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後を絶たない黒人へのヘイト投稿を、AIが自動で次々とアフリカへのポジティブ投稿に変換!「Go back to Africa」

何気なくスマホでSNSを見ていて、不意に、酷く差別的な投稿を目にしてギョッとすることがあります。

思ったことを気軽に手のひらから世の中に発信できる快感は、ときに人間のネガティブな感情を煽り、社会に不穏な影をもたらします。何より怖いのは、ヘイトにたびたび触れることで、心が麻痺し、結果的に差別や暴力的な言葉を容認するような空気ができていくこと。

SNSでヘイトがはびこるのは日本だけではありません。世界各国が共通して持つ課題となりつつあります。そんななかヘイトツイートを少しでも減らしたいと、カナダの黒人コミュニティ向けの旅行サイト「BLACK & ABROAD」があるアクションを起こしました。

北米では3分に1回の割合で発信される言葉があります。それは、“Go back to Africa(アフリカに帰れ!)”。奴隷としてアフリカからアメリカ大陸に連れてこられた過去を持つ黒人に対する侮蔑として定番となってしまっているフレーズです。

後を絶たないヘイトツイートに対抗して企てられたのが、AIを駆使した、エレガントな自動投稿システム。

それはこんな仕組みです。
Twitterに“Go back to Africa”というフレーズが含まれたツイートが投稿されると、AIが自動で検知。“Go back to Africa”というところだけ残し、悪意に満ちた他のテキストは黒塗りにした画像を、アフリカの美しさや多様性を感じさせる写真を背景にして、BLACK & ABROADがツイートするというもの。

つまり、「アフリカに帰れ!」というフレーズが含まれたツイートが投稿されるたびに、アフリカへのポジティブな関心が湧き、旅へと誘う広告が流れるのです。ヘイトのパワーを弱めるのはもちろん、むしろ逆手に取ってアフリカのイメージアップへと転換するという、実に巧妙で、したたかな作戦ではありませんか!

このアクションはさまざまなメディアで取り上げられ、「BLACK & ABROAD」のウェブサイトでアフリカの写真を募集するなど、たくさんの人の参加を促す動きに発展。アフリカへの興味とレスペクトを高めることに成功しました。

TwitterなどのSNSでは、時に、売り言葉に買い言葉のようなかたちで、罵倒の応酬になりがち。でも、このように肩透かし的なアプローチで切り返されると、ヘイトな投稿をする方も萎えてしまいますよね。

投稿すればするほど、ヘイトの対象へのポジティブな関心がどんどん高まっていくとしたらなおさらです。しかも、ちゃっかり本業である観光の広告につながっているのですから抜け目がないですね。

ネガティブな言動を勝目から受け止めるのではなく、ひと呼吸置いてみる。そして、ウィットやちょっとしたイタズラ心で眺めてみる。すると、前向きな火消しのアイデアが浮かんでくるかもしれませんね。熱くなったときこそ、視点を変えてみましょう。

(翻訳協力: スズキコウタ

こちらの記事は「greenz people(グリーンズ会員)」のみなさんからいただいた寄付をもとに制作しています。2013年に始まった「greenz people」という仕組み。現在では全国の「ほしい未来のつくり手」が集まるコミュニティに育っています!グリーンズもみなさんの活動をサポートしますよ。気になる方はこちらをご覧ください > https://people.greenz.jp/