greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

環境や3.11を”自分ごと”にするために。第20回地球環境映像祭「アース・ビジョン」がまもなく開催!

『レオニッドの物語』 ライナー・ルートヴィヒ監督

『レオニッドの物語』 ライナー・ルートヴィヒ監督

3月16日から18日まで東京は四ツ谷で「アース・ビジョン 第20回地球環境映像祭」が行われます。この映像祭は今年で20回目を迎える歴史ある映像祭で、世界中から「子ども、若者に見せたい作品」を公募し、応募作の中から優れたものを表彰し、上映する映像祭です。

今年は20回目ということで過去の上映作をレトロスペクティブとして上映する他、『100,000年後の安全』などの特別上映もあります。

アース・ビジョン 地球環境映像祭って?

今年のプログラムを詳しく見る前に、少し歴史を紐解いてみましょう。この映像祭が始まったのは1992年、アジアでは初めての国際環境映像祭として、当初は「アジア、オセアニア、ポリネシアに在住すること」を応募条件としてきました。しかし15回からは地域条件を外した「子どものための環境映像部門」を新設、アメリカ、ヨーロッパなどからも作品が良さられるようになりました。

そして、今回は「子どものための作品」という条件を「子ども、若者に見せたい作品」とひろげ、従来の環境映像部門と統合することになりました。その結果、従来を大きく上回る46の国と地域からの応募があり、作品のバリエーションが豊富になったのです。

そんな応募作品の中から「子ども・アースビジョン大賞」を獲得したのはブータンからの作品『思いを運ぶ手紙』。この作品は標高3600メートルを超える山奥の村の郵便配達員を追ったドキュメンタリー作品。険しい山を歩き続ける郵便配達を通じてヒマラヤの自然と人々の生活を描きます。

『思いを運ぶ手紙』 ウゲン・ワンディ監督

『思いを運ぶ手紙』 ウゲン・ワンディ監督

この作品も含めた21作品が上映される映像祭では、今年はじめて確実にテーマを設けて上映やシンポジウムを行います。1日目は「くらしを変える、未来が変わる」がテーマ、今回「子どもアース・ビジョン賞」を獲得した『北京―ゴミの城壁』など身近な環境問題から未来について考えます。2日目は「つながりを取り戻す―3.11から1年 新たな道しるべを求めて」がテーマ、特別上映の『100,000年後の安全』を含め、震災や原発に関わる作品を上映、東北からのゲストを招いてのシンポジウムも行われます。3日目は「思いをつなぐ」がテーマ、『思いを運ぶ手紙』など「人」に注目した作品が並びます。

2日目のテーマは「つながりを取り戻す―3.11から1年 新たな道しるべを求めて」

どの日も魅力的ですが、どうしても注目してしまうのはやはり3.11をテーマとした2日目。『100,000年後の安全』は公開時にgreenz.jpでも紹介させて頂きましたので、今回はもう一本の原発関連作品で今回「子どもアース・ビジョン賞」を獲得した『チェルノブイリ・フォーエバー』に注目します。

『チェルノブイリ・フォーエバー』 アラン・ド・アルー監督

『チェルノブイリ・フォーエバー』 アラン・ド・アルー監督

この作品は、チェルノブイリ事故から25年後のウクライナを舞台にした作品です。ウクライナには「ストーカー」というチェルノブイリを舞台にしたアドベンチャーゲームがあります(日本でも発売されているみたいです!)。このゲームはチェルノブイリ原発周辺の「ゾーン」でミュータントなどと闘いながら謎を解くというゲーム。かなりシュールに感じますが、映画はそのゲームに熱中する若者が実際のチェルノブイリを訪ねるという内容です。

この映画では教科書でしかチェルノブイリのことを知らない若者と、過去の悲惨な思い出を話したがらない大人が対比されます。いまチェルノブイリ関連の映画を見ると福島の未来を予見しているように見えて仕方がありません。この映画もまさにそうで、こうなってはいけないと強く思います。そして同時に「ストーカー」というゲームがある意味で若者をチェルノブイリに引き戻す役割を果たしているというところに面白さも感じました。

チェルノブイリ関連の作品としては3日目にも同じく今回「子どもアース・ビジョン賞」を獲得したアニメーション作品『レオニッドの物語』も上映されます。

環境や3.11を”自分ごと”として考える

この映像祭で上映される作品には劇場公開されるような作品と比べて身近に感じられるものが多くあります。それはおそらく制作者の”自分ごと”をテーマに作品が作られているからでしょう。生活スタイルのまったく違う隣人同士の関係を描いたアニメーション『セカンド・ハンド』などはまさにそうで、観る人も自身の「自分ごと」に引きつけてて考える事ができます。

いま世間には、解決の糸口すら見えない難しい問題がたくさんありますが、そんな問題もまず「自分ごと」に引きつけて考える、この映像祭はそのきっかけにもなってくれるのではないでしょうか。

アース・ビジョン 第20回地球環境映像祭に行こう!