2011年3月11日。
突如として東北地方を震度7の大きな地震が襲い、大きな被害をもたらしました。東京の都市機能もしばらく麻痺し、都市に住む人々も多くの方が困ったことのではないでしょうか。
そんな震災からもうすぐ一年。
震災後、注目されたトピックの中に、「都市防災」と、「つながりの大切さ」といったものがありました。震災から一年経とうという今、改めて”防災”や”コミュニティ”について考えてみようというカンファレンス「Tokyo Community Crossing」(以下、TCC)が、3月17日(土)に開催されます。
greenz.jpでは前編・後編に分けてTCCの魅力をご紹介します。前編である今回は、「コミュニティと都市防災というテーマがどうしてセットになっているの?」ということです。
都市防災の大切さ
震災が起こって始めて、防災の準備が実はできていなかったことに気づいた方も多かったのではないでしょうか。
食料や設備など非常時に対しての備えや、万一震災が起こったときの対処法などを考え、想像し、大切な人たちとそれを共有する。そんな行為が普段の生活にあまりにも足りていないことを実感された方もいらっしゃるかと思います。
日常の中に防災に役立つヒントを溶け込ませてしまおうというプロジェクト「NOTFALL」、最近リリースした非常食の定期購入サービス「yamory」、防災マニュアル情報サイト「地震ITSUMO.COM」などなど。これまでgreenz.jpでも様々なサービスや、取り組みを紹介してきました。もう一度、これらの取り組みを見直してみてもよいかもしれません。
ですが、個人で可能な「自助」、そして行政が行う「公助」。それらだけでは備えは十分ではありません。3.11の震災が起こった後、近所での助け合いが大切だという声が聞こえるようになりました。災害が起こったとき、助け合えるような「共助」の関係を普段から築いておくこと、それも防災につながります。
都市防災を考える上で、人々のつながり、コミュニティの存在が欠かすことはできないのです。
コミュニティの可能性
TCCは、NPO法人「GoodDay」、都市の社会環境問題を解決するCSRコンサルタント「HITOTOWA」、そしてco-baを運営するクリエイティブ・ディベロッパー「ツクルバ」が主体となって開催されます。
TCCの開催にあたって、今回のテーマ、そしてコミュニティについて、GoodDay、HITOTOWAのリーダーである荒さんにお話を伺ってみました。
荒 昌史 氏
ー TCCが伝えたいことは何ですか?
TCCは、コミュニティの持っている様々な可能性を広めていこうという企画です。コミュニティの可能性とは、たとえば防災だったり、子育てだったりします。コミュニティの可能性を広げていき、「もっとコミュニティを作っていきましょうよ」というメッセージを広めていく企画です。
ー GoodDayが考えるコミュニティとはどういうものでしょうか?
僕たちが考えるコミュニティは、昔から地縁のコミュニティ、ご近所付き合いのことを言っています。
GoodDayは7年前からエコのため、環境共生型の暮らしをするためのコミュニティづくりを行ってきました。活動を続ける中で、注目を集めているシェアや半農半Xといったライフスタイルは、隣近所との関係性がないとできないということに気づきました。
自然にマッチした暮らしを可能にしていくためにも、今回の企画を行うことで地縁づくりをしていきたいと思っています。
ー どうして防災という切り口を選んだんですか?
やはり3.11の震災から一年ということがあります。震災の直後は、ご近所での助け合いが大事だよねということだったり、原発での事故のこともあって、食料のこと、エネルギーのことを考えることは大事だよね、となっていましたが、一年が経過してもあまり変化していないように感じられます。
このまま変化しないのでは、自分もまずいし、世の中的にもまずいのでは、という思いがあって、TCCの最初のテーマを「都市防災」にしました。
TCCのゲストには、日本を代表するコミュニティデザイナーのstudio-L山崎亮さん、ゴミ拾い活動を行うグリーンバード副代表であり港区議でもある横尾俊成さん、防災NPOとしては草分けのプラス・アーツ、そしてgreenz.jp編集長YOSHさんなど、都市防災、コミュニティを異なった視点から見ている専門家が登場します。
きっと今回のカンファレンスは様々な視点からコミュニティ、そして都市防災のことを考え、自分なりの行動を考えるよい機会になるはずです。
前編ではコミュニティの可能性と、都市防災について触れました。後編では各ゲストの紹介と、「自助、共助、公助」という都市防災を考える上でのキーワードをご紹介します。
コミュニティの可能性について考えよう。