時期によって変わる求人内容。たとえば異動が増える春先は、空いた役職を埋める採用がはじまります。一方新規事業をつくる秋口は、それを牽引する人の募集が増えるのだとか。でも、就職や転職をしたいタイミングって十人十色。時期が合わなくても前のめりになれる仕事に就きたいのが、人の本心ですよね。
もしかしたらグリーンズが、その気持ちに応えられるかもしれません。
2017年10月、私たちは「グリーンズ求人」という新プロジェクトをスタートしました。同じ「ほしい未来」をつくっていきたい仲間と出会える、今までのgreenz.jpとはちょっと変わったサービス。
採用したい組織、挑戦したい人、その両者とともにつくっていく新しい求人のカタチです。今回は「グリーンズ求人」チームの言葉と合わせて、この新サービスの全貌と大切にしていくことを説明していきましょう。
「グリーンズ求人」とは
「グリーンズ求人」は、ほしい未来をつくる組織の求人情報を紹介するプロジェクト。greenz.jp読者と同じように、ほしい未来をつくっている真っ最中のチームやプロジェクトと個人が出会う「機会=コンテンツ(記事やイベントなど)」を用意していきます。
「社内の空気を変えてほしい」
「チームの新プロジェクトを担当する人が必要」
そんなふうに現状を変えていく仕事や役割を求める声に、前のめりで応じていけるgreenz.jp読者にとって、好みにあったポジションを見つけるチャンスになります!
山中 「グリーンズ求人」をわかりやすくいうと、「ほしい未来をつくる組織」と「ほしい未来をつくりたい人」をマッチングするサービスです。
たとえば、10月に公開した記事では、株式会社meguriの求人を紹介しました。meguriは、「クオリティオブライフ高く、豊かに生きていく人を増やしていくこと」を目指す組織。自然電力という企業のサポート業務をしていて、その担当者を募集しました。
植原 そして11月に公開した記事では、郡上カンパニーを紹介しました。郡上カンパニーは岐阜県郡上市で「根っこのある生きかた」をキーワードに、自然や文化、コミュニティに根ざした人を地域に増やしていくことを目指している組織です。地域の資源や文化を活かす事業をつくっている郡上カンパニーが、地域の持続性をつないでいく担当者を募集するお手伝いをしました。
古瀬 単純に雇われたい人というより、自分で事業をつくっていきたい人、自発的な人を募集する求人を紹介していくことが中心になっていきます。
グリーンズの新しい挑戦
greenz.jpで紹介してきた組織や団体とは、「メディアと取材先」という関係性でしかつながれず、グリーンズとして、「取材以外の取り組みでかかわれていないこと」に少しばかりの後ろめたさを感じていたのも事実。そのタイミングで、私たちにふとよぎったことがあります。
以前からグリーンズに寄せられていた「メンバー募集記事を出せないか?」という問い合わせ。このタイミングでその声と向き合ったらどうなるだろう?
「取材先とメディア」という関係性を超えられるし、社会に新しい価値をつくる事業をまたひとつスタートできそう。そして、大きな売上に寄りかからない組織としての安定性も高めていけるかもしれない。
それが「グリーンズ求人」をリリースするまでに私たちが思い巡らせた心境です。
植原 メディアって、本当の成果を把握しづらいものだと思います。greenz.jpも記事1本やメディア全体で、どれくらい社会に良い影響を与えられているか、ということを把握したいですが、数値で換算できるものではないのでなかなか難しい。
その中でもgreenz.jpは読者に対して、記事を読んでおしまいではなく、ネクストアクションを促すように工夫してきました。今回の「グリーンズ求人」なら、採用や就職、転職という入口を設けられるので、取材先も読者も、よりわかりやすい形で次の行動を移せるようになるはずですし、メディアとして貢献できると思っています。
山中 ぼく自身、ベンチャー企業やNPOで編集やプロモーションをしたあと、2017年7月に独立したタイミングで、(植原)正太郎くんに声をかけてもらって、次の一歩を踏み出すことになりました。
植原 「働き方編集者」と名乗っているから、ちょうどいいと思って(笑)
山中 グリーンズには、もともと「ソーシャルデザインの先駆け」というイメージを持っていました。かかわれることが嬉しい反面、緊張もあったんですね。でも、チームに加わってみたら「この機会にやりたいことを実現していっていいんだよ」と応援してもらえています。
「働き方編集者」と名乗っているのは、記事をつくる意味での編集だけでなく、人が自分らしい働き方をつくる過程も編集でサポートしたいと思ったから。それを実現していくこともできたらうれしいです。
古瀬 「グリーンズ求人」の記事を編集する時に大事にしているのは、実際にインタビューをおこなう前の準備ですね。求人コンテンツを出すチームやプロジェクトの人とズレが生まれないように、ゴールを明確にする話し合いから一緒に取り組んでいます。
植原 「グリーンズ求人」チームとしても、求人を出す組織や団体の魅力、そのチームやプロジェクトに今必要なことは何か、たくさん議論しています。ぼくたち自身、28〜29歳で、転職世代。当事者なんです。
正直に書くこと
greenz.jpの特徴は、「正直に書くこと」。取材先とは、1対1の人間として向き合うgreenz.jpライターは、嘘を書くことができません。だから、「グリーンズ求人」でも、「『正直に伝える』ことでチームやプロジェクトをプレゼンテーションしたいかどうか」という合意が得られた求人を紹介していきます。
もしかしたら、「伝えたい内容は決まっているから、それを広めるために力を貸してほしい」と頼まれることがあるかもしれません。でも、サイト訪問者数の大きさを誇るメディアではないgreenz.jpは、閲覧回数の増加を目的にもしていません。それでも、そういった要望をもらったときのために、「グリーンズ求人」とは別に掲載スペースを貸す枠組みも用意しています。
取材先との関係づくりだけ考えたら、言われた通りに書くことのほうが簡単です。一方で、これからチームやプロジェクトに参加していくgreenz.jp読者のことを考えたら、話は変わります。
グリーンズは、greenz.jpライターがかかわるからこそ伝えていける「正直さのバリュー」を大事にしてきました。いまの時代、本人が正直に話していたとしても、どこか嫌疑の目を向けられる可能性があります。そんな可能性がある時代だとしても、「いいものは伝わる」という気持ちを信じて、大切に守っていきたいと思っています。
植原 これまで取材したとこの求人を載せれたら嬉しい。グリーンズと一緒に、「ほしい未来」を眺めていける方々と一緒に「グリーンズ求人」を育てていきたいなって思っています。
山中 ぼくはこのチームに加わる前から、「greenz.jpに書いてあるなら、信頼できるよね」って感じていました。イベントに新しいテーマが掲げられていても、グリーンズが主催するならおもしろいはずって思っていて。それは正直に書かれていたから、そう感じられたんだと思います。
植原 実際、プロジェクトパートナーや読者を食い物にするようなことは一切してこなかったのがグリーンズ。これまでも受注すれば終わり、納品すれば終わりじゃなくて、一緒に何かを生み出していけないか考えて動いてきました。それは、結果としてでも、嘘になることを少なくしたいからだと思うんです。
正直に書くって、チームやプロジェクトのなかにいると、むずかしくなる部分がある。そこをgreenz.jpのようなメディアを通して、翻訳してあげることができるんじゃないかと思っています。
古瀬 私は、勉強家の兼松佳宏さん(NPO法人グリーンズ理事)が編集長の頃、編集アシスタントをしていました。「正直さ」について考えると、兼松さんがタイトルについて悩んでいたことを思い出します。クリック数を稼ぐなら別の言葉選びができるけど、「絶対に嘘は書きたくない。でも、閲覧してほしい」ってところにちゃんと葛藤していたんです。
そういうことを常日頃から考えていると、文章にも現れてくるし、人を傷つけないようなgreenz.jpなりの表現や哲学も詰まっていきます。
山中 どれだけ応募者が集まるかってことに注力しちゃうと、虚飾が出てきてしまうかもしれません。だから、「どれだけいい関係につながるか」を目指していきたいですよね。
弱みも応援し合おう
「正直さのバリュー」を大切にするため、「グリーンズ求人」では、求人を出す組織や団体と、“募集内容を一緒に考える”ということに取り組みます。それは何も、チームやプロジェクトのクリーンな部分だけ伝えることではありません。
ほしい未来に向けて頑張っているからこそ、現状抱えている「できないこと」。そのような葛藤やジレンマの素も正直に伝えていけるように、一緒に内容を考えていきたいです。
greenz.jpなら、そんな「等身大の正直さ」を伝えていくことができます。だって、greenz.jp読者には、ダメな部分だけをやり玉に挙げて、ほしい未来に向かって頑張っている組織や団体を批判する人はいませんから。
とはいえ、「グリーンズ求人」チームは2017年に発足したばかり。これからトレーニングを積んでいく部分も当然あります。たとえば、他組織や他団体の人事にまつわる気持ちは、もっと知っていく必要がありそうです。
植原 月に1度、つながりのある組織や団体の人事担当者とランチしはじめました。人事領域で抱える課題や、組織が成長していくなかでどんな変化が生まれるのか。「グリーンズ求人」チームとして詳しく知っていきたいんです。現場の生の声を「グリーンズ求人」に活かしていきたいと思っています。
たとえば、郡上カンパニーの求人では、記事を出すだけでなく、東京と名古屋でgreen drinksを共催することにしました。それは、郡上カンパニーと話すなかで、記事だけでは伝わらない熱量を直接会って伝える必要があることを感じたからです。
植原 green drinksというイベントを通じたら、郡上カンパニーのことを知らない人にも、「根っこのある生きかた」という想いでつながる機会をつくることができます。理念や未来のような、もっと大きな傘を開いたときに、そこに集まる人との出会いが、求人を出す組織にも、挑戦したい人にも用意できると思うんです。
ほしい未来の求職コミュニティ
「グリーンズ求人」は、これからのサービスです。理想に向けて、まずは求人情報を増やしていくことに注力します。売上を増やしていけたら、継続性が高まる。そして、もっと新しい取り組みを展開していける。すると、「グリーンズ求人」チームにとってのやりがいも増えていきますから。
たとえば、「グリーンズ求人」なら人事担当者コミュニティや新旧求職者コミュニティをつくっていくことができるはず。ある求職者を採用したチームが「そっちのプロジェクトでも活躍しそう」と考えたら、両方で働けるように調整する。そんなふうに柔軟性高く活躍できる役職をつくっていけるかもしれません。
グリーンズが中心になりたいわけじゃありません。「求人」に基づいて、あくまでもチームやプロジェクト、人が主体的になって横のつながりをつくっていけたら、もっと気持ちよく仕事にたずさわれる人が増えるんじゃないでしょうか。最終的に、新しい人事制度や会社選びの新基準が生まれたりしたら、とってもいいサービスになったなと実感できる気がしています。
植原 転職世代だからか、友人や知人にも職場を変える人が増えてきました。
山中 応募するときって怖い部分がありますよね。ぼくは以前転職活動もしたんですが、いざ面接で会ってみると、何となくバイブスが合わないな、相手の想いに共鳴できないなと感じることがありました。
植原 ピンときたり、グッときたり、波長があったり。そういう部分を整えていきたいです。たとえば、応募フォームには自己紹介や志望動機、意気込みなどを300文字ずつ書いてもらえるようにしています。それもバイブスが合うかどうか、事前に自分自身のことを確認したり、組織に伝えたりするための仕掛けです。
「グリーンズ求人」は、丁寧に育てていきたいと思っています。だって、人の人生にかかわるから。周りを見ていると、転職後にボロボロになって辞表を出した子もいて。それって、働き方の選択肢を選ばせるだけで終わってしまっているからだと思うんです。そうじゃなく、ちゃんと長く働けて、価値を出していけるようにすることが大事。だから、採用されたかどうかもちゃんと知りたいし、どんなふうに働いているのかも話を聞きたい。
就職・転職後、1〜2年は大変だと思うから、そんなときに同じく就職・転職した人たち同士のコミュニティを用意できていたら、新旧求職者同士で応援し合うこともできます。「グリーンズ求人」チームをはじめ、greenz.jpライターやgreenz peopleなど「グリーンズの仲間たち」で解決策を議論することもできるかもしれません。
「雇用」という言葉の持つ意味がもしかしたら、古めかしくなる時代に入ったのかもしれません。会社が個人を選んで“採用してあげる”という感覚が古くなる一方で、個人が会社を選ぶようになると、組織や団体が抱える葛藤やジレンマが許容されなくなる可能性もあって、それに違和感があるのも事実。
だから、チームもプロジェクトも人も、ともに応援しあえるような「求人」のカタチをつくっていけたらいいなぁって思います。そんな未来に向かって、「グリーンズ求人」は少しでも力になっていきたい。みなさんも「グリーンズ求人」を通じて、組織と人が応援しあえる求人づくりに参加してみませんか?
チームもプロジェクトも人も、みんなが前のめりになれる仕事のカタチが整う未来を目指してーー。
– INFORMATION –
2月7日にグリーンズ求人のキックオフイベントを行います!本記事にも登場した3人はもちろんのこと、meguriの杉本綾弓さん、郡上カンパニーの岡野春樹さんにもゲストとしてお越しいただきます。「いい採用ってなんだろう?」というテーマをみんなで考える会にします。気軽にご参加ください!
【日時】
2018年2月7日(水)19:30〜21:30
【会場】
greenz Harajuku
東京都渋谷区神宮前2-19-5 アズマビル1階
【ゲスト】
株式会社 meguri 杉本綾弓さん
郡上カンパニー 岡野春樹さん
【参加費】
なし! 飲みたいお酒とおつまみを持ち寄るスタイル。