本日は、ビートルズのリーダー、ジョン・レノンの誕生日。もし生きていたとなら、82歳を迎えていたことになる。
ビートルズが解散して半世紀が経ち、ジョン・レノンが殺害されて40年以上が経ってしまったが、常にストリーミングやレコードやCDで彼らの音楽は聴かれ続け、今月末にはビートルズの名盤『REVOLVER』の記念盤も発売される。
20世紀最大の文化現象を仕掛け、敏腕マネージャーとともに音楽ビジネスの仕組みをつくり、妻のオノ・ヨーコとは反戦(平和)活動を始めとする社会変革活動を行ったジョン・レノン。彼の活動を振り返って浮かぶことが、「音楽が社会課題を解決できるのか?」という疑問だ。
ここで僕が2008年にカリフォルニアで音楽テクノロジーを専攻すべく留学していたときに履修したビートルズクラスの最終回で、担当教授が学生に投げかけたことばを引用しておく
ビートルズでさえ、直接的に社会問題を解決することはできなかった。だけれど、彼らの音楽がきっかけとなって人々が立ち上がり前進した社会問題がいっぱいある。
それは、たとえばどんなことだったのか? そして、ビートルズのような存在になれなくとも、音楽に携わっていくあなたたちがこれから社会に貢献できることは何なのか。その答えを探しつづけてほしい。
greenz.jp副編集長でミュージシャンでもある僕は、音楽を通して、より良い社会をつくれるか、という挑戦に励むほうがいいだろう。この記事も、その答えを探し続けるライフワークのひとつである。
それでは、今日は1曲聴いて帰っていただけないだろうか。
ジョン・レノンはかつて、『Gimme Some Truth(真実がほしい)』という曲を1971年に残している。報道や政治家の言動にうんざりしている、市民に真実を伝える世の中をつくろう。そう訴えているのだ。ぜひ歌詞を追いながら聴いてみてほしい。
態度が矛盾していて、自己中心的で、偏執的で高圧的。
そんな奴らを見るのは、もうたくさん。
僕がほしいのは、真実。今は、とにかく真実がほしい。
(※)歌詞一部抜粋訳
毎日がエイプリルフールのように思えてしまうときもある、「POST TRUTH(ポスト真実 *)」の時代。
(*) 「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」 http://www.ei-navi.jp/news/983/による
くだらないジョークで笑いあう、愛おしい時間をつくりだすきっかけで済んでいればよかった。
しかし、いまこうしてスマートフォンなどで記事を読んでいるとき、何を根拠にしているのか、その人の発言に嘘が紛れていないか、誰かに都合のいいように恣意的な編集がされていないかと疑心暗鬼になる方は少なくないかもしれない。
1971年。自宅スタジオで本楽曲をレコーディングしているジョン・レノンの様子
このコラムを初回公開した3年後、ジョン・レノンの遺族が編纂して発売した生誕80周年記念作品の名前は『Gimme Some Truth』だった。この曲の歌詞と持つエネルギーをきっかけに人々が立ち上がり、少しでも社会が良くなるのではないか・・・。そう考えたのかもしれない。
人々が立ち上がるきっかけをつくった曲は、ジョン・レノン以外にもたくさんの音楽家が発表してきた。彼らのような天賦の才能に恵まれていない、でも音楽が大好きで社会の動向を案じている僕ら。でも「音楽が大好き」は、大事な資本だ。あなたの持つ素敵な感性で時にスキルになることもあるだろう。「人と人をつなげ、何か起こそう」、そう思ったら音楽にどんな力を借りよう。そう考えるのは無駄にならない一歩なはずだ。