グリーンズが毎月第2木曜日に開催している、グッドアイデアと出会う飲み会「green drinks Tokyo」は、毎回素敵なゲストを迎えて、リトルトーキョーで開催しています。
今回は、greenz.jp発行人・鈴木菜央の初めての書籍『「ほしい未来」は自分の手でつくる』の発売を祝して、青木竜太さんをゲストに、「ほしい未来のつくりかた」をテーマにしたトークイベントを行いました。
グリーンズでは、過去に『ソーシャルデザイン』『日本をソーシャルデザインする』の2冊を発売してきましたが、今回は、今までの書籍とは少し違います。その違いについて、
グリーンズを始めた2006年当時は、今みたいにツールや情報がなかったので、様々な失敗を経験しました。今までの2冊は、日本や世界の事例から学ぶ本だったけれど、この本は、ぼくの個人的な視点で、いままでの学びをまとめた本になっています。
と菜央さん。
鈴木菜央さん
ゲストとして登場した青木竜太さんは、「未来をつくる子どもと、子どもの環境をつくる大人に向けて、広める価値のあるアイデアを共有するコミュニティ」である「TEDxKids@Chiyoda」の設立者として知られています。
青木竜太さん
「TEDx」は、有名なゲストスピーカーを呼んでイベントを開催しているイメージを持つ方が多いかもしれませんね。でも、実は、有名な人かどうかは重要ではなくて、アイデアに価値があるかどうかでキュレーションをしているんです。イベントはメインでなく、アイデアの共有を推進し、コミュニティをつくることを中心にしています。
「TEDx」も、グリーンズと同様に、多くのボランティアやコミュニティメンバーの協力によって成り立っています。来場者からの「ボランティアやメンバーのモチベーションを高め維持するには、どうすればいいのでしょう?」という問いに、青木さんは、
一番最初は、「楽しい」が行動原理だと思います。 だって、楽しくないことは、したくないですよね? まず、笑顔になれる場をつくることが大切です。そして、笑いだけじゃなく、知的好奇心を満たすものを意識して作ることができれば、さらに良いと思います。
と話します。
このことについて、菜央さんも、
グリーンズは、楽しいだけでなく、成長を大事にしています。どれだけ関わっている人たちが成長できるか。ぼくたちは、その成長のサポートをして、成長の場をつくることに努めていますね。
と、質問に答えていました。
さらに、青木さんからは、メンバーそれぞれに異なる稼働率のなかで、チームを維持する方法についてもアドバイスも。
参加するコミュニティ・メンバーに、休憩や卒業というタイミングを作ってあげることも、非常に大切ですね。一区切りつくタイミングがあると、本人以外の他のメンバーにとっても幸せです。そうでないと、けんか別れになってしまうこともあり得るので、それは避けたいですよね。
実践者2人のリストから見えてくる、コミュニティづくりの突破口。
終盤、青木さんは、自身の考える「コミュニティマネージメントで大切な点」を10個のキーワードにして発表しました。
1. 楽しいが行動原理(わくわく感の演出)
2. 関わり合いのマッチング(自発性を喚起させる)
3. 色を塗れるスペース(一人一人が主役になれるステージを演出)
4. 労働力ではなく仲間(良質な関係性の構築)
5. 傾聴型コミュニケーション(人の心の声を聞く)
6. 生きたデータベース(徹底した情報共有)
7. アンコントロールのデザイン(詳細な計画ではなく、方向性を重視)
8. リーダーシップは地位ではなく、行動(リーダーを任せるタイミング)
9. 委任と質問(質問を投げ続ける勇気)
10. 休憩のデザイン(アクティヴィティ率が異なるコミュニティデザイン)
そして、
11個目を挙げていいならば、3人制のバディでチームを作ることを加えたいですね。3人でチームを組むことが、メンバーそれぞれのコミットメントや緊張において、一番良いバランスだと気づいたんです。
と話しました。グリーンズも、3人の理事によって構成されているチームなので、菜央さんも興味深そうな様子。
一方、菜央さんの「『ほしい未来』は自分の手でつくる」には、「ソーシャルデザインで重要な8つの考え方」が紹介されています。
1. まず、「自分ごと」からはじめる
2. 人間の行動を変える「楽しさ」という力を活かす
3. 小さく始める
4. 淡々と続く仕組みをつくる
5. お客さんを「参加者」にする
6. 「弱いリーダーシップ」を発揮する
7. ビジョンを共有する
8. 活動を生態系化する
来場者からの質問に応えて、2つのリストを比較した青木さんは、
2番の「人間の行動を変える「楽しさ」という力を活かす」は、「TEDx」でも大事にしている点なので、共感しますね。「TEDx」っぽくない、できていない点を探してみたんですが、意外と結構当てはまっているなーと感じました。
ぜひ、この2つのリストを参考に、皆さんもコミュニティやプロジェクトを見つめ直してはいかがでしょうか?
トークは、予定より大幅に延長する盛り上がりになりました。終了後も、多くの来場者がトークの感想や、それぞれのマイプロジェクトを紹介し合う様子が見られ、新たなコミュニティやプロジェクトが生まれる場所になりました。
今回のフードは、リトルトーキョー近所に店を構える「3206」さんのサンドイッチでした。
次回は、11月14日(木)に開催予定。ご参加お待ちしています!
(Text: 鈴木康太、Photo: 宮本裕人)