\11/12オンライン開催/ネイバーフッドデザインを仕事にする 〜まちを楽しみ、助け合う、「暮らしのコミュニティ」をつくる〜

greenz people ロゴ

ゲリラ豪雨によるずぶ濡れにサヨナラ! フランス発、自ら天気を予知できる”世界一賢い傘”「Oombrella」が誕生!

photo1

ビルの外に出てみたら、バケツをひっくり返したような雨。傘がなくて、駅までずぶ濡れで歩く羽目に…そんな経験ありませんか?

夕立の降る夏は、ただでさえ天候が不安定な季節。近年では、予測できない豪雨のことを「ゲリラ豪雨」と表現するようになり、すっかり定着してしまいました。

この時期は、常にかばんに傘を入れて出かけるという方も多いでしょうが、ついつい忘れてしまうことも。ゲリラ豪雨のたびに、ビニール傘を買っていたら、玄関に溜まってしまったという方もいるかもしれません。

いくら自然現象とはいえ、突然の雨でずぶ濡れになるのはもうこりごり…そんな人々の悩みに答える賢い傘を、フランスで見つけました。
 
photo2

今回ご紹介する、“世界一賢い傘”「oombrella」は、一見するとごく普通の傘。しかし、天気共有アプリ「wezzoo」と連携する仕組みになっており、雨の降り出しを予測すると、15分前には「降ります!」と、スマートフォンにプッシュ通知。

それでも気づかない人には、自ら傘のハンドル部分を光らせ、ブザー音まで発する安心の二重通知。この機能によって、ゲリラ豪雨による「ずぶ濡れ」は回避できそうです。
 
photo4
「15分後に雨が降ってくるわよ。私を連れてって!」

しかし、人間と傘の戦いはここから。電車の中で、寄り道先で、一瞬の晴れ間に油断して忘れてしまうのが傘というもの。この傘はBluetoothを駆使して、傘とスマートフォンの間に一定の距離が空いたら、傘の置き忘れをプッシュ通知。「置いてかないで!」と自らアピールしてくれます。

それでも置き忘れる人は、最後の接続地点がスマートフォンに記録されています。ちゃんと迎えに行ってあげましょう。
 
photo3

とはいえ、こんな夢のように賢い傘。一体、どうやって実現したのでしょう。

まず最初のポイントが、ソーシャルメディアとの連携。「oombrella」を開発したのは、天気共有アプリ「wezzoo」を提供するクリエイターチーム。アプリに集約された、世界各地のローカルな天気情報によって、15分以内に雨が予想される地域に対し「もうすぐ降ります!」とプッシュ通知することが可能になったのです。
 
photo5

傘というアナログなものと、デジタルなアプリを融合させたのは、柄の部分に内蔵された「電子カプセル」。

このカプセルは、アプリからのデータを受信するだけでなく、カプセル自体が計測した温度・気圧・湿度・光といった気象情報を、Bluetoothで送信することもでき、それらの情報がアプリに蓄積されていきます。このデータはまた、どこか別の場所にいる誰かが「ずぶ濡れ」になることを、防いでくれるわけです。
 
photo7

photo6

とはいえ、「コンピュータが内蔵された傘って、防水性・耐久性は大丈夫なの?」と心配になる方も、きっといらっしゃるでしょう。もちろん、「oombrella」は、傘としてのクオリティも充分。

まず、きらきらと輝く虹のような天蓋部分は、耐UV性と防風性に優れた特殊素材。骨の部分は、ケブラーという自動車の部品にも用いられる耐久素材を使用し、嵐や吹雪にも耐えうるといいます。そして柄の部分は完全防水のプラスチック製だから、電子カプセルに水が入り、壊れてしまう心配も無用。

oombrella」の気になる価格は、定価79ユーロ。コンビニで購入する傘と比べて割高感は否めませんが、長い間愛用することを考えれば、決して高すぎる価格ではないと思います。

憂鬱な雨の日をハッピーな日に

このように、賢くて綺麗で強さまでも兼ね備えた、夢のような傘「oombrella」は、IT・電子工学・工業デザインと、バックグラウンドの異なるチームが力を合わせた「夢の結晶」。

開発を終えたメンバーたちは、2016年3月にクラウドファンディングに挑戦し、商品化を人々に呼びかけました。やがて5月に目標額を達成。今年の10月には世界中の出資者に傘が届けられることになったのです。

CEOのClément Guillot(以下、クレメントさん)は、喜びをこう口にします。

傘とスマートデバイスの融合が実現でき、メンバーたちも興奮しています。
みんなで一緒に、憂鬱な雨の日をハッピーな日に変えていきましょう。

photo8
「憂鬱な雨の日を楽しくしたい」という素朴な想いのもと、各々の叡智を結集させた「oombrella」製作メンバーたち。中央がCEOのクレメントさん

wezzoo」というアプリは、まだまだ日本ではユーザーが少なく、ユーザーが増えない限り、情報の精度を向上させるのは難しいと言わざるを得ません。

しかし、メンバーたちの素朴な想いが「oombrella」というプロダクトを生み出し、クラウドファンディングで世界中に共感の輪を広めたように、アプリがもっと普及していくことになれば、突然の雨に濡らされて、憂鬱な一日を過ごすことにサヨナラできるかも?

[via inhabitat, indiegogo, drool’d, the bridge]

(Text: 松原裕香子)