安定的な電力の行き届かない地域が世界全体の約五分の一にのぼる、という現状。これらの地域では、夜、十分な明かりが確保できず、子どもたちは、勉強も宿題もままなりません。そこで、彼らのお勉強タイムをサポートすべく、太陽光エネルギーで使えるデスクランプが開発されました。
米スタンフォード大学の教育プログラム「Entrepreneurial Design for Extreme Affordability」から生まれた「d.light design」は、世界初のソーラーデスクランプ「d-light S1」を開発。太陽光によって充電する仕組みなので、電力網などのインフラが必要なく、昼間の充電で、夜間、4時間程度、照らし続けることができます。
電力インフラが乏しい発展途上国では、家庭用の照明として灯油ランタンが普及していますが、家計の3割が燃料代に充てられるといわれるほど燃料が高価な上、このランタンから発生する煙が原因で、多くの子どもが循環器疾患に苦しんでいるという深刻な課題が…。国連の「2007 Millenium Development Goals Report」によると、1年間で150万人の人々が亡くなり、その半数が5歳未満の子どもとみられています。
「d-light S1」は、太陽光という再生可能エネルギーを活用し、人体にも安全な、理想の照明。このデスクランプを使えば、子どもたちは、夜でも勉強に勤しむことができます。実際、「d-light S1」の子どもの学習への効果は、既に現れ始めています。スーダンで実施した世界銀行による調査によると、このデスクランプを、ある村に提供したところ、それ以前は、子どもの合格率が57%だったのに対して、提供後、100%まで向上したとか。
「Entrepreneurial Design for Extreme Affordability」発のプロジェクトとしては、「d.light design」のほか、寝袋型の保育グッズ「Embrace」などの事例もあります。デザインを通じて社会的課題を解決するというテーマに特化したこの教育プログラムによって、様々なデザインやプロダクトが、社会的な課題を解決へと導きはじめている証といえそうですね。
[via GOOD]
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