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みんなで続ける冒険が楽しい!3年目を迎えた「READYFOR?」米良はるかさんに聞く「”一生懸命”、仕事をするということ」

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特集「a Piece of Social Innovation」は、日本中の”ソーシャルイノベーションのカケラたち”をご紹介するNPO法人ミラツクとの共同企画です。

グリーンズ読者のなかには、クラウドファンディングで支援した経験がある人も少なくないかもしれません。

READYFOR?」は3年前、日本では初のクラウドファンディングサイトとして設立されました。それから着実に成長を遂げ、後を追うようにさまざまなサイトが立ち上がっています。

READYFOR?設立者の米良はるかさんは、これまでどんな想いでこの活動に取り組み、そして今何を感じているのでしょうか。「誰もがやりたいことを実行できる世の中に」という高い志の源をさぐりました。

わたしがやらないと、という思い

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READYFOR?で1,000万円を超える支援が集まった、幻の国産車「くろがね四起」復元計画

もともと起業したいということは考えていなかったという米良さん。けれども、インターネットの可能性に触れたことから、その人生が大きく変わり始めます。

インターネットができたことで、人と人とがつながったり、言語の障壁が取り払えたら、国と国もすごくフラットにつながることができたりするようになりましたよね。そんな風な世の中の変化のイニシアチブをとれるような人でいられるかな、っていうのを考えるようになりました。

そこで彼女は、2009年「Cherring SPYSEE(チアスパ)」というサービスを立ち上げます。翌年、パラリンピックのスキーチームの荒井秀樹監督のプロジェクトを成功させ、スキー板用のワックス購入代100万円を集めます。彼女が頭の中で考えていた理想が、ひとつ実現した瞬間でした。
 

「障害者クロスカントリースキー日本チーム」ウェブサイトより

まだ日本にはクラウドファンディングという概念そのものが存在しない頃。海外でその存在を知った彼女は、私がやらないと、と思ったと言います。

誰もがやりたいことを実行できる世の中にしたいんです。すべての人がやりたいことや好きなことや夢への一歩を踏み出すことを支えたい、それを広げていきたいと思っているんですね。

苦しみ悩んだREADYFOR?設立一年目

そして、2011年3月「READYFOR?」がスタートします。最初の一年目を笑顔で振り返る米良さんですが、その苦しみは相当のものだったようでした。

最初の一年はすごいしんどかったと思います。何をやれば何を達成できるのかわからない、という状態でした。実現したい世界はすごく抽象的に存在しているけれど、それに近づくためのステップや戦略や思考が全く備わってない中で、日々走ってる感じなんです。でも、真っ暗な中どこに向かって走っているかもわからない。一年間ずっとそうでした。

「なぜ続けられたのかそれもよくわからないんです(苦笑)」というほどの不安と、周りの皆が就職していく中で、人と違うことをしていることに対する不安、そのただ中にいるとき、ひとつの大きなきっかけが彼女に訪れます。それはスイスで行われる「ダボス会議2012」に招かれたことでした。

そこには、人と人がつながってひとつの価値を求めるような、ネットの世界には存在しかけていたことを、一種リアルな場として目の当たりにするチャンスでした。

同じぐらいの世代の人がそれぞれがそれぞれの国の問題を抱えながら、自分のベストを尽くしてがんばっていることがすごく気持ちがよかったです。何となく人と違うことをしてるという悩みが、そのときにふとなくなったと言うか。

そう言いつつも、「なくなってはないんですけどね」と付け足した姿に、未知のものに果敢に取り組んで、ゼロから1へと作り出し、代表として組織を背負っていく、その過酷な一面を垣間見た気がしました。

それでも、二年目からは少しずつやるべきことも周りも見え、活動が着実に進み始めました。数字も成長の跡をはっきりと残し、米良さん自身も注目を集めていきます。

私自身は、本当に何でもなくて、ただいろんな人が平等にチャンスを受けられるような社会を作るために、少しでも貢献していけたらいいなと思っているだけです。すべての人に同じようにチャンスが存在しているし、そのチャンスを手に入れて、がんばり続けられるかはその人次第なのかなと思ってるんですね。

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3月には3年目を迎え、ロゴを一新しました

チャンスを意識的にとらえることで、さらなるチャンスを引き寄せる

取材中、彼女は繰り返し繰り返し「一生懸命」という言葉を口にしました。「一生懸命」やってきた、「一生懸命」やりたい、「一生懸命」やっている人が好き。

けれども、小さな子どもの頃からそういった性格だったわけではなく、彼女自身の経験が、そのような考えにたどりつかせたようです。

ストイックにやり続けた先に、自分のプロフェッショナル性を見つけることができたことが、大きく影響しているのかもしれないですね。いろいろ反対されたりするし、応援してくれる人も最初はいないかもしれないけど、やり続けてくるといろんなチャンスが巡ってくるということを、私は自分の人生を通じて体感しています。

だからこそ、米良さんは「もっとがんばり続けることで未来が開ける」と信じているようです。そんな彼女の最近のお気に入りの言葉は、「chance favors the prepared mind」。チャンスは準備できている人にちゃんと回ってくるという言葉です。

すごく実感してるんです。ダメなときは全然ダメだけど、そういうときに一生懸命やっていると、おもしろいことがやってきたりして。そういう経験がすごいサイクルで回ってくるんです。

確かに、そういう波のようなものを感じたことのある人は多いかもしれません。けれども、なかなかチャンスがやってこなければ、人はどうしても疲れてしまうもの。

そこで彼女は、「短期間にチャンスだと感じることがあるように、意識的に捉えている気がする」と言います。そうやって、短いペースでチャンスと感じられるものがあることが、何かに長期的に取り組み続けるときに大切な心の持ちようなのかもしれません。

「自分の最適化」が大事

一見スーパーウーマンのように見える米良さんでも、そんな風にがんばれる自分であるための努力は、欠かしていないようです。

もちろん私だって、「いつも元気です」みたいなことはないし、疲れてやる気がおきない、やばいっていうときもあるんですけど、そのときこそがんばるためにどうしたらいいのかをすごく考えて、自分の最適化みたいなことをしてますね。

他にも、彼女が「READYFOR?」を立ち上げようと思った原点であるシリコンバレーには、年に一度足を運ぶようにしたり、海外とフラットにつながりたいというミッションのために、海外の人たちと交流できるような場を設けるようにしたりしているそうです。そうやって自分のモチベーションをしっかりとメンテナンスすることを何より大切にしているのですね。

ちなみに日常生活での心がけは、意外なくらい「普通」だと言います。意識しているのは寝ることぐらいだそうで、食べるものに対することだわりは一切ないそう。

食べることは大好きなんですけど、一番好きなものがマックのフライドポテトで。いっぱい食べるし、夜中に食べるし、健康に全く気を使ってなくて。全然ダメです。

運動もまるでしないという米良さん。それまでの口ぶりから、一気にくだけた雰囲気になってきました。

ランニングとかヨガとかをしているエシカルな女性になりたいんですけど、全然できてないんです。適当なんです。エシカルなステキ女子になりたいですね(笑)

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今は、船に乗ってがんばって進んで行くのに十分な環境だと思っています。たまに船に穴が空いて水が入ってきたりするんですけど、皆で一生懸命工事して、冒険を続けている感じ。

これからも、思いもかけないところに岩があってぶつかるかもしれないし、大きな船がやってきて抜かれちゃうかもしれない。思ってたよりお宝が近いところにあって、意外と早く到着できるかもしれないし、想定外のことがあるかもしれない。でも、それこそが冒険のおもしろさなわけで。そういう冒険をしていたい。

冒険って、日々を安全に早く進み続けることじゃないですか。そのために、一生懸命漕ぐ。その漕ぐ力をつけていくんです。

一日一日そうやって冒険を続けながら、米良さんはひたすら前向きです。

人生一回きりしかないから、どんどんいろんなこと知りたいし、いろんな人と出会いたいし、どんどんポジティブに発展し続けていきたいという、その願いを日々実践しながら、「誰もがやりたいことを実行できる世の中」をめざしていくことでしょう。

その瞳には、今よりもっと明るい未来が映っているのだと感じました。