この画像を携帯にダウンロードして、スターバックスにもっていきレジでスキャンすると無料でコーヒーを飲むことができます。実はこれ、ユニークな社会実験のプロセスの一部。
Jonathan Stark(以下、ジョナサン)という人が、オンライン上で彼の個人的なスターバックスカードのバーコード画像を公開し、それを誰でも使用できるようにしました。驚くべきことに、一ヶ月間経過した後も、カードにはお金が残っていたというのです。
ジョナサンはモバイル通貨、どのようにお金を転送したり、所持している携帯電話で商品の支払いを行うのかということを研究していました。彼はバーコードの画像のみアップロードして、スターバックスのアカウントをシェアしたら、一体どうなるのか、ということを実験してみることにしました。
まず彼は30ドルをカードにチャージし、友人たちがそのカードを使用できるように画像を掲載しました。一時間もしない内にそのお金はコーヒーやサンドイッチを買うために使用されました。
そこで彼はさらに追加で50ドルをチャージしてみました。しかし、その後はお金は減らず、みんな使った分だけチャージし始めたのです。
興味深く思ったジョナサンは、友人たちのあいだで行われていたその実験を広げて、匿名の集団による”シェア”の実験へと進化させました。
その結果わかってきたのは、ジョナサンのカードでコーヒーを購入する、つまりその実験に参加することが特別な経験となっていた、ということでした。初めての人でもこれまでの参加者と同様、良い気分を味わうことができ、そのとき飲むフラペチーノは普段よりも価値があるものに感じられたのです。
実はこの実験の中で、ジョナサンはひとつの仕掛けを用意していました。それはシンプルにカードの残高を定期的にツイートするという簡単なプログラム。実験に参加している人々はスターバックスに行く前にカードにいくら入っているかを把握することができるようになり、ますます多くの人が実験に参加していきました。
この実験が行われた2日間で、3,664.24ドルのお金がやりとりされました。ここで興味深いのはお金を入れた側と、お金を使用した側の比率です。少なくとも179人がお金をカードに入れ、326人がそのお金でスターバックスの商品を購入しました。
「このお金を使う人とお金を入れる人の比率は10:1くらいになるだろうと思っていた。」とジョナサンは言っています。タダでコーヒーを飲むことができるのに、お金を使用した人々の50%の人がお金を戻したというのは驚きですね。
この実験にはわずかなインセンティブが部分的に働いています。たとえば、このカードの価値は早い速度で変化していくため、大食いの人が100ドルくらい一気に使用しようと思ったときに、金額が足りず使用できなかったりしたら、その様子は少し奇妙に映ります。
そして、カードの金額はゼロを下回ることはできないため、誰も人のお金で赤字を作ることはできません。そのためひとりで大量のお金を使用することがしにくい仕様となっているのです。
今回の実験は、お金が十分にある人にとってはとくに価値があるものではないかもしれません。ですが、この手法を応用することで、たとえばお金があまりない人が薬局で薬を買うために使用するといったことができるかもしれません。
この手法をうまく活かせば、いろんな価値がシェアされるようになり、今自由にコーヒーや薬を買うことができていないような貧しい人たちの助けになるかもしれません。モバイルを通じた商品の購入にはまだまだいろいろな可能性がありそうですね。
(via GOOD)
新しい買い物のカタチにはこんなものも。
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