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新国立競技場計画や、東京都内の鉄道延伸などのニュースが話題になり、東京オリンピックの足音が段々せまってきたと感じる人もいるのではないでしょうか? 東京オリンピックはスポーツの祭典としてもさることながら、実は文化的イベントとして大きな役割を持っています。
五輪憲章では文化プログラムの実施が義務化されており、東京オリンピック・パラリンピックでも、この機会を最大限活用するために、今まさに実施内容が検討されています。そしてなんと、2016年からの4年間で、20万件の文化イベントの実施、5000万人の参加、そして2020年には2000万人の海外からの観光客を目標としているそうです。一人一人がこの文化プログラムに関わる可能性を大きくあります。
オリンピックは、私たちがどんな日本の文化を伝えていきたいか、そもそも日本はどんな国なのかを見直す機会になりそうです。国、地方自治体、企業のそれぞれが伝えようとする日本文化もあると思いますが、みなさんだったら、どんな日本の文化を伝えたいですか?
今回は、日本のものづくりを通して、改めて日本ってどんな国なのか、またどんな文化を伝えていくべきか、一緒に考えてみましょう。
下駄で痛い思いをさせたくない。この道49年、鼻緒すげ職人・根岸俊吉さんが「東京花緒すげ名人会」に込めた思いとは by 石川円香さん
「一人一人の個性に合わせた、伝統のものづくり」
みなさんは下駄を履いたときに、まめができたり、皮がむけたり、痛くて歩けなくなった経験はありますか。
根岸さんは「鼻緒すげ」という技を磨きつづけて49年、3代目の職人さん。鼻緒を通し、一人一人の足に合わせて仕上げる技のことで、痛くて履けなかった下駄も、根岸さんの手にかかればちょうどよい履き心地に。
大量生産でつくられた自分の足に合わない下駄が生み出してしまった、「履きにくい」だとか「痛い」という誤ったイメージ。そこで根岸さんは、下駄や草履本来の履き心地の良さを知ってもらうための活動を始めました。生粋の職人がつむぎだす伝統のものづくりやその精神に、どんな日本らしさが息づいているのか見てみましょう。(⇒続きは、こちら)
日本って本当にカラフル!伝統工芸の彩りを日常のワードローブにするブランド「KARAFURU」 by Hitomi ITOさん
「洋風ファッションは古い!? 日本の職人技を取り入れた日本のファッション」
日本の伝統文化はシンプルだったり、ミニマルすぎたり、自分には合わないと思っていませんか?
編集者として活躍していた黒田幸さんは、イタリアで伝統工芸の工房を巡った経験から、改めて日本の伝統文化の魅力、特に色彩の豊かさに気づかされました。
歌舞伎の衣装や着物を思い出してみてください、質素な生活を基本とする日本文化からは想像つかないほどカラフルですよね。ただ、そのものづくりの多くの伝統技術が廃れつつあります。
そこで、黒田さんは「KARAFURU」という伝統技術を現代風にアレンジするブランドを立ち上げます。もしかしたら黒田さんのように、私たちが新たな価値を見いだせる伝統文化がまだあるかもしれません。では、まず伝統文化の魅力を覗いてみませんか?(⇒続きは、こちら)
型も常識もうちやぶる!斬新なデザインで、京都と有田の伝統技術をつなぐ”読む器”ブランド「sione」 by 宮下直樹さん
「業界のタブーを打ち破る、新しい伝統文化のかたち」
ご実家が京都の代々続く焼き物の名家である、河原尚子さん。河原さんは、女性が代を継ぐことができないため、大学卒業後は佐賀の仏画の陶板画家に師事。そこで、河原さんの創作活動を揺るがす鮮烈な経験をします。
そこで行われていたのは、陶芸世界においてはタブーとされている、釉薬を使って何度も絵付けを重ねること。このことをきっかけに、京都と有田の伝統技術を用いた、自身のブランド「sione」を通して、常識に縛られない創作をはじめました。
伝統を守るだけではなく、全く異なる伝統技術を掛け合わせて革新を生む、そんな可能性がまだまだ日本の伝統文化には隠されているのではないでしょうか。(⇒続きは、こちら)
小さな凸凹木材が、森を救い、地域を盛り上げる! 簡単に家具や部屋を手作りできる「KUMIKIプロジェクト」始まります! by 平川友紀さん
「モノを買うのではなく、自分たちの手で暮らしをつくることをライフスタイルに」
家や家具は”買うもの”と思っていませんか?
陸前高田市は、気仙杉という杉材の産地。森の荒廃の原因となる伐採したあとの残された切株を活用して、家具から家まで組み立てられるDIYキット「KUMIKI BRICKS」を製作したのは、「株式会社紬」代表の桑原憂貴さん。
仕組みは非常に簡単で、積み木のように木材の凸凹をはめ込んでいくだけ。自分たちの手でつくることで、愛着がわいてきて自然と大切に使おうと思わせるだけではなく、一緒に作業をすることで人と人とのつながり、また人と自然とのつながりを生むことができます。既製品に囲まれた暮らしではなく、自分の延長線上にある日本の暮らし方を考えてみませんか?(⇒続きは、こちら)
大量生産の時代に必要なのは”捨て方のデザイン”!素材として廃棄物にいのちを吹き込む「モノ:ファクトリー」 by 増村江利子さん
「日本のもったいない文化がさらに発展! 捨て方をデザインする!?」
私たちはモノを買うときはとても慎重になるのに、モノを捨てるときはなぜ慎重に考えないのでしょうか?
産業廃棄物の処理業者である「株式会社ナカダイ」は、「廃棄物をリサイクルするだけではもったいない! 素材として活かしたいという想いから「モノ:ファクトリー」という取り組みを始めました。
ここでは、廃棄物の解体や分別を体験できるワークショップが開催され、豊富な素材や機材を使って実際にモノづくりを体験することができます。「もったいない」という日本の精神から生まれた新しい捨て方・消費の在り方は、今後世界の見本となる可能性を秘めているのではないでしょうか。(⇒続きは、こちら)
いかがでしたか? 「ものづくりの国」といわれる日本ですが、近年は生活者のニーズに合ったモノをつくるだけではなく、伝統文化の継承、消費の在り方の提案やモノの製作過程に生活者をとり込むなど、革新的なモノが生まれつつあります。
ものづくりだけではなく、アニメ・漫画・J-POP・ファッションなどのポップカルチャー、狂言・歌舞伎などの伝統芸能など日本には、まだまだ多くの文化遺産が眠っています。そして、その文化を発展させるか、衰退させるかは私たち次第です。
自分の興味のある分野の日本文化を見直し、自分なりのアレンジを加えることで、新しく蘇るきっかけをつくることができるかもしれません。そして、それはまるで何かに恋をするかのように、世界の誰かの生活を彩るのではないでしょうか。
(Text / Curator: 笹澤つかさ)
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