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適度な暮らしって何だろう?ラダックに学ぶ、ちょうど良い暮らしのヒントとは[イベントレポート]

ladakh

ラダックと聞いて、何を思い浮かべますか?ラダックとはインド北部の山岳地帯にあるラダック地方の事ですが、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれた一帯であり、乾燥した山岳地帯として昔ながらの自給自足の生活が程よく残った地域だそうです。

先日、そんな昔ながらの自給自足の生活と都市部における現代の私たちの生活を比較し、適度な生活についてラダックの暮らしを見ながら考えるというイベントがありました。

完全な自給自足でもなく、かといって資源やエネルギーの供給を全部人まかせにする事でもない、適度な暮らしのヒントについて、イベント主催者の国府田 典明さんへお伺いしてみました。

ラダック地方の風景

ラダック地方の風景

ラダック地方との出会いは旅行でインドへ行った際に、雨期を避ける為に北上した事がきっかけだと語る国府田さん。

もともとサステナブルデザイン国際会議のお手伝いをする等、サステナブル(持続可能性)な社会のあり方について意識をされていて、都市生活の中で少しずつ疑問が積もっていたそうです。

常々、消費型の生活よりも自分でつくっていく生活をしたいと考えていました。極端に言えば自給自足の生活とも言える訳ですが、自給自足を今の都市生活で行うことはかえって効率が悪い部分も多くなかなか実現困難なのが現状です。

そんな折にラダックへ旅行をした際に、運良く現地で生活されている池田悦子さんと出会いまして、実際のラダックでの生活を体験できたんです。

電気は決められた数時間だけ送電されていて停電もしょっちゅうで、トイレも穴があるだけで、乾燥地帯ゆえに人間の排泄物すらも肥料として食物循環をしていたんです。

何よりも、日本で生まれ育った池田悦子さんは、その地での生活に満足している様子でした。実際に僕もラダックに滞在していた時、特に不安にもならずに生活できたのです。

いったい、何が足りなくて不安になっているのか?

ラダックで滞在されていたゲストハウス
ラダックで滞在されていたゲストハウス

ラダックの旅を終えて日本へ帰国した国府田さん。あらゆるインフラの整った都市生活に対して、生きていく事が最優先でもある山岳地帯での自給自足での生活。同じ地球の上で、今この瞬間も共存している両極の暮らしを見て、“適度な暮らし”について考えるようになったそうです。

生きていくという事は、どこに住んでいようが人間にとっての第一命題です。月々の居場所(家)を維持するという事が精神の多くの割合を占める生活と、食物が無事できた事をよろこび、食べて生きていくという当たり前の生活。

雨風寒さがしのげて、食事ができる事。この価値をどう捉えるのか。生きていくという事は、もっと単純なんじゃないかと思ったんです。

適度で誠意ある都市生活

イベント時の様子 会場:SUNDAY ISSUE
イベント時の様子(会場:SUNDAY ISSUE

もちろん、ある日突然、完全な自給自足に切り替える事はできません。都市部には都市部の関わり方や生活のあり方があります。発展していくという事は、人間の本質的な欲求なのかもしれません。

ラダック地方も、都市部は少しずつ発展しています。完全な自給自足の小さな循環から、都市としての大きな循環に移り始めている部分もあります。発展していく事自体は否定するつもりはないのです。

しかし、より“誠意ある都市生活”ができるんじゃないかと思うんです。

エネルギー問題に関しても、無限ではなく限度がある。その限度をどうすれば意識して、理性をコントロールしていく事ができるのか。ラダックの自給自足の生活には、そのヒントを感じています。

みなさんはちょうどいい暮らしの適度さって、どのあたりだと思いますか?実は今ある暮らしの80%くらいでもちょうどいいのかもしれませんし、50%くらいでも満足できるのかもしれません。

我慢をして節約という考え方ではなく、ちょうど良い適度なところを探してみる。そう考えれば、“誠意ある都市生活”に一歩近づけるのかもしれませんね。