greenz.jpが毎月第2木曜日に開催しているネットワーキングパーティ「green drinks Tokyo」、3月のテーマは『これからの旅!』。「離島経済新聞社」代表 のイサモトアツコさん、「TOKYO SOURCE」副編集長でフリーエディターの米田智彦さんという個性派ゲストをお迎えし、旅についてあれこれ、ここでしか聞けないトークが展開されました。当日の様子をレポートでお伝えします。
旅、してますか?
みなさんは最近、旅、してますか?
行き先は、どうやって決めていますか?
若者の旅離れってホント?
旅についての話題は尽きません。旅に関する考え方や価値観は人それぞれ。行き当たりばったりの一人旅をする人から、パッケージツアーにおまかせ派まで、本当に幅広いですよね。
「みんな、どんな旅をしているんだろう?」
そんな疑問を持ち寄り、ディスカッションする場として、現在Blabo!では、「旅ラボ」を開設中です。ここでは毎日、参加者のみなさんが旅についてのディスカッションを展開。日々、これまでになかった新しい旅のアイデアが生まれています。
そこで、今回の「green drinks Tokyo」では、旅に対して新しいアプローチをされているゲストのおふたりに登場いただき、「これからの旅」についてみんなで考えてみたいと思いました。ゲストのトークや旅好きな参加者同士の出会いから、新たな旅の魅力が発見できるかも? 会場には、立ち見も出るほど多くの方が駆けつけてくれました!
今夜のゲストはこちらのおふたり!
まずはゲストのおふたりのプロフィールと、その取り組みをご紹介します。
イサモトアツコさん
以前greenz.jpでも紹介し、反響を呼んだ「離島経済新聞」の代表を務めるイサモトアツコさん。日本の離島にスポットを当て、島の良さを紹介するとともに人と人のつながりをつくるプラットフォームを提供するという、新しいメディアを運営されています。
「島の人の幸せは日本の幸せ」だと言うイサモトさんは、離島から生まれたプロジェクトを支援し、つなげていくことで、「離島から日本を彩りたい」と言います。
日本は、6852個もの島からなる国。小さな島々にどのような魅力が眠っているのでしょうか? 詳しいお話は後ほどのトークで、じっくりお聞きします。
米田智彦さん
東京を拠点に、未来を面白くするSOURCE(源)を発信する「TOKYO SOURCE」の副編集長である米田さん。現在、個人の活動として、トランク一つで東京を旅するように暮らす「NOMADO TOKYO」を実践中。今夜もどこに泊まるのか決まっていないと言います。
2011年初頭に「NOMADO TOKYO」を始めてから、昼は東京のどこかで仕事をし、夜は東京のどこかで眠る生活をしているという米田さん。その生活は「都市をシェアする」という感覚だそう。ツイッターやメールを介して善意で提供してもらっている泊まる場所では、“金銭を介さない等価交換”が行われ、泊まることで“縁”が“絆”となるのを感じているのだとか。
これまでの価値観が覆されるような米田さんの旅のお話に、会場のお客さんのテンションも上がってきた様子。さて、ここからは旅のお話を始めましょう。
ゲストのオススメの場所は?
まずはおふたりに、旅にオススメの場所について聞きました。
まず、イサモトさんのオススメは、小笠原諸島。イサモトさん曰く「一番ハードルが高い」という太平洋の離島は、東京から船で24時間半もかかります。この長い旅路をどう過ごすか、到着した何もない島でどう過ごすか? この「何もない」状況に向き合い、「自分がどうなるか試してみるのが面白い」というイサモトさんにとっての旅は、ある意味“修行”なのだそうです。また、面白いのは地元の人との交流。「なんで来たの?」と言われるところから始まり、一緒にお酒を飲んだりする交流を通して、外からの視点でその島の魅力を見つけることができると言います。
一方の米田さんは、なんと硫黄島を挙げました。硫黄島は、小笠原諸島の中でも南端に位置する、自衛隊の基地が置かれている島。ご存知の通り、一般人の上陸は禁止されているはずです。米田さんは、その島に、なんと米兵などが利用する食堂のアルバイトとして上陸したとのこと。“怪しい”というバイト仲間に囲まれ、慰霊碑と防空壕しかない島の中で過ごすという、滅多にできない体験を意気揚々と話す米田さんは、なんだかとても楽しそう。米田さんにとって旅は、目的地ではなくプロセスが大事。この点は、ふたりとも共通しているようです。
「情報を確認する」ことが旅?
ここからの話題は、いよいよ本題、旅の現状、そしてこれからの旅へと移ります。
米田さんは、今の観光について、「情報を確認するだけの行程になってしまっている」と言います。確かに、ガイドブックに掲載されている場所に行き、写真に納める、というのが私たちがよく知る旅のカタチです。この現状に対し、「一次情報を超えていきたい」と米田さん。「どこに行くか」ではなく、「誰に会うか」「誰と旅をするか」を重視し、そこに生まれる一回しかない体験に触れるという、“情報を超える旅”を実践していきたいと言います。
この点は、離島経済新聞が目指すものと一致している様子。「どこに行っても、人がいるところには面白いことがある」というイサモトさんは、facebookなどを活用して人と人をつなぎ、会いたい人に会いにいくという旅のカタチを提案しています。インターネット上に情報が掲載されていない場所でも、事前に人とつながり、現地に行ってから話を聞いて情報を得る。そんな、これまでにはない新しい旅のカタチ、体験してみたいですよね。
どうしたら旅に行きたくなるの?
そして話題は、最近よく言われる若者の「旅離れ」について。
「どうしたら旅に行きたくなるのでしょう?」という問いに対し、米田さんは、「面白い人がいれば、会いに行きたいと思うし、気付いたら僕はそればかりやっていました」と言います。やはり行きたくなる気持ちのトリガーとなるのは、人なのでしょうか。また、東京での日常の中でも、ちょっといつも通らない小道に入るだけでも旅になる、と米田さんが言うように、少しの視点の変化で、その面白さが発見できるものなのかもしれません。
また、「情報にさらされ過ぎていることも、旅離れの一因かもしれない」と米田さん。例えば、ある古民家のゲストハウスは、小さな写真しか載せていないとのこと。その“チラリズム”が、行きたい気持ちを誘発すると言います。確かに、内装まで全部見えていたら安心かもしれませんが、現地に行ったときのワクワク感は減ってしまうかも。今は旅先の動画や写真も豊富で、メディアに触れるだけで現地に行ったような気分になることもできる時代です。情報過多は「旅離れ」の大きな一因と言えるかもしれませんね。
これからの旅を考えよう
今度は、視点を旅する側から目的地へ移してみましょう。旅に来てもらうには、やはりそれなりの情報と、旅人へのアプローチが必要です。目的地として選んでもらうには、どうしたらいいのでしょうか?
離島経済新聞では、この大事な問題を考えるため、島の人々を東京に呼び、「新しい島自慢」を考えるワークショップを行いました。その場では、島の人が話す一見デメリットのように見えることも、参加者にとっては大きな個性として捉えられ、参加者からは「行ってみたい」という声が続出したとのこと。
例えば、冬の新島は風が強い上にとても寒くて、あまり何もすることがないとか。でも、部屋から出られない状況をうまく活かして、「巣ごもりの旅」をするようなものがあってもいいのかも、とイサモトさん。そんな柔軟な考え方が、旅をもっと面白くして行くのかもしれません。
「旅離れと言われますが、パッケージ化された旅の消費が減っただけで、自分だけにしかできない一回きりの、面白い経験をしている人はいっぱいるのでは?」
という米田さんの発言は、確かに一理ありそうです。既に「これからの旅」は、日常の小さな経験から始まっているのかもしれませんね。
「誰かに会いに行く旅」
「日常の中にある旅」
「何もない状況に向き合う旅」……
旅に関するポジティブな発言が飛び交った今回のトークからは、既成概念に縛られることのない、たくさんの旅のカタチが見えてきました。いえ、旅にカタチなんてないのかもしれません。考え方や捉え方によって、どんなものでも旅に変わります。そして、何よりも、どんな状況をも楽しむ心が、新たな旅を生み出していくように感じました。
会場に集まった参加者のみなさんも、すっかり旅心が刺激された様子。これをきっかけに、あなたなりの旅を見つけ、出かけてみてはいかがですか?
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green drinks Tokyo、次回開催は4月14日(木)!
green drinks Japan、全国で続々開催中!