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エネルギーは燃料のことだけじゃない。愛というエネルギーがあなたを突き動かすことを忘れないで。セヴァン・スズキさん来日レポート(2014年)

2014年3月9日に公開した記事を再編集してお届けします!

2014年2月15日(日)、1992年開催の「地球サミット」での伝説のスピーチで知られる、セヴァン・スズキ(Severn Suzuki)さんの来日イベント「Love is the Movement!」が明治学院大学で開催されました。今回は当日のセヴァンさんのスピーチを、たっぷりお伝えします!

カナダから、6年ぶり(当時)の来日!

当時、6年ぶりの来日となったセヴァンさん。日系カナダ人を父に持つ彼女にとって、日本に来ることは特別な体験だそうです。

日本とカナダは、遠い国だと思うかもしれませんが、私たちは海を隔てて、さまざまな問題を共有していますよね。福島第一原子力発電所の事故は、日本だけでなく、海の向こう側の私たちにとっても重要な関心事なんです。だからこそ今回、自分の子どもを日本に連れてくることには、とても葛藤がありました。

私は現代という大きな変化の時代にも、エネルギー問題への回答を出していくべきだと思います。それは、単にエネルギー源を決めることではありません。「どのように使うのか」「どのように浪費しているのか」まで考えるべきです。

エネルギー問題と常に結びついているのが、気候変動という大問題です。20年以上前から気候変動を指摘してきたセヴァンさんは、「もう議論をしている場合じゃない」と話します。

私は20年前から多くの人々に、世界中で気候変動が起きていることを伝えてきましたが、今はそのような活動も必要がなくなりました。なぜなら、非常に保守的な政権でも、「何か対策をしないといけない」と認めざるをえない状況まで来てしまったからです。

もう、「気候変動が起きているか起きていないか」を議論している場合ではありません。気候変動に限らず社会的課題の解決を目指して、みんなでアクションを起こしていきましょう!

そのアクションを起こす主役は、政治家ではなく、わたしたち! では、どのように、持続可能な未来を目指して行動すればいいのでしょうか?

私は、市町村や地域などの草の根のリーダーシップにとても期待しています。たとえば”地域通貨”。ブラジルの「パルマス銀行」は地域通貨をサポートしていますし、イギリスのブリストル市長は、自分の給料をすべて地域通貨で受け取っています。(※1)ブリストルの市民は、税金を「ブリストルポンド(Bristol Pound)」という地域通貨でも払うことができるんです。(※2)

その他にも、世界中に広がる”都市農園”は、自然と人間社会の関係を結び直す役割を果たしています。そして、ご存知の方も多いと思いますが、ブータンでは「GNH(国民総幸福量、Gross National Happiness」を打ち出して、世界中に向けて本当の豊かさを投げかけています。

セヴァンさんの今回の来日は、単に講演イベントを開催することだけが目的ではありません。イベントの2日前には、浜松のトランジションタウンを視察したそうです。日本におけるスロームーブメント、ローカリゼーション、ダウンシフトの盛り上がりを実感し、「お金じゃない豊かさとは何か?」を改めて考える時間になったとか。

「お金じゃない豊かさとは?」と質問されて私が浮かぶものは、食べ物とコミュニティです。私は、自分で食べ物をつくる人々は、自然とコミュニティをつくりだすことができると感じています。ぜひ、自分自身で食べ物をつくることを始めてみてください。

あとは道具や人力の貸し借りをする生活を実践することで、お金への依存度は、ぐっとさがりますよ。より安定した安心の暮らしは、こういった取り組みで簡単に実現できるんです。

グローバルからローカルへ移行しましょう。もしかしたら、「ローカル」ということばを聞くと、自分たちの世界が狭くなっているような印象を持つかもしれません。でも、ローカルには非常に豊かな価値があります。それは孤独や孤立といった社会問題を解決してくれるのです。

前日の大雪で、会場への交通網が混乱しているにも関わらず、会場は超満員!

希望というエネルギー

東日本大震災以降、日本ではエネルギー問題が大きな争点となっています。セヴァンさんは、燃料の選びかたや使いかただけでなく、「もっと広い視点でエネルギーを考えてみましょう」と投げかけています。

エネルギー問題とよくいいますが、心のエネルギー問題も考えてみてください。私は、希望こそ大事だと思っています。希望とは、なにか「こうだ!」と望んだ結果をつくりだすエネルギーなんです!

そしてそれは、苦難の時にやってくるエネルギーでもあります。たとえば、子どもが難病に感染してしまっても、親が希望を捨てることはありません。だからこそ、「いまは、到底不可能だよね」と思うこともあるかもしれませんが、私たちの想像力を制限する必要はないのです。

歴史を振り返ってみれば、「こういう未来がほしい!」と多くの人々が希望を持ち続け、活動したことによって変化を生み出した事例はたくさんあります。セヴァンさんのことばには、「ほしい未来は、つくろう」というグリーンズのスピリットに通じる、メッセージが秘められているように感じました。

愛は、私たちを導いてくれる力。

今回のセヴァンさんの来日ツアーのタイトルは、「LOVE IS THE MOVEMENT」です。2人の子どもの母親になった現在のセヴァンさんは、「最も強大な力は愛の力だ」と語ります。

愛は、いまの私と、よりよい未来の私をつなげる力です。たしかにお金も私たちを動かしますが、愛は私たちを、それとは全く違う方向へ導いてくれます。愛を買うことはできないし、閉じ込めることもできません。

だからこそ、愛を過小評価しないでください。2人の子どもの母親になって、私は子どもに対する親の愛ほどパワフルなものはないと知りました。その力が私たちの中に希望をつくりだすのではないでしょうか?

ぜひ恐れることなく、希望を持ちましょう。そして私たちの次の世代が、愛と希望の力によって新しい社会をつくりだす導きとなろうと願いましょう!

超満員の観衆を前に、「希望を胸にアクションを始めよう!」とパワフルなメッセージを伝えてくれたセヴァンさん。みなさんも「こんな未来がほしい!」という希望を胸に、何かアクションを開始してみませんか?

(写真: 西岡浩記)
(編集: 鈴木菜央、兼松佳宏)
(編集協力: ナマケモノ倶楽部)