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根っこのある生きかたがここにある。循環するコミュニティ「郡上カンパニー」で未来につながる仕事をつくろう #求人あり

日本のまん中、岐阜県の郡上市で最も有名なものと言えば400年という歴史をもつ「郡上おどり」。真夏の夜、4日間にわたって徹夜で踊り続けるというこの踊りは、誰でもその輪に入ることができ、よそ者も地元の人もわけへだてなく、1つの渦となって朝まで踊り続けるものなんだそう。

郡上では昔から、外から来た人を快く受け入れるという伝統があり、外から来る人たちもそのような郡上の人たちを尊重し、交わることで独特の文化が培われてきたのです。そして、その踊りと同じように、よそ者と地元の人が、受け継がれてきた風土をリスペクトしながら、ともに暮らしかた・働きかたをつくっていく動きが、郡上ではじまっています。

そんな郡上において、よそ者と地域の人が、ともに未来をつくる場をもっと広げていこうとはじまったのが、「郡上カンパニー」。

「郡上カンパニー」では来年から3年にわたって、郡上に住んで未来をつくる仕事を起業する仲間を募集しています。

郡上には、かっこいいおっちゃんたちがいっぱいいて、そういう人に自分もなりたい。

自分の力だけでやってるんじゃない。郡上の人たちが脈々とやってきたことの最後尾に自分たちがいる。

謙虚にそう話す移住者の先輩たち、平野彰秀さん興膳(こうぜん)健太さん藤沢百合さんにお話を聞きました。

平野彰秀(ひらの・あきひで)
1975年岐阜市生まれ。東京大学工学部都市工学科卒、同大学院環境学修士。外資系経営戦略コンサルティング会社等を経て、2008年春、岐阜にUターン。NPO法人地域再生機構副理事長として、自然エネルギー導入と地域づくりに取り組む。2011年秋より、郡上市白鳥町石徹白在住。2014年春、石徹白農業用水農業協同組合を設立し、集落100世帯のほぼ全戸出資による小水力発電事業を立ち上げた。その模様は、映画「おだやかな革命」(2018年2月公開)で取り上げられる。
興膳健太(こうぜん・けんた)
福岡県出身。福岡大学から岐阜大学地域科学部に編入し、まちづくり活動について勉強していたとき郡上を知る。そのとき知り合った移住者の先輩たちに憧れて2007年に郡上へ移住。NPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」の代表理事として、自然体験を通したまちづくり活動を行う。さらに里山が抱える獣害の問題と向き合い、猟師の仕事を多くの人に知ってもらおうとはじめた「猪鹿庁」の活動が全国的な注目を集める。また、新たに「郡上里山」株式会社も設立。 里山保全に関わる人材育成を手がけている。
藤沢百合(ふじさわ・ゆり)
岡山県岡山市出身。東京女子大学で心理学を専攻。卒業後1998年から、株式会社ゴールドクレストにて分譲マンション用地の仕入れ・販売を担当。2007年、工学院大学二部建築学科で建築を学ぶ。2010年から、株式会社ブルースタジオにてリノベーションを中心とした建築設計・不動産活用企画・賃貸媒介を担当。2014年、株式会社「スタジオ伝伝」を設立。2015-2017年、郡上八幡空き家対策プロジェクト「チームまちや」の活動に参加。任期終了後、2017年、「スタジオ伝伝」郡上八幡サテライトスタジオ開設。

郡上カンパニーとは

「郡上カンパニー」は、今年から郡上市が移住促進策の一環として始めたプロジェクト。「未来につながる仕事」をつくっていくことを学び、新しい事業や雇用を生み出していくことを目指しています。(プロジェクトの詳細は、郡上カンパニーのサイトをご覧ください。)

2018年から本格スタートとなりますが、今年行われたローカルアイデア会議や共創ワークショップでは、郡上の人たちが実現したい事業テーマが12個できあがりました。この事業テーマを育てるために、来年の春から郡上に移住し、郡上の人と一緒に事業をつくる人を10人募集します。

このような取り組みになったのは、すでに移住者たちが地元の人たちとともに地域に根差した新しい事業を生み出すという動きが、自然発生的に起きているからだと「郡上カンパニー」ディレクターの平野さんは言います。

平野さん 郡上に遊びに来ているうちに、郡上の人や自然や文化と出会い、いつの間にか、人生が変わってしまった移住者たちが、このまちにはたくさんいます。自然エネルギー、狩猟、町家の活用、アウトドア、林業、IT、フェアトレードなどなど。ローカリゼーションの先端をいく動きが、郡上で、始まっているんです。

彼らは、郡上に根差して暮らしている人たちに出会って、惚れて、そして、郡上で根っこのある暮らしと、根っこのある仕事をつくりはじめています。

「郡上カンパニー」は、都市からやってくる人と、郡上の人とが、ともに力を合わせて、未来の事業をつくっていく仲間たちのコミュニティです。一人ひとりが自分たちの中にある種火を大切にしながら、そして、仲間たちや、地域の自然や文化とつながりながら、自分たちの暮らしと働きかたをつくっていくという取り組みなんです。


岐阜へUターンし、小水力発電所の建設などに携わってきた平野さん。

「郡上カンパニー」では、コンセプトとして「根っこのある生きかたを、つくる」というものを掲げています。自身も移住者である平野さんはそのコンセプトにどのような思いを込めているのでしょうか。

平野さん 今はどこでも生活できる時代になっていて、人は土地から離れて暮らすことができます。「ノマドワーカー」というワークスタイルも、もちろんありで、人は自由に、場所を選ばず働けるようになったと思います。一方で、どこにも根を持たずに、完全に自分ひとりの力だけで生きている人っていないと思うんです。

一人ひとりの生きかたを支えているのは、まわりにいる仲間たちやコミュニティだったりします。自分の身体は、まわりの自然の恵みから糧を得て支えられています。そして、両親、祖父母から先祖代々命がつながっているからこそ、今の自分があるのだと思います。

これって、当たり前のことなんだけど、都市で暮らしていたときの自分は、そんなことにまったく気づかなかった。自分の実力だけで生きているんだと思ってたんですね。

郡上に遊びに来て、郡上の人たちと出会って話をしているうちに、僕は、そんな当たり前のことに気づかされたんです。

都市生活者たちは根っこが失われてしまっているということはよく言われます。根っこが失われてしまっている以上、自分の力で立つしかない。そう思っていたとしても実はそうではない、周りの人たちに生かされていることに平野さんは郡上で気がついたというのです。


水のまちとして知られる郡上八幡をはじめ、豊かな自然があふれる郡上。

平野さん 近所で暮らしている人たちはみな顔見知りで、当然のように挨拶を交わす。自然との関わりあいの中で自分たちが支えられていることを知っているから、田畑も水も大切にする。先祖代々受け継がれてきたことを大切にする。

そして、ちょっとした大工仕事はお手の物。身の回りのものは自分の手でつくってしまうような甲斐性がある。ふとした一言に、真理が詰まっていたりする。

しかも、そういう根っこのある暮らしかたをしている人って、すごくおおらかで、僕たちのようなよそ者を、当たり前のように受け入れてくれるんです。「都市の人が優秀で、田舎の人が遅れてるなんてことはないな。むしろ、生きる上で大切なことを知っているのは郡上の人たちなんじゃないか」と僕は思ったわけです。

根っこのある暮らしをしている人がおおらかというのは、自分が根っこに支えられていることで周りを支える余裕が生まれ、それを当たり前のこととしてできるようになっているのではないでしょうか。移住して郡上にやってきた人たちの多くがそのことに気づかされているようです。

平野さん 僕らみたいに移住して入って来ている人の多くは、郡上との出会いによって、価値観や人生が大きく変わるほどの影響があったと思います。地域に根ざして暮らしている郡上の人たちの言葉から、忘れ去られようとしている大切なことに気づかされることが多いのです。

だから、僕は、都会で暮らす人たちに、郡上に関わってもらいたい。郡上に来てもらえたら、人に出会えば出会うほど発見があると思います。

一方で、都会で培ってきたスキルは、郡上に役に立つことがいっぱいある。都会の人たちから見た郡上の価値は、郡上の人たちにとっても励みになり、刺激になるんです。2017年9月から12月の3カ月間おこなった「共創ワークショップ」では、まさにその手ごたえを感じました。

2017年9月から行われた「共創ワークショップ」の様子。

「郡上カンパニー」がやろうとしているのは、人と人をつなげること。都会の人と郡上の人が出会うからこそ生まれる価値を大切にし、互いの挑戦を支え合う愛情深い場をつくることです。だからカンパニーという言葉にも「会社」ではなく「仲間」という意味を込めているそうです。興膳さんもその「仲間」という考えに共感するといいます。

興膳さん 平野さんが、「郡上カンパニー」がつくろうとしているのは「仲間」なんだ、と言っているのがいいなと思っています。

色々な地域で地方創生が始まっていますが、郡上にはすでに面白い人たちがいて、力を合わせればもっと面白いものがつくれるという思いがありました。

「郡上カンパニー」はその面白い人たちをプロジェクトパートナーとして紹介して、この人とやるから楽しいよというのをちゃんと伝えています。仲間がいるから一緒にやろうよ、と言っているところがいいですね。

地方で起業するというと、何かやりたいことがある人が都会からアイデアを持ち込んで地元の人たちとやるということが多い印象ですが、「郡上カンパニー」がやろうとしているのは最初から都会の人と地元の人が仲間として一緒にやろうという取り組みなのです。

どうしてそのような取り組みをすることになったのか、その理由は、そもそも郡上が魅力的な場所だからだそう。3人ともが口を揃えて「郡上のまちと人の魅力に惹かれてやってきた」という、その郡上の魅力とは何なのでしょうか。

郡上で新しい人生に出合った

平野さんは、石徹白(いとしろ)という人口270人の集落で小水力発電の普及に取り組んできました。その石徹白での活動については以前にgreenz.jpの記事でも取り上げました。

今では郡上全体で地域に関わる仕事に携わる平野さんですが、そもそもなぜ郡上にやってきたのでしょうか。

平野さん 僕は大学で都市計画を専攻していました。その中で、地域に関わることでそこの地域がよくなるようなことをやりたいと思っていて、岐阜でまちづくりやNPOの活動に参加するようになりました。

最初は東京から岐阜に通って岐阜のまちづくりをやっていましたが、そのメンバーで郡上に来るようになって、郡上で人に会うたびにより魅力を感じるようになりました。

郡上で活動している人たちは地に足がついていると感じたんです。東京で仕事をしている時にすごく仕事ができる人や優秀な人にも会ってきましたが、郡上で自然体験や林業をやっている人の言葉のほうがすごく響いたんです。それが土地に根付いてるからこそ出てきた言葉なんだと思って、自分もそういう生きかたをするためには、ここで暮らしている人たちから学ぶことが山ほどあると思いました。

当時、お金やエネルギーの地域内循環をつくることで農山村が復権できるという仮説を持っていて、石徹白で水力発電の計画を話をしたら地元の人たちと意気投合したんです。それで通っていくうちに自分がまちづくりをやっていく場所は郡上であり石徹白なんだと気づいて、移住することにしました。

約10年かけて地元の人たちと水力発電所をつくり、その活動で郡上の人たちからいろいろ声をかけてもらえるようになって。その中で郡上の魅力的な人たちや自然に都会の人たちが関わることで、新しい動きが生み出せるんじゃないかと思って、それを実現するために「郡上カンパニー」もやることになったんです。

また現在、獣害対策や自然体験などに取り組んでいる興膳さんは、郡上への移住は「郡上に恋をしてしまって、どうしてもそこに住みたかったから」だといいます。

興膳さん 自分は子どもの頃は転勤族で、どこかに根を下ろしたいという欲求がずっとありました。環境問題にもずっと興味があったんですが、みんなが自分が住んでいるまちを好きになれば環境問題は解決するという仮説を立てたんです。

大学生の頃、岐阜に「ORGAN」というフリーペーパーがあって、そのコンセプトが「岐阜に住むきみが、このまちを愛するように。」というもので、それにすごく惹かれて。

福岡の大学に行ってたんですけど、岐阜大学の地球科学部に編入して、岐阜に来たんです。そして引っ越した次の日にフリーペーパーを発行していた「G-net」の事務所に行って、わーっと喋ったら、「じゃあこや(来なよ)」みたいに言われて参加することになりました。

その活動の中で郡上のかっこいい大人たちにいっぱい出会ったんです。生きる力があるというか、信念を持っていて仕事と稼ぎ方がすごく近いというか、食えてなさそうだけど俺もこっちがいいなって思って。それで、この人たちのそばにいれば自分もかっこよくなれるんじゃないかっていう幻想を抱いて、とにかく郡上に住みたいと思いました。

大学を卒業後はキャンプ場で働くことになったんですが、4月から10月までの職員募集だったので、11月以降は別の仕事を探してスキー場やスーパーでお世話になったりしました。

でも、郡上で持続可能な地域社会をつくると考えた時には、スキーではないもっと身の丈にあった何かを冬の稼ぎに変えないといけないと思ったんです。

その時にたまたまある人が「猟師をやって、いいイノシシがけっこう獲れた」って話をしてくれて、単純に面白いなって。それで冬は猟師で食えるようにするぞって思っちゃったんですね。


里山保全組織「猪鹿庁」の長官を務める興膳さん。

それから国の補助金などを活用し、6年ほど「ギリギリ首の皮一枚くらいで回していって」今は獣害対策を行う「猪鹿庁」、キャンプや自然体験を行う「メタセコイアの森の仲間たち」、農山村民泊交流体験を行う「郡上みんぱく」などで活動するに至った興膳さん。「郡上に恋をしてしまったから、振り向かせるためにやっている」という熱意はなかなか普通の人には真似できませんが、本当に面白い人が多いという魅力は伝わってきます。

一方で藤沢さんは、東京でいわゆる普通の都市生活者として暮らしていましたが、郡上へ導かれるように移住し、帰るつもりだったのが居続けることになったと言います。

藤沢さん 私は不動産や建築の仕事をしてきたんですが、古民家が好きで、独立した時に日本の古い建築を次世代に残していきたいという野望を持っていたんです。

でも東京ではそんな建物が少なく、むしろ地方かな?と思ったとき、9年前に郡上に旅行した時の街並みのことを思い出したんです。そのタイミングで、知り合いがFacebookで郡上八幡の空き家対策の募集を紹介していたのを見て、「これはわたし呼ばれてる。郡上八幡の美しい街並みがなくなっていくなんて…私がやらなくて誰がやる!」と思ったんです。

こっちに来て「チームまちや」という、空き家を一旦借り受けして改修して移住者などに貸し出す事業のスタートから参加しました。

空き家になる理由は、町家のつくりでは隣同士の音がよく聞こえたり、トイレの水洗化の工事費がかかってしまうなどで、それで少し郊外の戸建てに引っ越してしまったりということだったんです。

しかも、郡上八幡では賃貸の情報がほぼ出てないんですよ。だから空き家を探している人も、どうやって借りていいのかわからなかった。それで空き家の所有者と家を借りたい人をつなぐ仕事を2年間やりました。

任期が2年だったので終わったら東京へ帰ろうと当初は思っていたんですが、空き家だけではなく自分で旅館を再生したいけどどうしたらいいかなど、そういうご相談を受けることもあったので、力になれるところがあるかなと思ってそのまま居つくことにしちゃいました。


空き家を活用することで郡上の美しい街並みを守る藤沢さん。

藤沢さんはもともと郡上の街並みに惹かれてやってきて、そのまま居つくことになりましたが、最も魅力に感じたのはその暮らしだったそうです。3人に共通するのは、郡上の人たちとのかかわり合いに惹かれて郡上に居続けることになったということ。「住んでみたい」から「住み続けたい」へと変えさせる魅力が、郡上にはあるようです。

昔の日本っぽさと多様性を感じる郡上の暮らし

そんな郡上の魅力はどこから生まれるのか。まずは「人」だとみなさん口を揃えますが、同時に藤沢さんは「暮らし」だとも言います。

藤沢さん 郡上は昔ながらの日本っぽいんです。おすそ分けとかすごくいただいて、1週間買い物に行かなくてもすんじゃったり。大家さんにお中元を持って行って玄関先でお話をしたり、朝はみんな玄関前を掃除していたり、川の掃除当番があったり、郡上おどりの前には町全体で一斉清掃したり、みんなで助け合って暮らしているんです。

お年寄りも、まちのみんなで見守っていたりして、そういう助け合いの文化は東京と全然違うなと思いました。

そうした色々な当番を、最初は大変だと思ったんです。でも、都会だと仕事で評価されないと自分は役に立たないと思いがちじゃないですか。でもこっちでは、会社では評価されなくても、地域活動ではすごく評価されたりとか、活躍の場が絶対どこかにあって居場所があるんです。これってすごいなと思いました。


なつかしい風景と文化が残る郡上のまち。

昔ながらの文化が残っているからこそ続いている助け合いのコミュニティ。そしてその中で、活躍の場が絶対どこかにあるという暮らし、これは都会では得難いものだと平野さんは言います。

平野さん たとえば高校生が田舎から東京に行きたいという時、東京は多様でいろいろな価値観があって、世界が広がって楽しいと考えますよね。実際に田舎にない仕事があって、田舎にはいないような人がいるんですけど、都会って基本的には仕事中心の生活という大きな枠が決まってしまっているところがある気がするんです。

そこでは、暮らしの豊かさや地域のコミュニティとの関わりは削ぎ落とされてしまっている。だから、東京である一定期間働いて地方に行ってみると、東京にはまったくなかったような生きかたとか価値観が広がっていることに気づくんです。

郡上に来て、遊んでるんだか働いてるんだかわからない人がいたりして、都会の多様性とはまた違う多様性に触れると、そのほうが面白く思えるんですよ。

そして、多様な生きかたに触れることは、自分の生きかたを見直す機会にもなります。単に違う場所で違う仕事をするのではなく、移住することで生きかたや考えかたにも変化が出てくるのです。

藤沢さん 郡上に来た当初、遅くまで仕事してると「そんなに仕事ばっかりして人生何が楽しいんだ、飲みに行かないのか」とか言われて。

たしかに周りには格好よくて話が面白い大人がたくさんいてたくさん遊んでるのに、ぽつんと事務所に一人残って仕事しているのが損した気分になってしまって。仕事を取ったら何も残らない生き方しかしてこなかったなって教わることがすごくありました。

平野さん 一般的にローカルベンチャーと言うと仕事をつくることにフォーカスされがちなんですが、それってすごい狭い価値観な気がして。暮らしかたとか生きかたとか人との関わり合いとか自然との関わり合いとか、稼ぎ以外の部分であっても、どんな仕事をしてどんな役割を果たしていくかが実は重要なんじゃないか。

そういう多様なありかたが魅力だし、郡上ならそういう生きかたをつくっていけると思うんです。

郡上で脈々と受け継がれてきた暮らしが、様々な生きかたをする人を育ててきた。これこそが郡上でまだまだ事業が起こる可能性を生み出す土壌であり、外から来た人に「根を下ろしたい」と思わせるものなのです。そして人が人を呼んで面白い人がどんどん入ってきて、その文化がさらにアップグレードされています。

たとえば「郡上木履」の諸橋有斗さんは、郡上おどりに参加した時に地元産のおどり下駄がないことに驚き、愛知から移住して地元産の木材を使った下駄をつくり始め、今では踊りに欠かせないものになっています。これも地元にもともとあった資源を都会の人のアイデアで掛け合わせ、郡上の文化をさらに高めた一例です。

郡上に移住をする面白さは、どんな人でもそこにある資源を使って仕事や暮らしをつくっていけるということなのかもしれません。

来てほしいのはオープンに遊べる人

面白い人がいて、昔ながらの快適な暮らしがある郡上。そこで何らかの仕事をつくっていくことができる人とは、どのような人なのでしょうか。

最後に、今回の「郡上カンパニー」の募集でどんな人に来てほしいかを聞きました。

藤沢さん 昔から、ここの文化を愛された文化人がたくさん訪れてらっしゃって、そういう人たちとまちの方が交流されてきたので、そもそも皆さんの文化レベルが高いんです。

そんなまちの方々は、やっぱりこのまちに対して誇りを持っているので、たとえば移住してやりたいことがあったとしても、まちの文化や文脈を考えずにやると、交じっているように見えて実は中に受け入れられていない、という結果になると思います。

なので自分はまちにどういう貢献ができて、まちの人は何を求めているのかをちゃんと探っていく必要があると思います。そうすればビジネスチャンスが見えてくるし、みんなに認められて仲間もできてくると思うので、そうやって自分の居場所を見つけられる人がいいと思います。

興膳さん 地域で自分の役割が一つでもできるとすごく楽しくなるし、役に立っている気がして居心地がよくなりますよね。他は全部頼りっぱなしだけど、これだけはみんなの役に立てますっていうのが出てきた時に、自分の居場所がここにあると感じられると思うので。

平野さん ただ、その役割ってだんだん見つかっていくものだと思うんです。

移住した人も最初やろうとしたことがどんどん変わっていってるし、いろんなことをやってきた結果、自分の役割を見つけた人が多かったりもします。実際こっちに来て、地域の人に接したりすると発見があって、住み始めるとまた発見があって、どんどん見える世界が変わってくと思います。

僕自身もそうだったので、まず一歩を踏み出してみるっていうのが大事だし、そういう新しい刺激や情報に対してオープンであることが重要なんだと思うんです。理屈でこうだとか自分のやり方がこうだとか狭めていくんじゃなくて、感覚を開いて郡上に接してもらえると、次から次へと発見があって、そこから想像していたものとは全然違う世界が広がっていくと思います。

都市にいたり企業にいたりすると、自分自身に対して制約をかけがちなことも多いと思います。郡上の自然の中でオープンになれれば、自分が本当に求めているものが見えてくる気がするし、そんな自分に正直になれるといいなと思います。

興膳さん 「郡上カンパニー」のいいところは「人で来る」ところだと思っていて、プロジェクトよりもこの人かっこいいなとか、人を見て来てもらったほうが大きくハズレない気はしています。この人と一緒に動きたいって来てもらえれば面白くなっていく気はしますね。

その流れで、まず遊びに来てほしいって感覚が強いんです。

難しいこと考えずに郡上で遊ぶ。その時その時で一番楽しめることをやる、その面白さをまず知ってほしい。
郡上の仲間たちはその感覚を持っている人が多いから、そこにまず触れて、その中から仕事につながらないかもしれないけど、何か新しい価値観に気づいてほしい。

「面白くない大人になってるんじゃねーぞ」って言いたいですね。


郡上八幡へは名古屋あるいは岐阜から高速バスでおよそ1時間15分。まずは遊びに行ってみては?

「これがしたいんだ」と頑なになるのではなく、遊びに行くくらいのオープンな気持ちで始めて、仲間になり、そこからなにか新しいものが生まれてくる。

それがビジネスになるかどうかはわからないけれど、そういう共創の中で地域に自分の役割を見つけられれば、そこに根っこを張ることができる。それが「郡上カンパニー」が描く移住の道筋のようです。

そうならばまず大事なのは郡上に魅力を感じるかどうかなので、少しでも興味を持った方はぜひ一度、郡上の面白い人たちに会いに行ってみてください。

(写真: 逸見菜々子)

[sponsored by 郡上カンパニー]

– INFORMATION –

郡上カンパニー未来事業プロジェクト
◎2018年12/4(火)green drinks Tokyo「根っこのある生きかたを、仲間とつくる」
12月4日に開催される、郡上カンパニーとの共催イベント。地域をフィールドに仲間とともに根っこのある生き方を実践するゲストをお招きしつつ、「根っこのある生きかたを、仲間とつくる」をテーマに、参加者のみなさんと一緒にじっくり考える機会にしたいと思います。
詳細はこちら > https://greenz.jp/event/gdtokyo181204/