今日は、どんな音楽を聞きましたか? この記事を読んでいる最中も、イヤホンから流れる音を楽しんでいるかもしれません。
定額制の音楽配信サービスを利用している人。
自分の手でアナログレコードに針を落とす人。
ライヴやコンサートに足を運ぶ人。
時代とともに、音楽との向き合い方も多様化していますね。
今回ご紹介するweb上の音楽データベース「Soundcities」は、そんな音楽との新しい関わり方や楽しみ方を提案してくれるプロジェクト。このサイトを使うと誰でも、世界中の”まちの音”から自分だけの交響曲をつくることができるんです!
まずは、データベースで管理されている音について詳しく見ていきましょう。
「Soundcities」に公開されている”まちの音”は数千種類以上、音ひとつの長さは5秒から10秒ほど。例えば、人の足音、話し声、電車の接近メロディ、鳥のさえずり、水のせせらぎ、床を掃除する音まで、普段なら気にすることはない僕たちの周りに散りばめられた音があります。
それらは、世界地図上にクリップされた状態で表示されていたり、同じ画面に主要都市や音のジャンルで検索できるタグマップがあるので、いろんなアプローチから音を検索できます。
場所やタグで自分の好きな音楽を見つけることができたら、交響曲をつくる準備はそれ以上必要ありません。複数の音楽をサイト上で同時に流せる仕組みになっているので、様々な空間の音楽をミックスするだけで、自分だけの交響曲が完成します。
まちは数千の音を持つオーケストラ! その指揮者は僕ら自身!
ここからは、実際に曲をつくる手順をまとめてみます。
① 「Soundcities」のサウンドミックス用ページにアクセス。
② 曲のもとになる音を選択。画面右上のタグマップから選択するか、世界全体を見渡しながら地図上で選択することができます。(※ 選択しただけでは音は流れません。)
③ 最後に、選択した一つひとつの音の流すタイミングを調整。選択した音は再生ボタンによって流れるタイミングを調整できるので、その工夫を細かく重ねれば、より自分好みの曲を表現できます!
また、「Soundcities」の音は全て著作権フリーなので、一つひとつの音をダウンロードして、演劇などのパフォーマンスに使用することもできます。
「Soundcities」にある音のほぼ全てを録音し、現在もその収集を続けているのが、ロンドンのアーティストStanza(以下、スタンザさん)です。
スタンザさんは、
1. 多くの都市や国が目で見て珍しい場所を、自分たちの観光スポットにしていること。
2. 高層ビル群、おしゃれなコーヒーショップ、巨大なショッピングモールが、世界中で同一のものになってしまっていること。
という、視覚的な事柄ばかりに関心が集まっていることに疑問を感じていたといいます。そこで、都市ひとつひとつに視覚的アイデンティティがあるのと同様に、音楽的アイデンティティもあると気づいて「Soundcities」を立ち上げました。
目隠しをしてまちを歩いてみたほうが、各都市の違いは、より分かるのかもしれません。人びとの会話の内容を気にかけると、その土地の興味関心を知れますから。交通の音は、自転車が多いのか、単車が多いのかそれとも車か、はたまた人の歩く音なのか。それを聞くだけで、どれだけその国が発展しているのかも分かるんです。
音楽的アイデンティティへの理解を深めるには、音で遊ぶこと。様々な”まちの音”をかき混ぜる。まるで、まちからまちを瞬間移動するように世界中の音を自由自在に操る。「Soundcities」では、自分自身の音楽的センスを具現化することが可能なんです。
出勤や通学をする際に、好きな音楽を好きな音量で聞き続けることで、ストレス解消になったり、今日も一日頑張ろう! という気持ちになる方は多いかもしれません。
でも、たまには、今この一瞬しか聞くことができない”まちの音”に耳を澄ましてみてはどうでしょうか。新しく、自分のまちの好きな一面を知ることができるかもしれませんよ。
[via CityLab, Soundcities,vimeo]