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街と人をつなぐ、おむすび屋さんの仕事とは? 日本橋の外と中を結ぶ「ANDON」 #求人あり

2017年10月16日。東京・日本橋の小さなビルに、小さなおむすび屋さんが開店しました。
その名も「おむすびスタンドANDON」。

以前もこちらの記事で紹介しましたが、グリーンズとトラ男が立ち上げたお店です。ビル全体を「食×カルチャーの最新型長屋」に見立て、日本橋からなにやら面白そうなことが始まる予感が漂っています。そんな「ANDON」では、一緒に働く仲間を募集しています。ただ、おむすび屋さんのお仕事だけではないようで…。

今回は店長の竹田勝平さんに、「ANDON」で働くことについて伺いました。「食×カルチャーの最新型長屋」でのお仕事とは? 美味しそうなおむすびの香りを想像しつつ、小さなおむすび屋さんから始まる新しい働き方を、味わってみてください。

竹田勝平(たけだ・かっぺい)
1985年兵庫県芦屋市育ち。幼少期より興味のあった食の世界に学生時代飛び込み、飲食業界〜紅茶輸入商社〜お茶専門店勤務後、2015年kedama入社。お茶に関する教室活動の傍ら、お茶専門店のコンサルティングやアレンジティーの商品開発、イベントの運営を担当。

食×カルチャーの最新型長屋「ANDON」

まずは「おむすびスタンドANDON」を改めてご紹介しましょう。

小伝馬町駅・三越前駅・新日本橋駅から歩くこと約5分。オフィスやマンションの立ち並ぶ風景の中、縦長の小さなビルに「ANDON」の入り口があります。

1階はオープンキッチンと立ち飲みスペース。お昼はおむすびやお味噌汁、夜にはお酒やおばんざいがいただけるとか。2階にはイートインスペースもあり、テイクアウトでもその場でもおむすびを味わうことができます。

1階のカウンターは夜は立ち飲みバーに

特筆すべきは、「ANDON」が「おむすび屋さん」だけで終わらない「おむすび屋さん」だということ。2階のイートインスペースでは本棚にユニークな本が並び、すべて購入が可能。

ANDONスタッフと東京・蔵前にお店を構えるH.A.B(Human And Bookstore)さんが話し合いながら選書された本たち。食や土地などテーマは様々。グリーンズの本も発見!

また3階はイベントスペースとして、食以外でも様々なイベントを開催していくそう。日本橋の外のひとも日本橋のひともここに集い、融合して、また新しいものが生まれる。「おむすび屋さんだけど、会話と出会いが生まれる場所」になっているようです。

みんなでつくる

ここからは、店長の竹田さん、そしてアルバイトスタッフの杉本侑依さんに「ANDON」のお仕事について伺いました。生産者が見えるお米を羽釜で丁寧に炊く。注文が入ってからふんわりと握り、温かいおむすびをお客さんに提供する。さらにその先にあるお仕事とは何なのでしょうか。

竹田さん お昼はおむすびとお味噌汁、夜はお酒やおばんざいなどもお出ししているので、まず、飲食はメインの仕事です。ただ、それだけではなくて。2階の本の販売と選書をお願いしている本屋さんとの打ち合わせ、イベントの企画、ケータリング、「ANDON」がもつ機能すべてに対応することが仕事だと思っています。

飲食店だけど、飲食だけではない。それが「ANDON」の仕事の面白さだと竹田さんは続けます。

竹田さん 「ANDON」の立ち上げの時にクラウドファンディングをしたんですが、支援者へのリターンに「おむすびの具材を一緒に決めましょう」「本屋におく本を一緒に決めましょう」など「ANDON」に関わってもらえる機会をいくつか用意しました。

そのリターンも動き出しているので、今後はお客様と本の選書会議や、おむすびの具材、メニュー会議、3階のイベント会議など、いろんな人と仕事をする機会もたくさんあると思います。

3階のイベントスペースでは映画の上映会なども企画されているとか。

取材に伺った日はオープンからまだ2ヶ月ほどの12月半ば。メニュー会議やイベント企画などまだまだやることはたくさんあるそうですが、アルバイトの杉本さんはここでの仕事について「任されてる感が半端じゃない」と笑います。

杉本さん greenz.jpの「ANDON」の記事を読んだことがきっかけで求人に応募しました。

アルバイトをすることになってからは、どんなイベントをするのか、どう運営するのか、ミーティングに最初から呼ばれました。自由に発言していいよと言われて。そもそもアルバイトなのに、こんなにお店づくりに直に参加できて、それが初めての経験でびっくりしたというか(笑) 今までのアルバイトのイメージと全く違いました。

ただおむすびを結んでいるだけじゃない感覚がここにはあります。

アルバイトスタッフの杉本侑依さん。

「ANDON」は多様な機能を持つおむすび屋さん。だからこそ、自分のできることを見つけて仕事にしていくこともまたいい体験になっていると杉本さんは言います。

竹田さん 大きな企業では主にトップダウンの世界ですよね。基本的には社長がいて、「こういうのやるよ」となると、上から仕事が降りてくるイメージ。

「ANDON」はスタッフがみんな同じ立場だと思っていて。みんなでお店をよくしていく。さらに、お客さんも混じり合ってつくるお店なので、誰かがこう言ったのでこの仕事をやる、というのではなくて、「こういう案があるけど、どう?」という問いかけに対して、みんなでアイデアを練り合わしていく、それが仕事の一部でもあるという感じです。

今回、社員をメインに募集をするそうですが、まずは、フードやドリンクの提供、ケータリング、イベント企画・運営、本の選書といった「ANDON」の仕事全体を楽しめることが大事だと竹田さん。日本橋の小さなおむすび屋さんの物語はたくさんの人との関わりの中で育っていくようです。

日本橋と日本橋の外をつなぐ

「ANDON」のオープン時から店長を務める竹田さん。もともとは紅茶のお店で働いていたという経歴の持ち主だとか。

竹田さん 大学生の時から飲食業に携わっていて。最初はワインバーにいたのですが、そこでソムリエにお茶を教わりました。その後はずっとお茶関係の仕事をしてきました。

紅茶から「ANDON」へ。その転換の背景には、ある偶然の出会いがあると竹田さんは続けます。

竹田さん 8年前、お店の周りでイベントがあり、うちも参加店舗になっていて。そこで「トラ男」のプロデューサー、武田昌大さんに会ったんです。「店の前でお米を売らせてほしい」って。

その時に「トラ男」のことも知り、いろんな人や場所とコラボしながらお米を売っていくスタイルに魅力を感じたんです。それから仲良くなり、「トラ男」のイベントでお茶を販売したりしていました。

お米に興味のない人も巻き込んでいくトラ男のスタイル。そこに魅力を感じた理由を竹田さんはこう話します。

竹田さん 僕自身、お茶の講師もしていた経験の中で、お茶に関心のある人にしか会えないと感じていて。

お茶屋さんとしてお茶のイベントをしても、結局、お茶好きしか集まらない。そうではなく、お茶好きじゃなくても、もっと気軽にお茶を楽しんでほしいという想いがあったんです。

他のイベントや異業種との融合が面白いよなと。

「トラ男」の武田昌大さんと出会い、3年前にはトラ男の会社「kedama」の社員に。そして2年前、「ANDON」の企画が出てきたときから、自然と竹田さんが店長をやることは決まっていたそう。

竹田さん 「ANDON」がおむすびだけじゃなく、本屋、イベント、いろんな入り口をもった場所になると決まった時、わくわくしたというか。ここに人が集い、新しいものに出会って楽しい時間を過ごす。そんな場をつくりたいと思ったんです。

さらに今、日本橋の人やお店に触れ、自分が日本橋と外をつなぐ人でありたいと竹田さんは言います。

竹田さん 代表のふたりは外に出ていく仕事が多いので、僕が日本橋で「ANDON」にいて、もっと地域の人に知ってもらったり、つながりをつくっていけたらと思います。

都会では珍しいというか、「ANDON」で働く時間の中には、人情や地域との関係性をつくることを楽しんじゃう、みたいなものも要素として入っていると感じていて。いろんな人に会えるのはいいなと思っています。お茶屋さんだけやっていたらグリーンズにも会えなかったと思うし。

「ANDON」に来てくれるお客さんと日本橋をつなぐ。そう話す竹田さんの構想には、2階の本棚に近隣の老舗店主が選ぶおすすめ本コーナーの設置や、シンプルに竹田さん自身が日本橋のお店に積極的に赴き、顔馴染みになるなど、ただおむすびを提供するだけではない仕事をしていきたいと言います。

そんな竹田さんとともに、「ANDON」から、これからたくさんの物語が生まれていくことでしょう。

人と街とつながる仕事をしよう

日本橋という地にオープンした「ANDON」。実際、今どんなことを感じているのでしょうか。竹田さんに伺ってみると面白い答えが返ってきました。

竹田さん 肌感覚ではあるんですが、日本橋は江戸の感じが残っているような気がします。

老舗が多いこともあるのかもしれないけど、昔ながらというか、挨拶している姿とかをすごく見てくれていると思う。挨拶に行くと「大変だと思うけどがんばって!」と声をかけてくたり、近隣のお店の方もお客さんとして来てくれたり。東京だけどローカル、みたいな。

さらに、お客さんの反応も普通のおむすび屋さんではなかなかない光景が広がっていると言います。

竹田さん 不思議なんですが、生産者が集まってくるんです。おむすびを食べながら、「僕、香川でお米をつくってるんです」と話してくれたり。普通のおむすび屋さんだとそういう話になかなかならないと思うんですけど、この前は「焼きおにぎり屋をやっています」という人も来てくれました。

そう話してくれるから、そこから新しいメニューやイベントが生まれる。どんどんお客さんと関わって、一緒にできることを探していく。「ANDON」はそんなおむすび屋さんだなと実感しています。

小さなお店の小さなカウンターから生まれる会話から新しいなにかが動き出す。
そんなわくわくするようなお店にこれからも「ANDON」は進化していきます。

竹田さん 「ANDON」での時間を楽しみながら一緒にお店をつくっていく。そんな人に来てほしいですね。

今回の求人では、お客さん、生産者さん、イベントの参加者、「ANDON」に集る多様な人たちとお店をつくっていったり、時には本屋、時にはイベント企画など、様々なお仕事を楽しみながら率先して動くことができる人を待っています。

おむすびをつくるだけでなく、人と人、そして街と人をつなぐ「ANDON」を、一緒につくっていきませんか? 気になったら、まずはおいしいおむすびを食べに訪れてみてください。小さな入口は開いていますよ。

(写真: 寺島由里佳)

[sponsored by おむすびスタンドANDON]