というのも、戦争とか環境汚染とか民主主義とか、そういう大きな課題と向き合ってると、どうしてもヘビーになりがちで、人に批判的になりやすかったりもするから。

だけどサティシュは、子どもの頃から非暴力を実践するジャイナ教の修行僧だったりもして、地球の一員としてできることを奉仕するという生き方がはっきりしているんだと思う。根本的に生きていることの喜びに満ちあふれていて、周りに幸せをお裾分けしてるみたいな感じで、愛に動かされて行動することを実践しているんだ。

僕がサティシュと会ったのは、大学の講義に彼が来てくれたのが最初。そのとき面白かったのが、彼が講義を始める前に数百人の学生を見ながら、ただただ笑ってたんだ! 

初めはみんな居心地悪かったけど、だんだんもらい笑いしだして、最後はみんな笑ってた。当時は全然意味が分からなかったけど、いま考えると最高の授業だと思う。ただ笑ってるだけなのに、そうやって自分の幸せを広げることで、みんなや社会が幸せになることを、実践していたわけだから。

そんな風に、自分の心が平和じゃないと、いくら社会運動をやっても社会が平和にならないと、僕は思うようになった。だから社会運動も農業も精神世界も、バラバラじゃなくて全部が必要。それをサティシュは「Soil, Soul, Society」の「3つのS」で上手に表現しているんだ。

これは僕の活動のテーマにもなっていて、彼の思想とやり方を日本の文脈に合わせて自分なりにアレンジして「パーマカルチャーと平和道場」を始めたり、シューマッハカレッジを訪れるツアーを毎年企画したりしている。

サティシュから学んだことは本当にいろいろあるけど、ポイントのひとつは「融合させること」かな。

たとえば『リサージェンス&エコロジカル』で科学と精神性を融合したり、「シューマッハ・カレッジ」で東洋的なアシュラムと西洋的な大学院を融合したり、核廃絶の旅をしたときも核保有国の首相に会いに行って「ミサイル発射のボタンを押す前に、まずこの平和のお茶を飲んでください」と誘ったりして、脅威を与えたり敵をつくったりしないで、優しくお誘いしながら、普通なら分離してしまうものを融合させているんだ。

漠然と祈るだけではなく、ちゃんと足を運んで行動して、より多くの人が後に続けるようにインフラをつくっている。

もうひとつは、「生きる」ことの意味。一般社会ではお金やモノ、知名度や地位みたいに物質的・社会的なものを求めて、資本主義のなかでサバイバルするのが「生きる」ことだよね。

だけどサティシュは「人生は巡礼である」って言うんだ。つまり、自分がどういう人間なのかを知り、自分を愛することができれば、自由になり、苦しみから解放される。いくら収入が上がっても、そこと向き合わない限りは短絡的な解放でしかないんだ。どんな風に言っているかというと、こんな感じ。

人生とは巡礼です。私たちはみな巡礼者です。自らの一歩一歩を意識し、丁寧に足を運びます。その一刻一刻がいまここにある自分です。その一刻一刻が奇跡です。

(中略)

重要なことは、自分が巡礼者として、旅をしているということ。そしてそのことに大いなる感謝を抱くことです。だから私のように、重荷を背負わず、軽々と行こうではありませんか。いま、ここを生きることが、そして、奉仕することが、自由であり、解放なのです。成功を求めてはいけません。ただ、いま、ここにおける充実を求めましょう。

(出典元: 『サティシュ・クマールのゆっくり問答 with 辻信一』13ページ

サティシュは自分が学んできたいろいろなことを僕に教えてくれるし、機会やお誘いや資源も提供してくれるし、それが彼自身の学びや成長につながっている。僕は僕で、若い世代としてバトンを受け取って活動を続けているし、日本という土地で新たな動きをつくっていることはサティシュにとっての希望にもつながっていると思う。僕らは深いところでいつも一緒に活動しているんだ。だから僕たちは、平和を育てる家族みたいなものかな。

もし興味を持ってくれたら、サティシュ・クマールとビノーバ・バーべの2人の本、『怖れるなかれ(素敬 SOKEIパブリッシング)』がオススメ。ぜひ読んでみてね!

(編集: 岡澤浩太郎)

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この度、編集の不手際により、サティシュ・クマール氏の発言の出典元である書名が記載されておりませんでした。出版元の「SOKEIパブリッシング」さま、著者のサティシュ・クマールさま、辻信一さまに深くお詫びいたします。今後、同じミスが発生しないように留意します。大変ご迷惑をおかけしました。
greenz.jp編集部

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