みなさんは、自然に囲まれて暮らしたいと考えたことはありませんか?
高層ビルが並び、最新の情報やものが集まる都会で暮らすことは便利である一方で、街の発展とともに緑が失われ、自然と触れ合う機会は少なくなってきているかもしれません。
ここ数年では自然あふれる地方への移住を選ぶ人も増えましたが、仕事や学校などの理由で実現はなかなか難しいですよね。
もし都会で暮らしながら、日常的に自然に触れ合えることができたら・・・
そんな理想を叶えてくれそうな高層マンション建設プロジェクト「Diamond Lotus」が、今、ベトナムの中心地であるホーチミンで動き始めています。
波のようなデザインのバルコニーからのぞく緑は、まるでアートのよう。
22階建ての3棟のビルは緑につつまれ、屋上が橋でつながっており、一見マンションには見えないような不思議な外観。さっそく、気になる内部を覗いてみましょう。
部屋は白い壁と木材でシンプルなデザイン。それぞれの部屋のバルコニーは竹に囲まれ、マンションでありながらまるで庭があるような気持ちにさせてくれます。建物全体が緑色につつまれているのは、このバルコニーの竹があったからなのですね!
このバルコニーの竹は、各部屋に自然をもたらすだけでなく、熱帯気候の強い日差しをさえぎり、開発により汚染された空気を浄化する効果も期待されています。ホーチミンの環境を考えたうえで、住民の暮らしやすさを求めたデザインがほどこされているのです。
大きな窓から見える竹のおかげで、都会にいることを忘れてしまいそう
こちらはベッドルーム。朝、目を覚まし窓を開けると、やわらかな日差しにつつまれ、ほのかに竹の香りがする中で深く息を吸い込む。穏やかな一日のはじまりが迎えられそうです。
強い日差しに邪魔されることなく、ゆっくりと眠れそう
さらにもうひとつ、このマンションの特徴といえる屋上。3棟のマンションをつなぐように橋がかけられ、大きな自然公園が広がっているのです!
22階の高さに広がるこの空間は、まるで空の中にいるよう。早起きをした朝、ゆっくりしたい休日、いつでも思い立ったときにここへ足を運べば、自然に囲まれながら空の中でのお散歩を楽しむことができます。
なかなか同じマンションに住む人と話す機会というのはないかもしれませんが、もし屋上にこんな公園があったら、散歩中に出会ったり、会話が生まれたりと、住民同士が交流するきっかけにもなるかもしれません!
自然に囲まれながら、空中散歩が楽しめる
このプロジェクトをはじめたベトナムの建築家Vo Trong Nghia(ヴォ・チョン・ギア、以下、ギアさん)は、”建築によって破壊された自然を、建築によって取り戻す”という思いから、今までにも数多くの自然のある建築を手がけてきました。
そんな彼は「Diamond Lotus」について、このように語っています。
ホーチミンでは、開発によってたくさんの自然が失われつつある。僕は、住民の暮らしやすい空間をつくることだけを目的にしたのではなく、緑につつまれたこのマンションをホーチミンの中心につくることで、自然のある風景をこの街に取り戻したいと思っているんだ。
このマンションをきっかけに、ホーチミンで暮らす人びとに環境の持続可能性について改めて考えてもらいたい。
ギアさん
ギアさんは、自分の仕事である建築で、暮らしやすい住居を提供するだけでなく、そこで暮らす人びとに、”開発による環境破壊”という問題について改めて考えてもらうきっかけをつくろうとしています。
もっとこんな社会になったらいいのにと思っていても、先頭に立って変えていこうと行動に移すことは難しいかもしれません。そんなときはギアさんのように、自分の得意なことや好きなことを生かして、自分らしいやり方できっかけという小さな種をまくことから始めてみてはいかがでしょう?
人と話すのが好きなら、家族や友だちにこんなものがあったら楽しいよね! と話してみる。絵を描くのが好きなら絵にして伝えてみる。そんなところから、あなたの思い描く社会を形にしていくことができるのかもしれません。
[via CO.EXIST, dezeen magazine, inhabitat, gizmag, ARCH20]
(Text: 神本萌)