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京都市とスターバックスが初コラボ! ”京都らしいこれからのエコアクション”を京都市民と一緒に考える「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクトキックオフ対談

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突然ですが、「DO YOU KYOTO?」という言葉を聞いたことがありますか?

これは1997年に採択された「京都議定書」にちなんで、京都から世界に向けた「環境にいいことしていますか?」という意味の合言葉です。「何もしていないなあ」と思った方にこそ、ぜひ参加してほしいアクションが、いま京都で始まっています。

まるでコーヒーを飲むように、気軽に楽しく、環境にいいことを実践していく「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクト。京都市とスターバックス、初コラボその“なれそめ”とは!

京都市では毎月16日を「DO YOU KYOTOデー」に定め、公共交通の利用を呼びかける「ノーマイカーデー」や屋外照明を消灯して省エネルギーを呼びかける「ライトダウン」などを実践し、市民には「DO YOU KYOTO?」の認知が高まりつつあります。

また、2015年から「京都マラソン」の開催に合わせて「DO YOU KYOTO?ウィーク」を開催。「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式・「京都環境文化学術フォーラム」国際シンポジウムや様々なエコイベントを実施してきました。

そして2016年、「DO YOU KYOTO?」のもとに京都市とスターバックス コーヒー ジャパンがパートナーを組み、”京都らしいエコなライフスタイル”のアイデアを生み出し、京都から世界へ発信する試みを始めています。それが今回ご紹介する「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクト。

まず1月〜3月にかけて計3回、約50名の京都市民のみなさんと一緒に日常の中で、多くの人が楽しくできるエコアクションを考えるワークショップを開催。そこで生まれたエコアクションは、4月以降に京都市内のスターバックス店舗等で実施される予定です。

そこで今回は、東京のスターバックス コーヒー ジャパン本社に、京都市環境政策局地球温暖化対策室担当部長の松浦卓也さん、スターバックス コーヒー ジャパン広報部長の足立紀生さん、そして元「greenz.jp」編集長で、本プロジェクトのアドバイザー/ファシリテーターを務める兼松佳宏(以下、YOSHさん。京都市民!)が集まり、プロジェクトに込めた想いや、今後の期待感をうかがいました。
 
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京都市×スターバックスで「DO YOU KYOTO?」を一步前へ!

 まずは「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクトがはじまった経緯から教えていただけますか?

松浦さん そもそも「DO YOU KYOTO?」キャンペーンのきっかけは、1997年の京都議定書採択から10年目の記念行事で、ドイツのメルケル首相(当時)が講演されたときでした。

お話の中で、「ヨーロッパでは今、“DO YOU KYOTO?”という言葉が生まれている」と紹介されましてね。そこで、京都市も政策としてしっかり取り組んでいこうと、毎月16日を「DO YOU KYOTO?デー」としたんです。

足立さん 京都市内のスターバックスでは、以前から「DO YOU KYOTO?デー」に合わせてライトダウンやマイボトルキャンペーンをしてきました。そういうご縁もあり、今回はさらに踏み込んで、一緒にプロジェクトを展開させていただくことになりました。

YOSH 「DO YOU KYOTO?」はどれくらい知られているんですか?

松浦さん 認知度でいうと、平成24年8月に実施したアンケートでは「知っている」または「聞いたことがある」と回答された方は約52%なのですが、環境の取り組みは意識と行動の差に課題があり、「実際に何をすればいいのか」という点については、まだまだ努力が必要な段階です。そんなときに、スターバックスさんと共同するプランが急遽持ち上がったんですね。
 
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京都市環境政策局の松浦さん。ご自身の自宅はソーラー発電で京都市民の平均的な消費電力量の約4割以下に抑えた暮らしを実践

足立さん 私たちのCSR活動の柱のひとつに、「コミュニティへの貢献」というものがあり、全国の各店舗のパートナー(従業員)が自発的に地域とつながり、その地域にあった活動を行っています。

例えば、お子様連れでもスターバックスを楽しんでほしいと、絵本の読み聞かせやドリンクづくりを楽しむ「キッズパーティー」や、地域で活動するミュージシャンの演奏をお届けする「ミュージックライブ」、集った人とコーヒーを楽しむ時間を共有する「テイスティングパーティー」など、全国でさまざまな人と人とのつながりが生まれています。

「コミュニティコネクション」と呼んでいるこれらの活動は、年間5,000件を超えているんです。

ただ、コミュニティコネクションは基本的に、それぞれの店舗のパートナーによる自発的な活動で、今回のように自治体と正式に連携するのは、実は京都市さんが初めてなんです。

私たちの業態では、直接、地球温暖化に大きな効果を上げることはできませんが、全国に店舗があることを活かして、コミュニケーションの機会をつくること、コミュニティをつくっていくことはできる。そういう意味でお役に立てることはあるのではないかと考えました。

 そうだったんですね。
 
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スターバックスの足立さん。東京から京都に通い、プロジェクトを推進。

京都市長とCEOが記者会見に登場!

足立さん 実はスターバックスにとっても、昨年(2015年)はこれまでのCSR活動の目標到達度を振り返り、2020年までの目標を設定する節目の年で。

アメリカの本部では“use our scale for good”と言っていますが、これからは、世界で2万3000を超える店舗、そして多くのパートナーがいる企業として、スケールの大きさを肯定的に捉え、社会に貢献していくべきだろうと。

そんなタイミングで、最初の自治体のパートナーとして、京都市さんと組むことができたのは、とても光栄でしたし、幸運でした。歴史と伝統がありながら、いつの時代も新しいことを試みようとする魅力的な街なので、絶対に面白いことになると確信したんです。

YOSH 記者発表のときは、関根CEOも京都まで来られていたのですね。京都市からも門川市長が同席されて、双方の意気込みを感じました。

松浦さん 実は公約として「DO YOU KYOTO?」を掲げたのが、門川市長なんですね。“しまつ”という言葉が京都にあるように、本来つつましい暮らし方こそ日本人の原点。だからこそ、「京都らしいライフスタイル」にはこれからの日本の、そして世界の環境問題を解決する、重要なヒントがあると思っています。

YOSH ちょうど今日着ているジャケットは、京都の黒染めの技術で染め直したものなんです。

もともとはストライプ柄だったのですが、次第に色あせてきてあまり袖を通さなくなって。でも、「PANDA BLACK」というキャンペーン企画で染め直すことになって、見違えるほどに生まれ変わってからは、また頻繁に着るようになりました。

京都に引っ越して驚いたのは、こういうセンスよくモノを愛でたり、大事にする文化が根付いていることです。環境問題というと固くなりがちですが、こういう「気持ちいい感じ」とか真似したくなるような気持ちを、今回のプロジェクトでは大事にしたいと思っています。
 
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京都市民としての視点をもちながら全体のファシリテーションを担当するYOSHさん

松浦さん 行政が苦手とするそうしたクリエイティブな発想や発信力こそ、スターバックスさんに期待しているところですね。

YOSH 今回はありがたいことに、店頭に並ぶ商品パッケージを手掛けているスターバックス社内のクリエイティブチームが関わってくれているんです。象徴的なBOXを使うというアイデアや、ひとつひとつのシートや表彰状のデザインなど、いつも予想以上の提案をしていただいて。

プロジェクト全体にプロフェッショナルの仕事が随所にあって、それが参加者のワクワク感に確実につながっている気がしますね。
 
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スターバックス社内のクリエイティブチームがアイデアBOXや空間演出のデザインを担当。参加者がアイデアを創るワークを活発にする試みのひとつ。

一澤信三郎さんも登場!「京都らしいエコなライフスタイル」ってなんだろう?

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一澤信三郎さんは顧客からずっと親しまれる帆布の話や京都らしさについてYOSHさんとトーク

 1月16日(土)に開催された一回目のワークショップはいかがでしたか?

YOSH 今回のゴールは、「京都らしいエコなライフスタイル」のアイデアを考え、世界に発信する、ということなのですが、ちょっと漠然としていますよね。環境問題というと、どうしても意識と行動にはギャップが出てしまう。やっぱり暮らしの中に根付いていくには、実感や手応えが大事だと思うんです。

そこで、初回のワークショップでは、いきなりアイデアを考えるのではなく、「京都らしさ」、「エコ」、「ライフスタイル」という3つのキーワードを、それぞれ自分の言葉で置き換えてみる、ということをやってみました。

 そのために3名のゲストをお呼びしたと。

YOSH そうです。「京都らしさ」では、110周年を迎えた鞄作りの老舗であり、DO YOU KYOTO?のオリジナルバッグも手がけられた「一澤信三郎帆布」代表取締役社長の一澤さんにご出演いただきました。一澤さんのご好意で、ワークショップの開催前に工房まで見学させていただいて、とても光栄でしたね。

当日のお話は「無理せんと生きることがエコ」など、もの優しくも本質を付く語り口で。司会者なのに、惹きこまれすぎて、心ここにあらずになってしまいました(笑)

他に「エコ」では、生態学を専門とする京都大学の伊勢武史さん、「ライフスタイル」ではovaqe代表の松倉早星さんと、同年代のお二人をお呼びしました。
 
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京都大学 准教授 伊勢さん 科学的合理性を実数字で伝え、まず思い込みを外すことをアドバイス

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プランナーの松倉さんは、「やらないこと」を決めることで見えてきた自身の仕事と暮らしの作り方を伝えた。

 加えて、第一回のワークショップには、京都市内の店舗の店長全員が参加していましたね。

足立さん 今回は、4月以降実際にアクションを実施するので、店長たちにも参加してもらって、空気を感じてほしかったんです。普段の仕事とはまた違うクリエイティブな雰囲気だったので、とても喜んでくれましたね。

YOSH その日、京都市中の店長が居なくなるって大変なチャレンジだと思うのですが、それだけ本気でコミットしているのが純粋にすごいですよね。何となく不思議な一体感が生まれつつありますが、京都のまちという単位がちょうどいいのかなとも感じています。
 
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京都市内22店舗の店長さんも全員がワークに参加。参加者へのコーヒーのおもてなしも。

4月からのエコアクションに向けて!

 今後、第二回、第三回はどんな展開になりますか?

YOSH 第一回は、さまざまな切り口のインプットを得ながら、チームの枠を越えて話し合うことで、取り組むべき問いの解像度を高めていきました。いよいよ第二回は、丸一日かけて各チームでアイデアを考え、発表していきます。

そして第三回では、そこで提案されたアイデアの種を、「いつ?」「どこで?」「どうやって?」と具体的なアクションに落とし込んでいきます。この段階でもう一度チームをシャッフルし、集まった50人がひとつのチームとなるような、そんな機会にできたらいいですね。

ただ、場というものは生き物なので、あまり決めきらずに、まずはやってみて、そのときの状況に合わせて、また考えていきたいと思っています。
 
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 お話を伺っていると、かなり柔軟にプロジェクトが進んでいるようですね。

足立さん 完璧に練り上がったアイデアよりも、一緒に動きながらつくり上げるからこその面白さってありますよね。

3年前にグリーンズさんと「5年後のコミュニティコネクションのアイデアを考える」ワークショップを開催したのですが、そのときもたくさんのヒントをいただきました。あの雰囲気がよかったなあと思っていたので、京都に引っ越されたYOSHさんに声をかけたんです。

YOSH ここ数年、京都ではいろんなことが動き出しているので、タイミングがよかったですね。

足立さん 今回は京都での取り組みですが、これはモデルケースだと思っているんです。日本のスターバックスには3万人のパートナーがいて、毎日60万人のお客様が来店されています。

この「YES,WE DO KYOTO!」プロジェクトをきっかけに、全国で環境に関する対話の場をつくったり、若い世代の活躍の場をつくるお手伝いができるといいですね。
 

(対談ここまで)

 
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というわけで、京都市の松浦さん、スターバックスの足立さん、そしてYOSHさんとの対談いかがでしたでしょうか?

対談収録後の2月20日に開催された第二回ワークショップは、アイデアを考える日。ゲストの伊勢さん、松倉さんも加わり、それぞれのアイデアをジャンプさせるアドバイスを送りながら、最後にアイデアをプレゼンテーション。

審査の結果、最優秀賞、京都市賞、スターバックス賞、ゲスト賞、people’s choice賞の各賞が決まりました。(詳細はスターバックスサイトへ)
 
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しかし、「YES,WE DO KYOTO!」はアイデアを選んで終わりではありません! 3月21日には、再び参加メンバーが集まり、最優秀賞をさらによくするためのブラッシュアップを。

そして4月からはいよいよそのアイデアを「YES,WE DO KYOTO!」エコアクションとして京都市内で実施します!

自治体と企業が協働することで生まれるアクションが日常生活のなかに「京都らしさ」を伴って浸透していく最初の1日。そこに市民のかかわりが加わることで1人ひとりの小さなアクションが、やがて大きく広がっていくことでしょう。

京都市民の環境に対する「きづき」が、日本の「アクション」へ、そして世界に「きづき」を与える「アクション」へと伝わっていくための素敵な1日に、ぜひ、みなさんもご参加ください。

そして、「自分の愛する街らしい」エコなライフスタイルについて、街角のあちこちで様々な会話が生まれる1日になることを願っています。

(対談撮影: 関口佳代)
(ワークショップ撮影: 衣笠名津美)

– INFORMATION –

 
YES,WE DO KYOTO!
4月以降、ワークショップから生まれたアイデアが京都市内のスターバックス店舗他で実施されます! 初回となる4月29日(金・祝)は、マイ スリーブを作るワークショップ「ORIGAMI SLEEVE」、「ない」ことを楽しむ「“Nothing” is “Charming” 」の2つのアクションが京都市内のスターバックス20店舗で開催されます。
詳細はこちら → http://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2016-1553.php

[sponsored by スターバックス コーヒー ジャパン]