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あなたの仕事や会社のソーシャルデザイン活動はSDGsにつながっている?社会貢献活動の先進企業・大阪ガスの「SDフォーラム」から見えた、私にもできる明日への一歩。

2013年春にスタートし7年目を迎えた、大阪ガスとgreenz.jpのパートナー企画「マイプロSHOWCASE関西編(以下、マイプロ関西)」。greenz.jpでは、関西で活躍するNPOやソーシャルデザイナーを約90組取材し、ご紹介してきました。

また、Daigasグループ社員がソーシャルデザインの認識を深めることを目的に毎年開催する「ソーシャルデザインフォーラム(以下、SDフォーラム)」も、今年で4回目に! なんと過去最高となる200名を大幅に超える社員が会場に駆けつけました。

本記事では当日の様子をレポートするともに、私たちが今からはじめられる社会貢献の一歩について考えていきます。

企業として、個人として取り組む社会貢献活動

2017年からネット中継を開始。会場に集まった240名に加え、オフィスで視聴している社員の方々もいらっしゃいました。

SDフォーラムは2部構成。まずは第1部、「Daigasグループ社員による社会貢献事例発表」として登壇したのは、リビング技術部設備エンジニアリングチームの平岡勇輝さん。「平成30年7月豪雨 被災地広島へのボランティアツアー参加報告」として、1泊2日で経験したボランティア活動について発表しました。

平岡勇輝さん

2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて、西日本に甚大な被害をもたらした豪雨。Daigasグループからは、平岡さんを含め10名が現地へ駆けつけました。

5歳の時に阪神・淡路大震災で被災者の一人として支援を受けたことがある平岡さんは、「恩返しがしたい」とボランティアを志願。もともとボランティアは特別なことだと考えていたそうですが、現場に足を運ぶことで”ボランティア=助け合い”だと気づいたと振り返ります。

「この豪雨で支援を受けた被災者は、きっと支援者として恩返しをする側に回るのでしょう」と平岡さん。時間や空間を超えて助け合いの輪が広がっていく、そんな日本の未来を想像し、涙ぐむ人も見られました。

阪神・淡路大震災を経験した社員も多く、平岡さんの発表はとても身近に感じられたようでした。

続いては近畿圏部ソーシャルデザイン室から「Daigasグループのソーシャルデザインの取り組み」について。自然災害の多かった2018年、社員から140万円を超える義援金が集まったほか、毎年実施している「チャリティーカレンダー募金」では800万円以上が集まり、地域社会の発展に役立てられています。

チャリティーカレンダー募金で集まったお金は、被災地支援金のほか、自治体を通して福祉施設で使用する車いす、児童施設の絵本や図書などに役立てられています。

そして第一部ラストとなった基調講演では、社会福祉法人大阪ボランティア協会 常務理事 早瀬昇さんによるお話を聴きながら、Daigasグループの社会貢献活動について理解を深めていきました。

今回キーワードとなったのは、国連サミットで採択された持続可能な国際社会共通の目標SDGs(持続可能な開発目標=Sustainable Development Goals)。SDGsでは持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットが設定されていますが、Daigasグループの社会貢献活動はもちろん企業活動そのものがSDGsに当てはまることが紹介されました。

早瀬さんの講演テーマは「SDGsを活かす社会貢献〜目指すは、社員も企業も社会も元気に!!」。2030年に社会がどうなっているかを見通しながら、企業の社会貢献活動のあり方を考えていきました。

「企業の社会貢献活動はMUSTではなく、CANの世界。動機=企業ブランドの向上、効果=新しい社会の想像と区別し、会社も社員も得する活動をすることが継続につながります」と早瀬さん。

早瀬さんの話に耳を傾けるDaigasグループ社員のみなさん。

「SDGs」という馴染みのないキーワードも、早瀬さんの大阪人らしい軽やかなトークにかかれば、自分ごととしてスッと身体に馴染むから不思議です。会場はたびたび笑いの渦に包まれ、社員の皆さんも楽しくSDGsを学べたようでした。

会場入り口では株式会社「革靴をはいた猫」のみなさんが、出張靴磨きに来ていました。障害のある若者が、靴磨きの技能を身につけ安定した仕事を得ることを目的に京都を拠点に活動しています。

事例から考える
今日からできる社会貢献活動

第2部のテーマは、「Daigasグループの活動と関わりがある団体の活動からソーシャルデザインを知る」。モデレーターに、NPO法人「チュラキューブ」代表理事/ 株式会社「GIVE&GIFT」代表取締役の中川悠さんをお迎えし、大阪ガスが応援する3団体の活動発表が行われました。

中川悠さんは、2017年開催のSDフォーラムにもご登壇いただき、都心型モデルの就労支援で社会と障がい福祉を結びつける活動についてご紹介いただきました。

一際目をひく水泳キャップとジャージ姿で登場したのは、認定NPO法人「プール・ボランティア」のお2人。大阪ガスは2003年と2017年に、「プール・ボランティア」で社会貢献活動を行っている社員を応援する支援金を通じて、活動を応援してきました。

「泳ぐ社会貢献プール・ボランティア」をテーマに登壇。左:事務局長 織田智子さん、右:理事長 岡崎寛さん

水泳キャップは、社員の社会貢献活動を支援する「コミュニティギフト制度」を活用して購入されたもの。大阪ガスの名前も入っています。

織田さん 障がい者も健常者も泳げる世界になったらいいなと思い、1999年に理事長と二人でプール・ボランティアを立ち上げました。21人の障がい者と31人のボランティアから始まり、今では述べ3,500人の障がい者に4,000人のボランティアが関わっています。

プール・ボランティアに来る障がい者は、子どもからシニアまでさまざまです。聴覚障害を持っている男の子は、水に慣れるところからはじめて今ではバタフライを泳げるようになりました。脳卒中になり歩行もままならなかった90歳の女性も、プログラムに参加するようになりバタフライを泳ぐまでに回復。イルカと泳ぎたいという夢を持ち、なんと大阪から沖縄まで泳ぎに行ったそうです。

プール・ボランティアでは、障がい者や高齢者が 楽しく安全に「水」に親しむことができるよう、完全マンツーマン体制で活動しています。

「水の世界もバリアフリーにしたい」と約20年に渡り活動を続ける織田さんと岡崎さんを支えるのは、志に共感してくれたボランティアの皆さんです。

織田さん 高校生も、日本語が流暢に喋れない留学生も、楽しくボランティアをしています。もし泳げなくても、シャワーを浴びることができない子のサポートをするなどできることはいくつもあります。

とはいえ、会社員として働きながらボランティア活動をするって大変なのでは…? そんな社員の皆さんの心配に答えるかのように織田さんは続けます。

織田さん 現在ボランティアに関わっている約220名のうち半数は、会社員です。プール・ボランティアをしている方に話を聞くと「なぜかはわからないけれど、ボランティアをするとバランスが取れるんです」と言っていました。平日夜や土日にも活動できるので、その言葉にできない感情を味わいにきてほしいです。

震災時に0歳だった子がハタチになるまで見守り続ける

二団体目は、公益社団法人「ハタチ基金」代表理事で認定NPO法人「カタリバ」今村久美さん。大阪ガスは2015年から毎年、Daigasグループ“小さな灯”運動を通じて「ハタチ基金」へ寄付し、震災時に0歳だった赤ちゃんがハタチを迎える日まで支援する活動に役立てていただいています。

ハタチ基金では、「震災で被災した子どもたちを、基金を立ち上げ継続的に応援」しています。

今村さんは大学在学中にカタリバを立ち上げ、これまで全国約22万人の生徒にキャリア学習プログラム「カタリ場」を届けてきました。

今村さん 私は岐阜県出身で、地元で生きていくことが当たり前の環境で育ちました。しかし上京し、大学へ入学したことをきっかけに、日本は階級社会なのかもしれないと感じました。服の選び方一つにしても違う。20歳にならない若者が世界のことを考えている。ずっと地元にいたら、そんな同世代がいることに気づかないままだったでしょう。だからこそ、家庭環境や教育機会によって価値観が変わってしまうのであれば、私はその格差を解消していきたい。

こうして「カタリバ」を立ち上げた今村さんは、10代の子どもたちにキャリア学習の機会を届けてきました。しかし2011年3月に東日本大震災を機に、今村さんは新たな課題に向き合うことになります。

東日本大震災を機に、今村さんの活動はキャリア学習の機会を提供することに加え、子どもたちが安心して生きられる環境づくりへと広がりました。

今村さん 震災前までは「カタリバ」で、目の前に機会があるけれど踏み出すことができないという課題に対して取り組んできました。しかし震災によって、環境自体がなくなってしまった。環境がない子どもたちに対して、私は何ができるんだろう。

今村さんは、宮城県は女川町に移住。避難所で暮らし、被災者と関わる中で「子どもたちが安心して遊び、学べる場をつくりたい」と思うようになります。そこで生まれたのが、「ハタチ基金」です。

今村さん 両親を失った女の子が、避難所でのボランティア活動に参加していました。夜には小学生を集めてさまざまな遊びを提供し、笑顔で過ごしていて。でも朝になると遺体安置所を回って、両親を探し回っていたのです。糸が切れそうな状態で頑張る彼女でしたが、きっといつかその糸は切れてしまうだろう。その時、安心できる場所をつくりたい。

こうして今村さんを中心に、教育・子育て分野で実績のある4団体の関係者で、「ハタチ基金」を設立。

またカタリバでは、被災地の子どもたちのための放課後学校「コラボ・スクール」を開校し、約700人の被災地の子どもたちの日常の学びをサポートしています。


「ハタチ基金」設立のきっかけになった震災時の様子をまとめた動画。認定NPO法人「カタリバ」、公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」、NPO法人「トイボックス」、認定NPO法人「フローレンス」の4団体の関係者が中心となり、「ハタチ基金」は設立されました。

御堂筋をリードするまちづくりネットワーク

最後は大阪ガスも会員になっている、一般社団法人「御堂筋まちづくりネットワーク」の活動について。事務局であり、株式会社竹中工務店 開発計画本部 副部長 大西正英さんから、「淀屋橋から本町までの魅力を、みんなの力で倍増させる」をテーマにお話いただきました。

本社ガスビルがある御堂筋を中心としたまちの活性化の取り組みに多くの社員が関心をしめしていました。

大西さん 「まちづくりネットワーク」は、2001年御堂筋にある25社で設立しました。設立当初、御堂筋には金融機関が多くありましたが、統合が進み、空き区画が出ていました。そこで御堂筋のポテンシャルが下がることを懸念した周辺企業が集まり、まちづくりネットワークを結成。現在は会員企業47社となり、大阪市と連携したまちづくりや、タブロイド紙の発刊などの活動を通じて、御堂筋を盛り上げています。

まちかどコンサート、ギャラリー、朝カフェ御堂筋 「モーニングポケット」、会員企業同士のランチ交流会など、御堂筋を楽しくするイベントを企画・運営するほか、景観ガイドラインづくりやビジョンづくりなど、魅力的なまちになるような施策の検討なども担っています。

御堂筋まちづくりネットワークが発刊するタブロイド紙。こちらからご覧いただけます。

それぞれの立場から社会の課題を解決している3団体の話を聞いたところで、最後は近くの人と「今日から取り組みたいこと、踏み出したい一歩」をシェア。

「まちづくりネットワークの活動に参加してみよう」「プール・ボランティア、私でもできるかな…?」という声が聞こえてきました。

「私には何ができるだろう」「誰を応援したいだろう」と考えたひと時。初対面の人に自分の考えを話すことは勇気がいりますが、とても楽しそうです!

こうして約2時間半に渡るSDフォーラムは終了。実践者のお話を聞くことで、それぞれの立場で踏み出す、社会貢献活動のヒントが得られたのではないでしょうか。

第1部で、SDGsの話題が出ました。第2部で登壇した団体をSDGsに当てはめると、プール・ボランティアは3. 「健康・福祉」、ハタチ基金は4. 「万人への質の高い教育、生涯学習」、御堂筋まちづくりネットワークは11. 「持続可能な都市」になります。

きっと仕事だけではなく、あなたの身近なところでも何かできることがあるはずです。自分の仕事が社会にどのような影響を与えているのか、明日への一歩をどう踏み出せるのか、一度立ち止まって考えてみませんか。

SDGsについては環境省のページからチェック!

ゲストのみなさんとDaigasグループのみなさんで集合写真!来年のSDフォーラムも楽しみです。

(写真:衣笠名津美)