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あなたの“スイッチ”が、社会を変える! 電力自由化をきっかけに、原発に頼らず、持続可能な自然エネルギー社会をめざす「iSwitchオンラインアクション」とは


みんなで「iSwitch!」 持続可能な自然エネルギー社会へ

こちらの記事は、greenz peopleのみなさんからいただいた寄付を原資に作成しました。

2016年4月から、いよいよ電力自由化が始まりました。新たに電力事業に参入した企業の宣伝を頻繁に目にするようになりましたが、電力会社を選ぶのはなかなか難しいもの。ついつい既存の電力会社のままという人も多いかもしれません。

原発による電気を使うのはできれば避けたい、既存の電力会社から乗り換えたい、そんな気持ちを持っている人は、まず、国際環境NGOのグリーンピースがおこなっている「iSwitchオンラインアクション」に参加してはいかがでしょうか。

これは文字通り、iSwitch=私は切り替えます!という宣言をするオンラインアクションです。オンラインアクションの目的や、その背景である電力自由化、そしてグリーンピースがめざす未来のエネルギー社会について、エネルギー担当の柏木愛さんに話を訊きました。
 

ソーラーパネルを隣に笑顔の柏木さん。自然エネルギー100%をめざすエネルギー担当にとって、太陽光は大きな味方。

柏木愛(かしわぎ・あい)
企業勤務を経て、2013年に国際環境NGOグリーンピースに広報担当として入職。2014年11月よりエネルギー担当。子どもの頃から持っていた、自然を残す仕事に関わりたいという夢をかなえ、すべての命が尊重される社会にするために仕事に励んでいる。エネルギー担当として、自然エネルギー100%の社会のためにキャンペーンを企画、さまざまなステークホルダーの方とつながって協力をとりつけ、実施しています。

主体的に電力を選ぶ時代が来た

これまでは、住んでいる地域ごとに電力会社は決められていて、私たちは電力会社を選ぶことができませんでした。つまり、私たちに選択肢はなかったのです。電力自由化は、そんな現状に大きな変化をもたらします。

電力自由化は、私たちが主体的に電力を選ぶことを考えるきっかけであり、実際に選ぶ機会でもあります。

原発による電力ではなく、持続可能な自然エネルギーの電力を使いたいと思っている人が取ることのできる行動の第一歩として、「iSwitchオンラインアクション」があります。自然エネルギーの電力会社に乗り換えたいという意志を表明することは、どんな意味があるのでしょうか。
 

ひとりひとりの選択が社会を変えます。そのチャンスのひとつが電力自由化

現時点では、電力会社が自然エネルギー100%の電気を供給するのはとても難しいんです。けれども、たくさんの消費者の声があがることで、電力会社はより積極的に自然エネルギーへの投資できるようになります。

つまり「iSwitchオンラインアクション」には、自然エネルギーの潜在的な市場の大きさを示し、自然エネルギーを供給する電力会社を増やすという大きな目的があるのです。

さらに、既存の大手電力会社に対するインパクトも期待できます。なぜなら全国に10社ある大手電力会社は、原発や石炭火力発電など、環境への負荷が大きい発電方法を推進しようとしているからです。

「iSwitchオンラインアクション」にたくさんの人が参加していただくことは、既存の大手電力会社に対して、顧客を失う可能性があることをアピールする機会になるわけです。

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「iSwitchオンラインアクション」に参加した後は、Facebookのプロフィール写真で参加をアピールできます。

電力自由化は、ただ自宅の電力をどこの電力会社から供給するかということだけではなく、電力自由化がもたらす多くの人の選択の結果が、日本のこれからのエネルギー社会を左右するのです。このチャンスをぜひ有効に使いたいものです。

自然エネルギーは高額なの?

では、いったいどこの電力会社に乗り換えればいいのでしょう。そもそも、その前に電力自由化って何? という方も多いかもしれません。そういった人のために、グリーンピースでは、「iSwitchオンラインアクション」に参加した人に対し、「電力クリーン乗り換えガイド」を用意しています。
 
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「電力クリーン乗り換えガイド」の表紙。さまざまな電力会社の情報から、電力自由化とは? といった基本的な質問まで、電力自由化についてのたくさんの疑問に答えてくれます。

このガイドでは、みんなで乗り換え方を一緒に考えて、自然エネルギー社会の実現に向けて、どの電力会社を応援していくのか考えよう、乗り換える為の準備をしようと訴えかけているので、ぜひ参考にしてほしいです。

残念なことに、今すぐ自然エネルギー100%を供給する電力会社はありません。また、自然エネルギーはまだまだ未来のものという印象を持っている人も多いでしょう。けれども、「自然エネルギーが当たり前の時代はきます」と、柏木さんは力強く言います。

10年前には、電力会社を選択することさえできませんでしたが、いま私たちは選択肢を得ています。100%には満たなくても、自然エネルギーを供給しようと頑張っている電力会社はあります。

ただ、これから少しずつ自然エネルギーが供給されるようになったとしても、そこで多くの人が気になるのが価格ではないでしょうか。電気代は毎月かかる固定費です。

家計のことを考えれば、少しでも安くしたいと思うのが当然のことでしょう。そして、自然エネルギーは高いというイメージを持っている人も多そうです。

電気料金のお知らせを見ると、再エネ賦課金という項目があり、自然エネルギーにかかるお金だけがよく見えるようにされているので、高く感じている人が多いのだと思います。

でも、それは見かけだけのこと。石炭火力発電所から出た二酸化炭素による地球温暖化の影響はどれくらいなのか、電気料金や税金が投入されている原発事故の収束費はいくらなのか、といったことを考えれば、目には見えない形ですが、多額の費用がかかっていることがわかります。つまり原発や石炭火力による電力も、非常に料金が高いのです。

逆に、自然エネルギーの1kWh(キロワット時=1時間の発電量)にかかるお金は、どんどん安くなっています。特に太陽光エネルギーは発電所が次々に増えているので、下がっています。

さまざまな企業が電力事業に参入し、お得であることをさかんに宣伝していますが、私たちは消費者としてもっと賢くなって、電力を選ぶ必要があるのかもしれません。そう思っていると、柏木さんは意外にも、「そんなに堅苦しく考えなくてもいいと思います」と言ってくれました。
 
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何となく難しそうに考えていた電力自由化の話が、柏木さんの笑顔のおかげで、電力を選べるすばらしい機会になることがわかってきました。

オーガニックコーヒーと普通のコーヒーを選べるとして、値段がそんなに変わらなければ、オーガニックコーヒーを飲みたい人が多いと思うんですね。

それと同じ感覚で、電力会社がふたつあったとき、今までと同じ電力会社と、自然エネルギーを供給していたり、これから100%自然エネルギーを供給していこうとしている会社、どちらを選びたいか、どちらに共感するか、素直に選びたいと思うほうに決めればいいと思います。

地球温暖化の影響や、原発の収束費や再稼働に向けての安全対策費など、広い視野を持って考えることも大切かもしれませんが、もっとシンプルにどんな電力で生活をしたいか、そう考えれば自ずと答えは出てきそうです。

2050年までに100%自然エネルギー社会を

グリーンピースは、福島原発事故以前から原発に反対の声を上げ続けています。原発は万一の事故のときのリスクがあまりにも大きく、その影響が何十万年も続くことを考えると当然のことかもしれません。

また、温室効果ガスを排出する石炭火力発電についても、気候変動の対策がまったなしの現状を踏まえると、少しでも減らしていくことが必要と考えているそうです。
 
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2050年までに100%自然エネルギーの世界をめざして、エナジーレボリューションジャパン、通称エネレボを展開中。

そこでグリーンピースが世界的に描いているシナリオは、2050年までに100%自然エネルギーの世界をつくることです。これは、電気だけでなく、車や飛行機といった交通、暖房や工場で使用する熱など、すべての電力を自然エネルギーでまかなうというシナリオです。

まるで夢物語、近未来小説のようだと感じる人もいるかもしれません。けれども、電気に関して言うと、アイスランドは既に自然エネルギー100%を実現しています。

日本でも、原発事故に見舞われた福島県は、2040年までに自然エネルギー100%という目標を掲げています。

そんな福島県で、グリーンピースが共同でおこなったプロジェクトが「ソラライズふくしま」です。これは、福島県・三春町で暮らし、コミュニティショップを営む農家の大河原さん夫婦との共同プロジェクトでした。
 
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今年1月24日、太陽光パネル設置記念のパーティにて (c)Takashi Hiramatsu . Greenepace

原発事故前から原発について関心が高かった大河原さん夫婦でさえ、「知らないうちに原発に依存させられていた」と語るほど、原発は生活の中に入り込んでいました。

事故後、ご夫婦は原発の電力を使いたくないと考え、太陽光パネルを設置することを考えつきます。ご夫婦がコミュニティショップを営んでいたことが、このプロジェクトを始める大きなきっかけとなりました。

コミュニティショップに太陽光パネルを設置することで、そこで作物を売っている農家さんや、買いにくるお客さん、併設されたカフェでお茶を飲むお客さんなど、たくさんの人の間で自然エネルギーについてのコミュニケーションが始まって、広がっていくだろうと思ったんです。

さらに多くの人が参加するために、太陽光パネルを設置するための費用をクラウドファンディングで集め、目標金額を大きく上回る148万円が全国に住む253人から寄せられました。

大河原さんは、「日本全国に仲間ができた気分だ」とおっしゃっていたそうです。柏木さんも、「大河原さんの背中を押したり、見守ったり、応援している人がつながって、次の新しい一歩を踏み出すものになったと思います」と喜びを口にしていました。

以前から人形劇の公演をおこなっていた大河原さん夫婦は、その名も『ソラライズ』という作品をつくり、太陽光の力のすばらしさを伝えています。

今すぐできることから始めよう

自然エネルギーを使いたいと思う人がたくさんいる一方で、原発再稼働が進んでいるのも現実です。また、電力会社を乗り換えたとしても、すぐには自然エネルギー100%の暮らしはできません。
 
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自然エネルギー100%の未来のためにエネルギッシュに活動する柏木さん

でも、今すぐできることはたくさんあります。柏木さんが丁寧に教えてくれました。

まずは電気を使う量を減らすこと、省エネです。何かを我慢するのではなく、生活を変えずにできることがたくさんあるんですね。

たとえば電球をLEDに変えること、こまめに主電源を切って待機電力を使わないようにすることもそうです。すごく小さなことですけど、それをまずやることが大切なんです。

そしてもちろん「iSwitchオンラインアクション」に参加して、自然エネルギーを使いたいという意志を表明しましょう。また、自然エネルギー100%を目指す電力会社に乗り換えることは、その会社を応援する大きな力になります。

「さらにできることがある人には」と、柏木さんが教えてくれたのは、太陽光パネルを使うことでした。

太陽光パネルはどんどん安くなっていて、持ち運び可能なものもあります。それで携帯電話だけ、パソコンだけといった風に、局所的に自然エネルギー100%を実践してもいいですよね。

自分のパソコンは自然エネルギー100%で動いていると思うと、仕事をするのも楽しくなるかもしれません。小さな太陽光パネルならベランダにも置けますし、バッテリーを含めても5万円程度で購入できるそうです。さらに、太陽光パネルを組み立てるワークショップも全国各地で開かれているので、参加してみるのもおすすめです。

「一番大切なことは、これまで受け身にならざるをえなかった電力というものに対して、主体的に考えていくことです」と柏木さんが言うとおり、積極的に電力について考えていくことが、新しい日本のエネルギー社会をつくっていくのかもしれません。

つけっ放しにしがちな電気をこまめに消すことを忘れず、「iSwitchオンラインアクション」に参加して、与えられる一方だった電力を、自分たちの手に取り戻しませんか?