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藻を食べて食生活を整える「“藻活(もかつ)”のすすめ」 5億年以上前に誕生した小さな藻・ミドリムシの可能性とは?

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みなさんは「藻」と聞くと何を想像しますか? 川底で揺れる川藻のたぐい、あるいは水槽に入れる小さな水藻かもしれません。しかし、藻の仲間は私たちが想像する以上に多彩です。

藻とは、光合成をする生物からコケ植物、シダ植物、種子植物を除いた生物といわれています。主に水中に生息し、顕微鏡でしか見ることができない「微細藻類」から、日本人が食してきた昆布やワカメのような大型海藻までが含まれています。

近年、再び注目を集めているのが「微細藻類」。とりわけミドリムシは、健康、食、エネルギーなど、多方面の課題解決に期待を寄せられ、知名度をあげています。

この、ミドリムシの学名「Euglena」を社名に掲げるのが株式会社ユーグレナ。「人と地球を健康にする」という経営理念のもと、ミドリムシの普及に情熱を傾けています。実は、株式会社ユーグレナ創業の背景には、世界の貧困や栄養事情の改善への強い思いがありました。

※以下、ミドリムシの学名は「ユーグレナ」、社名は「ユーグレナ社」と記載。

ミドリムシで子どもたちを救いたい

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株式会社ユーグレナ創業者のひとり、取締役・研究開発部長の鈴木健吾さん。東京大学農学部在学時よりミドリムシの大量培養技術の研究を行いました

1998年、ユーグレナ社創業者のひとりであり、社長の出雲充さんは、東京大学在学中に学外活動でバングラデシュを訪問。貧困を目の当たりにし、栄養失調などで毎年多くの幼い子どもたちが命を落としているという現実を知ります。このとき出雲さんが抱いた、世界の貧困や栄養事情の改善への思いが、会社の創業につながりました。

バングラデシュから帰国後、同じく東京大学に在籍していた鈴木健吾さんより、ミドリムシが持つ栄養素や二酸化炭素を固定化する力に、世界の「食料問題」や「環境問題」を解決するポテンシャルがあることを聞きます。そして2005年8月にユーグレナ社を設立し、同12月には、世界初となるミドリムシの屋外大量培養に成功したのです。

そんなユーグレナ社創業の思いがかたちになったのが、今年3年目を迎える「ユーグレナGENKIプログラム」。

対象の商品をひとつ購入すると、ミドリムシ入りのクッキー1食分(6枚)がバングラデシュの子どもたちに届きます。クッキー1食で子どもたちに特に不足している栄養素1日分を提供でき、これまでに約187万食分(2016年5月現在)がバングラデシュの子どもたちに届けられました。現在は1日当り約6,000食分のクッキーが配布されています。

日本人と藻は千年前からのおつきあい

では、ユーグレナ社が「栄養事情の改善」に期待をかけた、微細藻類の可能性とはいったいどんなものなのでしょうか?

今回は、ユーグレナ社のご招待により、第70回日本栄養・食糧学会大会ランチョンセミナー「藻類研究の食生活への挑戦〜『藻活(もかつ)』のすすめ〜」に参加してお話を伺ってきました。
 
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お弁当を食べながらリラックスして聴講できるランチョンセミナーは大人気(撮影: 森本奈津美)

同学会のランチョンセミナーで、「藻類研究の食生活への挑戦〜『藻活(もかつ)』のすすめ〜」を発表されたのは、大阪青山大学/兵庫県立大学先端食科学研究センターの渡邊敏明教授。栄養生理学のなかでも、特に健康学を専門に研究されている先生です。ランチョンセミナーでは、「今日のお話は“藻”ということで、お弁当のダシになれば」とユーモアたっぷりにお話を始められました。

意外だったのは、日本人のように日常的に藻を食べる文化を持つ民族は世界的にも珍しいということ。720年頃に編纂された『日本書紀』にはすでに褐藻類のホンダワラが登場。さらに、935年頃(平安時代中期)に編纂された辞書『倭名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)』には、昆布、ワカメ、アラメ、アオノリなど、私たちにもなじみ深い藻の名前が10種類も記載されているそうです。

そんな、日本人と藻のなが〜い関係に新たな息吹をもたらしているのが、微細藻類のミドリムシ(ユーグレナ)。0.05mmの小さなミドリムシにはどんな特徴があるのでしょうか?

藻類は栄養素の宝庫!

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藻類は、大きく分けて5種類に分類されます。藻類には「カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウムなどのミネラル、多糖やカロテノイドが含まれている」という特徴があるそう。

また、紅藻類のアマノリにはタウリン、EPA、ビタミンB1、B2、B12 やアルギニンが、褐藻類のワカメにはフコイダン、フコキサンチン、アルギン酸、リノール酸が含まれるなど、藻類それぞれに特徴があります。では次に、微細藻類、そしてユーグレナの特徴を見てみましょう。 
 
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ユーグレナに含まれる栄養素

ユーグレナは、59種類の栄養素を含み、栄養素バランスが整っているだけではなく、消化率が高いことも大きなポイントです。なぜ、ユーグレナは消化率が高いのでしょうか。

渡邊先生 野菜など、植物は細胞壁を持っているため、人間には消化が難しいのです。しかし、植物と動物の両方の特徴を備えるユーグレナは細胞壁がないため、消化率が93.1%(※)と高くなるのです。
(※)タンパク質の場合 出典:日本農芸化学会誌第51巻第8号 p483~p488(1977)
Euglena gracilis タンパク質の人工消化実験およびネズミ飼育試験による栄養価の決定

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もう一つ、注目されているのがユーグレナ特有の食物繊維「パラミロン」。渡邊先生はパラミロンの難消化性で油分などが吸着する特徴に注目し、その研究にも力を注いでいるそうです。

藻活とは「藻を活用した食生活」

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200名定員の会場はほぼ満員! 藻活人も“増殖”しそうです(撮影: 森本奈津美)

「藻は豊かな栄養素をバランスよく含んでいる」「ユーグレナは栄養素が多く、様々な特徴もみられる」などといった藻の可能性について発表した渡邊先生は、最後に「藻活のすすめ」をお話しされました。

渡邊先生 「藻活」とは藻を単に摂るだけでなく、食事バランスを整えるために積極的に藻を活用することであります。藻の持つ栄養素とその特徴を活かして活力アップにつなげるような食生活をしている人を“藻活人”と呼びたいと思います。

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ネクタイやカフスまで、藻を意識するおしゃれな“藻活人”渡邊先生。学生さんからも人気です(撮影: 森本奈津美)

渡邊先生によると「藻活」の「活」は、「活かす」や「活力」などの意味もこめられているとのこと。必要な栄養を摂取するだけではなく、藻の特徴を活かして健康な身体を積極的に目指す人こそ“藻活人”なのです。「おやつに海苔を食べている」だけでは“藻活人”とは言えないようです。“藻っと”がんばらねば!

「ユーグレナ・ファームの緑汁」や「アルジーバー」で“藻活人”に

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様々な栄養素をもつミドリムシ(ユーグレナ)とクロレラが練り込まれた「ALGAE BAR」。すでにコンビニやスーパーなどで販売されています

正直に言うと、「ミドリムシ」にはちょっと抵抗を感じていましたが、「ワカメや昆布と同じ藻」と言われてイメージが変わった私。おみやげに「ユーグレナ・ファームの緑汁」と、「ALGAE BAR(アルジーバー、algae=藻)」の“藻活セット”をいただいたので、さっそく藻活をしてみました。

「ユーグレナ・ファームの緑汁」は、「牛乳にはちみつと一緒に混ぜて飲む」というレシピにチャレンジ。ちょっとグリーンなきなこ牛乳みたいなイメージ(?)で、すんなり飲めました。「ALGAE BAR」は、アップルシナモン味と、黒ごま味の2種類があり、こちらは、思っていたより藻の味わいがありました。これなら、手軽に藻活を続けられそうです。

ミドリムシの登場により、「藻」を摂るバリエーションは格段に増えてきています。「藻活してみたいけれど、どこから始めたらいいかわからない」という人は、手始めに「ALGAE BAR」や「ユーグレナ・ファームの緑汁」などから試してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、「ユーグレナ・ファームの緑汁」も「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品。「藻活」をしながらバングラデシュの栄養事情の改善活動にも参加できます!

[sponsored by ユーグレナ]