鹿児島市にある「工房しょうぶ」から生まれた、個性豊かなペーパーバッグ。このほか、刺繍アート、木製家具など、ユニークなプロダクトやアート作品が次々と生み出されています。
では、これらには、どのような思いが込められ、どんな背景を経て、生まれたのでしょう?
2011年10月30日、岡山のソーシャルコミュニティ「ENNOVA」による講演会プログラム「希望のつくりかた」第一回において、工房しょうぶの主宰者・福森伸さんが、たっぷり語ってくれました。
「工房しょうぶ」は、クラフトワークやアートを通じて、障がい者と社会をつなぐプラットフォーム。1985年頃から、それまでの下請け作業所の体制を転換させ、障がい者の独創的な感性と創作活動をベースに、オリジナルのプロダクトを製作。刺繍を中心とする「nui project」をはじめ、木工、陶器、和紙といったクラフトワーク、ドローイングや彫刻などのアート制作、パン、そば、パスタのような食のジャンルにいたるまで、その活動を広げています。
工房しょうぶの特徴は、障がい者とサポートスタッフが、“ものづくり”の主役という同じ立場で、それぞれ役割を分担し、コラボレーションしている点。たとえば、クラフトワークでは、障がい者が自由な発想や感性を生かし、楽しみながら創作したものを、サポートスタッフが消費者に届けるための商品に仕上げていきます。
福森さんによると、工房しょうぶの活動によって、障がい者と支援者の関係が少しづつ変わっていったとか。この点について、次のように述べています。
障がい者とサポートスタッフは、従来、“支援される立場”と“支援する立場”という、向き合った関係になりがちだった。しかし、工房しょうぶでは、両者が互いに“ものをつくる”という同じ方向に向かって、それぞれの強みを生かし、フラットにコラボレーションしている。
独創的な発想を自由に表現する障がい者と、これらを商品として“編集”するサポートスタッフ。まるで、アーティストとキュレーター、作家と編集者のような関係からモノを創り出し、障がい者と社会をつなぐ。工房しょうぶの取り組みは、障がい者と社会との新しいつながり方を提示してくれています。
工房しょうぶについて調べてみよう。