考えてもみなかったことですが、自動車が民芸品になったらきっとこんな感じなのでしょう。「Phoenix」は、フィリピン人デザイナーのKenneth Cobonpueが、藤や竹といった自然素材とスチールやナイロンで作った生分解可能な自動車です。
「Phoenix」は、ミラノで開催された「Imagination and Innovation(想像力と新しいアイデア)」と題した展示会で初めてお披露目されました。環境に負荷をかけない自然素材が、民芸の高い技術力とCobonpueのデザインによって自動車へと昇華した、クオリティの高い作品です。
車体の中心には背骨のように竹が通っており、周囲は編まれた藤が車体後部へと美しくゆるやかな流線型のカーブを描いています。後部の斜めに取り付けられた藤には、LEDライトが搭載されています。サイドとフロントにはガラス窓も付いています。
Cobonpueは、そもそも大のヴィンテージカー好きなのだそうです。車好きが高じてこのような自動車をデザインしたというのもありますが、理由はそれだけではありません。自動車の寿命は平均が5〜10年。大量のエネルギーとコストをかけて生産された自動車も、5〜10年後にはほとんどが廃車になってしまうのでは、あまりにも非効率というものです。車好きだからこそ、自動車の与える環境負荷に耐えられなかったのでしょう。その想いが、生分解可能な自動車「Phoenix」を生んだのです。
最近は、工業製品の環境負荷や効率について考え直さなければならない時代ですが、その解決方法として「民芸(クラフト)」と組み合わせるという発想が、斬新でおもしろいですね。「Phoenix」は、今のところエンジンすら搭載されていないデザインですので、実用化はかなり遠いでしょうが、この発想のエッセンスだけでもソリューションに取り入れていけたらいいのではないでしょうか。
(via Ecofriend)
グッドデザインなクラフト