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スピリチュアルは「スキル」。それってどういうこと? スピリチュアルカウンセラーChikakoさんに、その意味を聞いてみた!

「スピリチュアル」と聞くと、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?

「大好き!」「大嫌い!」「なんとも…」「よくわからない」「胡散臭い!」「実は、ちょっと気になる…」などなど、人によって反応が分かれる、稀有なジャンルかもしれません。

仮にハマっているとしても、「スピリチュアルにハマってます」とは言いにくいし、そう言う人がいたらちょっと身構えちゃう、というのが正直なところではないでしょうか。

このように、ごく普通に受け入れられているとは言い難い状態でありながら、一大産業にもなり、多くの人の興味をいろんな意味で惹きつけている、とても不思議な「スピリチュアル」。

「スピリチュアル」ってそもそも何なのでしょう?

「スピリチュアルって、大嫌いなんです」。
そう話すのは、スピリチュアルカウンセラーであり、心理療法家、催眠療法家でもあるChikako Zoey Ogura(小倉千加子)さん。

スピリチュアルカウンセラーでありながら、スピリチュアルが大嫌いってどういうこと? でも、実はそこにニュートラルな視点がありそうです。今回は、Chikakoさんの仕事と人生をお聞きしつつ、「スピリチュアル」を紐解いていきたいと思います。

Chikako Zoey Ogura(小倉千加子)
1965年11月、大阪市生まれ、コテコテの大阪っ子。心理療法と催眠療法をメインに代替療法を行うBlanc aigle Campany(ブラン・エーグル・カンパニー)主宰。1997年1月より京都市内にて、NGO「女性の起業を考える会」を設立、代表を務め、女性の経済的自立をサポートするとともに、女性の社会進出に尽力する。並行して、3年間に亘り米国での「支援者養成プログラム」などを履修、また日本国内におけるドメスティックバイオレンスに関係する諸機関との連携を図り、DV被害者支援体制を確立。同会の1部門であった「DV被害者サポート事業」を独立させ、同会代表辞任後、2001年10月に京都市で初めてのDV被害者支援のNGO「D.V.S.N.(ドメスティックバイオレンス サポーターズネット)」を設立、代表を務める。約8年の後にD.V.S.N.代表を辞任し、2008年より現職。現在は芦屋を拠点に、日々途切れることのないクライアントに対し、霊的分野からのみならず科学的根拠、心理学的根拠、医学的根拠、物理学的根拠などさまざまな角度からのカウンセリング、ならびに情報提供とアドバイスで、心身の健康に寄与する活動を行っている。
ブログ:「光に繋がる道」「光に繋がる道」アメブロ版
Facebook:Blanc aigle Campany

誰もが持っている普通の能力

子どもの頃から勘が強かったというChikakoさん。他の人には見えないものが見えたり、突然自分がそれまで知らなかったことが分かったりという”いかにも”な幼少時代を過ごします。

しかし、それは「不思議なことでもなんでもない」と、Chikakoさんは言います。

とても不思議なことのように思えるかもしれないですけど、例えば初めて泊まるホテルで、「なんとなく」違和感や居心地の悪さを感じたり、初めて訪れた場所で「この景色見たことある!」と感じたり、亡くなった方が夢に出てきたりって、みなさんけっこう経験があるはずなんです。

知らないことがあっても突然「もしかしたらこうじゃないかな」「あ、こうすればいいんや」って分かったり。それはアイデアとかひらめきという言葉に変えられたりしますけど、それって人間の叡智を越えているところと、もともと私たちはつながっているからなんです。で、その人智を超えた叡智をキャッチしているだけ。

多くの方は、「そんなことできるわけない」って思いがちですけど、自分自身を否定しなければ、誰でも日常生活の中でその力を活用することができるんです。本来すべての人にそなわっている能力だからね。

そう言われると、その「なんとなく」という感覚なら誰でも共感できる経験のはず。それこそが、いわゆる「霊感」と私たちが呼んでいる能力だとChikakoさんは言います。そして、その力がChikakoさんは特別強かった理由は「環境のせいもある」そう。

私の両親はとっても不思議な人で、スピリチュアルに傾倒していたわけではないんですが、肉眼では見えない世界や存在のことをまったく否定せず、ごく普通に受け入れていました。

たとえば父が「死んだ親父が自分に会いに来て、『たまには墓参りに来い』と言って怒ってたわ」なんて言っても、母もまったく驚かずに「そういえば最近行ってないなぁ」なんて返す人でした(笑) だから、我が家では人間が理解できないとされている世界が、まったく特別なことじゃなかったんです。

「霊感」の強さは、環境だけでなく人それぞれの個性にも起因します。その能力はとても特別なもので、ごく一部の人にしかそなわっていないと思われたり、「そんなことあるわけない」と否定されたりしがちです。

また、自分自身でも同じように否定的な思いを抱えたりすることもあります。それらの影響により、自らその能力を封じてしまっているだけなのだそうです。

「怪奇現象」や「心霊体験」などをテーマにしたテレビ番組が古今東西数限りなくあることは、それだけ多くの人の関心を集めていることを示していますが、ご多分に漏れずそんな「オカルト系」が大好きなChikakoさん。ところが、子どもの頃からメディアなどで展開されるストーリーや霊能者の言葉に対して「ちょっと違う」と感じていたのだそう。

現在はその「ちょっと違う」という違和感を明確に説明してくださいますが、Chikakoさんがスピリチュアルが大嫌いな理由は、ここにあります。

たとえば霊能者やスピリチュアルカウンセラーの中には、すべてを霊的なことで解決できると思い込んでいたり、思い込ませようとしている人もいる。

「ご先祖様のお墓参りに行ってないから最近悪いことが起きる」というのは本当は勘違いなんですけど、メディアなどに登場する霊能者やスピリチュアルカウンセラーにそう言われると「そうなんかな」と鵜呑みにしてしまう人もいますよね。でも私は「それって違うんじゃないかな?」と子どもの頃から思っていたんです。

ものごころついた頃から、“知らなかった真実が突然分かる”という経験を数え切れないくらいしました。家庭では否定されなくても、一歩外へ出ると「何も知らないくせに、適当に言ってるやろ!」と否定されてしまって。

今のように、インターネットで何でもすぐに検索できる時代ではなかったですから、余計に。でも図書館などでちゃんと調べれば、やっぱり間違っていなかったとわかることはしょっちゅうでした。だから霊能者やスピリチュアルカウンセラーには「嘘をついてる」って感じる人もいたんです。

それで、子どもの頃から「心霊現象」とか「スピリチュアル」ともてはやされているものは、見るもの聞くものすべて胡散臭く感じていたんです。

Chikakoさんと同じように、「スピリチュアル」に関して「もっともらしいことを言っているけど、どこか胡散臭い」という感覚を持ったことがある人は少なくないのではないでしょうか。

そしてChikakoさんは、他のスピリチュアルカウンセラーとのセッションや、開業してからの多くの気付きによって、より明確にその”胡散臭さ”の正体をつかんでいきます。

ご自宅のリビングルームがクライアントとのセッションルームでもあります。

スピリチュアル系の本やカウンセラーの触れ込みって、だいたい「これを読めば、あるいはここに来れば癒される、すべて解決する」ってありますよね。でも、自分を癒やすのはやっぱりその人自身なんです。そして私たちにできることは、心理カウンセラーや臨床心理士、医療従事者と同じように、「支援」することでしかないんです。

外からの働きかけでその人が幸せになっていくのではなくて、その人が、心理的にも肉体的にも自分の力で努力、行動、工夫して、自分の行動を変えていかないといけないという”気づき”がまず必要です。実際、私たちにできるのは、後押しするとか、きっかけを提供するとかに過ぎないんです。

それよりも、私が問題だと思っているのは、スピリチュアルカウンセラーとして相談業務に携わる方たちの多くが、実は自分自身が癒やされたいという願望を根底に持っているということです。

つまり自分が癒やされたいために、クライアントを利用している。自分の役目を大きく履き違えているカウンセラーやヒーラーが多いというのは、とても残念に感じられることの一つですね。

セッションルームには、たくさんの癒やしの象徴とも言える存在があります。こちらは大天使ガブリエル。コミュニケーションを助けてくれる方なのだそうです。

中央に写る、甲冑の女性は誰だかわかりますか?そう!ジャンヌ・ダルク。Chikakoさんをずっと支え、導いてきた存在なのだそう。

肉体、意識、精神、魂。全部ひっくるめて私たちが生きている世界

Chikakoさんがカウンセリングを始めたのは2008年8月のこと。前職ではドメスティックバイオレンスの被害者支援というちょっと特殊な仕事をしていました。

そこで被害当事者の精神面、肉体面のケアはもちろん、命に関わるような危機的状況まで、数多くの暴力事案を目の当たりにしていた当時、Chikakoさんにとってはスピリチュアルは何の救いにもならないものでした。

「天使? 前世? そんなもんあるわけないやん。神様なんかいるわけないやん」って、思っていました。“科学的根拠に基づく客観的な支援”が原則の、とても厳しい現場でしたから。

医療関係者や公的機関、心理カウンセラー、そしてDV被害者やさらには加害者などとの関わり合いの中で、Chikakoさんは「必要に迫られて」、支援の専門家としての在り方から、法律、医療、心理学などなど多岐にわたる分野の知識を学んでいきます。

木彫りのブッダ像の向こうに見えるのはアドラーの本。今でこそ大ブームになっているアドラーですが、ブームになるずっと前からChikakoさんはアドラー心理学を学んでいました。

そして彼女に転機が訪れます。当時、DV被害者支援の仕事やご自身の生き方に「このままでいいんだろうか。私がやっていることって正しいんだろうか」という思いを抱きはじめていたChikakoさん。そんな彼女に知人がすすめたのは「前世療法」を学べるという3日間の講座。大嫌いなスピリチュアル分野だったのになぜか「行かなくちゃ」という思いが湧き上がってきたとChikakoさんは言います。

参加してみたところ、講座でレクチャーされることは「ツッコミどころ満載であほみたい」で、テキストも1ヶ月後にはすべて捨ててしまったとか(笑)

講座自体は転機のきっかけに過ぎなかったのですが、この講座に参加したことでChikakoさんが得た気づきは、催眠療法のスキルやスピリチュアルの知識ではなく「怒りを捨てる」ことと「すべての基盤は愛である」ということ。

つまり、それまでのDV被害者支援を続けるモチベーションは「加害者に対する怒り」であったのに、その怒りがなくなってしまったのです。そして、本来の“霊感”を自然なものとして受け容れられる自分がいた、とChikakoさんは言います。

そこですぐにDV被害者支援を辞めることを決意し、サイキックリーディング(いわゆる霊視)によるカウンセリングとオリジナルの催眠療法をメインにした「Blanc aigle(ブラン・エーグル)」を開業します。

前職とはまったく違うように思えるスピリチュアルな仕事ですが、Chikakoさんは何もかもを霊的な世界につなげることなく、クライアントの状態をニュートラルな視点から見てバランスよく情報提供しています。

たとえばそれは心理学的であったり医学的であったり、時には科学的であったり物理学的であったり。クライアントのそのときの状態に合わせたきめ細かいカウンセリングに定評があります。

私は、カウンセリングにおいて、ひとつの視点に偏らないよう、多角的な視点からアプローチするように心掛けています。肉体もあるし、意識もあるし、精神もあるし、魂もある。この4つが揃って初めて、私たちのあるべき健康な姿ですから。

人間って肉体があるから、怪我したら痛いし、痛いから気持ちも落ち込むし、そうしたら精神的にも元気がなくなるし、魂の元気度合いも小さくなる…と、全部がそれぞれに影響し合って、つながっているんです。

もちろん霊的なことが原因で起こる不具合もありますけど、その人の不具合がどこに起因するかは、ケースバイケース。だから「○○からしか不具合は起こらない」って決めつけてしまうのは違うかなと。

信じたいことだけを信じるって、人間のひとつの特徴だと思うんですけど、全部ひっくるめて、私たちが生きている世界なんだということを、バランス良く感じるのが大事ですよね。

なるほど!

肉体、意識、精神、魂、この4つがつながりあってわたしたちの健康が成り立っていると思えば、なおさら「スピリチュアル」が不思議なことではないということが理解できます。

「物質的な世界と霊的な世界は不可分」と語るChikakoさん。対極にあるように思えるようなアインシュタインの物理学にも、それははっきりと見て取れるそうです。

何ごとも大事なのはバランス、そして常にニュートラルな視点で、目の前の人の状況を理解する、共感するという、カウンセラーとしてはごく当たり前のスタンスを、Chikakoさんは教えてくれます。

スピリチュアルが胡散臭いと感じてしまう要因は、そんなスタンスとは逆の偏ったアドバイスに対して、わたしたちが感じる無意識の抵抗によるものなのかもしれません。

スピリチュアルは、人生をつくるために必要な道具

セッションルームの入り口に掲げられた天使からのメッセージ。つくったのは当時小学6年生と中学1年生だったChikakoさんの息子さんと娘さん!合作だそうです。素敵!

Chikakoさんのサロンで行われているのはカウンセリングや催眠療法など、心身の調子を崩した人への「癒やし(代替療法)」だけではありません。

ほぼ毎日途切れることなく訪れる人々の相談を受けながらも、自身が培ってきた知識や学びを共有する「傾聴」や「ファシリテーターのための参加型学習の進め方」「マインドフルネスとアクセプタンス」といったテーマのワークショップも多く開催されています。

それは「たくさんの人々の心身の健康に寄与する役目を果たす人をひとりでも多く見つけていく」というのがChikakoさんのミッションだから。

そして「スピリチュアルはスキルです」と話すChikakoさん。それってどういうこと? と聞くと、Chikakoさんは次のように続けます。

スピリチュアルって本来は、怪奇現象でもなんでもなく、自分もまわりも幸せになるように、魂の主軸に「愛」と「善性」を据えるための道具というか、「スキル」だと思うんです。

人生には毎日いろんなことが起きます。そんな中で「自分は自分でいいんだ」と思えるようになるには、すごい努力も必要でしょうし、忍耐強さとか、ぶれないぞ! っていう自分に対する意思、ビジョン、理念も必要でしょう。でもそれらを持っていても、パン! と弾かれるときって、あるんですよね、誰にでも。

それに情報過多なこの時代においては、どんなに信念を持っていても、ぶれてしまいがちです。でも、スピリチュアルというスキルを得ることで、ぶれないように自分で自分を勇気づけることができたり、自分は自分でいいんだと思えたり、自分の人生は自分でつくっていけるんだという確信を持てたり、っていうふうに変わっていくんです。

その「スキル」によって、身体的なこと、精神的なこと、今悩んでいることに関しても、あるいは魂のレベルにおいても、自分自身の深いところからぐっと湧き上がってくるものを、だんだん感じられるようになっていきます。

それって簡単にいえば”楽になる”ということです。

自分の心身に不具合が起きたとき、その不具合がどこから来ているのかを自分でわかるようになったら、いちいち相談しなくてもいいから楽でしょ。だからスピリチュアルはあくまで「スキル」です。それだけがすべてじゃない。だからスキルとして持っておいて、必要なときに使えばいいんです。

「スピリチュアルがスキル」だとは、目からウロコでした!

でも自分を生かすのは自分だし、すべては自分次第。そう思うと、スピリチュアルはより良く生きるために自分をサポートするための道具、といった感じかもしれませんね。

Blanc aigle Campanyでは、パワーストーンを使ったオリジナルのブレスレットを作ってくださることも。
これも「道具」のひとつです。

決して、カウンセラーがいなければ生きていけないわけではありません。だから、依存することもされることもなく、楽しく生きていくためにほどよくスピリチュアルを取り入れたい!でもそのために「よいスピリチュアルカウンセラーの見極め方」ってあるのでしょうか?

それはいろいろあるんですけど、まあ、自分のことを「先生」と呼ばせる人、そしてクライアントを「生徒さん」と呼ぶ人は、やめておいたほうがいいかもしれないですね…。そもそも人間はみんな同じ能力を持ってるのに「なんで先生やねん!」て、言っていいよ(笑)

「戦場カメラマンにとって一番の願いはこの仕事がなくなること、つまり戦争がなくなることだ」と語った戦場カメラマンのロバート・キャパを引き合いに、ご自身も「私の夢はこの仕事、つまりこの世界からすべての相談業務がなくなること」と話すChikakoさん。

Chikakoさんの仕事やミッションは、いまわたしたちが生きているこの世界の歯車がちょっと狂っているかもしれないという警鐘なのかもしれません。

「スピリチュアルは今後、多様性社会を支える一つのスキルとしても必要不可欠なものとなっていく」とChikakoさんは言います。でも私たちは、本来は自分自身の力で”真実”を知ることができ、生きていくことができるはず。だから、今どれだけ自分が無力で無知で情けないと感じていても、大丈夫だと言い聞かせてみる。

それでも、どうにもならずに心が折れてしまいそうになったら、そのときにはちょっとだけ「スキル」の力を借りてみるのもいいかもしれません。