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2011年をマイプロジェクト元年に!『新しい当たり前、これからの○○』 green drinks Tokyo レポート

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毎月第二木曜日に開催しているグリーンなキーパーソンが集まるネットワーキングパーティ「green drinks Tokyo」。2007年から毎月欠かさず開催し、これまでの参加者はなんと3,000名を越えました。今年は恵比寿に場所を移し、「これからの○○」をテーマとして開催していきます!

まずは1月13日、今年初のgreen drinks Tokyoが開催されました。「新しい当たり前、これからの○○」をテーマに、株式会社HAKUHODO DESIGN代表取締役社長で、雑誌『広告』の編集長でもある永井一史さんをゲストにお迎えし、お話を伺いました。greenz.jp初代編集長 鈴木菜央とのトークの中から、2011年のビジョンが見えてきましたよ。

ゲストは永井一史さんと鈴木菜央!

今回は、永井一史さん、鈴木菜央、そして司会のYOSHという3人でトークを展開。まずは軽く自己紹介がてら、ゲストのおふたりに、それぞれマイクをお渡ししました。

永井一史さん

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常に新しくポジティブなテーマを取り上げ、私たちのクリエイティブ脳を刺激し続けてくれる雑誌『広告』。2008年から編集長をされている永井一史さんは、アートディレクターとしてご活躍の後、2003年に株式会社HAKUHODO DESIGNを立ち上げ、2007年からはコミュニケーションの力を社会的に役立てる「+design project」を主宰するなど、そのご活躍は多岐に渡っています。『広告』の編集長になり、最近はメディアに関心があるとのお話も聞かせてくださいました。

鈴木菜央

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一方、鈴木菜央からは、編集長を2代目YOSHに譲った今後、やりたいことについて。2006年から始まったgreenz.jp。現在は7万人の読者の方に購読いただいていますが、今後はそんなみなさんがクリエイティビティを解放できるようなプラットフォームを作っていきたいとのこと。 例えば企業やNPOが困っていることをみんなで考えて解決するなど、クリエイティビティ溢れる人が自分を解放できる場をつくり、そこからビジネスや社会変革を起こすことに着手していきたいという構想を語りました。

「情報の編集」から「情報の流れの編集」へ

メディアからアクションへと、そのフィールドを変えていこうとしている鈴木菜央。そして、ディレクターからメディアへ関心がシフトしていった永井さん。ふたりのこの動きは、一見逆行しているかのように見えますが、その変化にはどのような想いがあるのでしょうか?トークはまず、それぞれの関心の遷移についての話題からスタートしました。

鈴木菜央は、最初『※Blabo!』というサービスに出会ったとき、「完全にやられたな」と感じた経験を語りました。参加者の発言で作り上げられるプラットフォーム『Blabo!』は、編集者が作るこれまでのメディアとは全く違うもの。仕込んでできるものではありませんが、これも立派なメディアです。鈴木は、『Blabo!』との出会いをきっかけに、関心が「情報の編集」から「情報の動きや流れを編集」することへ移っていったとのことです。

※『Blabo!』とは、クリエイティブクラスのユーザーが集い、企業やNPOの課題をディスカッションしながら解決していくウェブサービス。Twitter と連動したオープンなプラットフォームが話題となっています。 http://www.bla.bo

一方の永井さんも、ご自身の取り組みである「+design project」において、社会問題をTwitterでワークショップして課題設定し、ソリューションを応募してもらうという、開かれたコミュニケーションが成立するプロジェクトを推進しています。しかし、永井さんの通常の仕事においては「閉じた世界のキュレーションで完結している」ことを感じ、広告の仕事を通してもっと多くのことを知りたいという気持ちが強くなったそうです。このような気持ちの動きから始められた編集の仕事ですが、「情報をオーガナイズすることがデザインの仕事だとすると、編集は通常のデザインの仕方とそれほど違わない」と感じられているそうです。

左から、鈴木菜央、永井ー史さん、司会のYOSH

「情報の流れを編集する」「情報をオーガナイズする」という役割について、ふたりから出てきた単語はクリエイターでもデザイナーでもなく、“キュレーター”。「編集的な要素が全ての職業に必要になってきている」という感覚を共通で持っており、“キュレーター”や“キュレーション”が、これからのキーワードになるような予感がしました。

時代の変化を捕まえ、「根源的なヒント」を伝える

さて、ここからは雑誌『広告』についての話題へ。毎号の特集テーマは、永井さんが会社の方など、人との雑談の中で見つけることが多いとのことですが、最近の時代の変化と共に、その考え方も変わってきたようです。

雑誌『広告』2011年1月号の特集テーマは「関係を生むデザイン」でした

雑誌『広告』2011年1月号の特集テーマは「関係を生むデザイン」でした

2008年に永井さんが編集長になった当時の『広告』のテーマは「新しい発想のエンジン」でした。その後リーマンショックによって、それまでの行き詰まり感が噴出し、抜本的な問い直しや変化が世の中に押し寄せてきた時、永井さんは「この新しい変化を捕まえた上に次の発想は生まれる」と感じたそうです。これを機に、日々のちょっとしたアイデアのヒントよりも、「もっと根源的なヒント」を伝えていきたいと考え方が変わったと言います。

鈴木菜央も、「本質的なところに目が向いてきた10年だった」と言い、特にここ数年の変化は興味深く、「成立していたものが成立しない」世界に突入したという感覚を持っているとのこと。その変化の中でうまく適合し、“シュリンク”していくような若者が増えている現状を挙げ、「究極のシュリンクまで到達したらどうなるのか、この先のことまで考えて議論していくことが大事」と問題提起しました。

また、永井さんは、ご自身が審査員でもあるグッドデザイン賞の審査基準が「所有」から「共有」へ、「企業」から「社会」の為へ、と変化していることに時代の移り変わりを感じられているそうです。また、『世界を変えるデザイン展』の盛り上がりや、学生のソーシャルデザインへの関心の高さなど、昨年は特にその意識変化を感じられたとのこと。『広告』も、時代の変化の中で常に変わり続けているのですね。

グッドアイデアって何だろう?

驚きがあって
思いやりや愛がベースにあって
いろんな問題を一気に解決する

これは、greenz.jpが考える「グッドアイデア」の定義です。永井さんにもグッドアイデアについてお聞きしました。

「グッドアイデアを、“グッドデザイン”に置き換えて考えると、これからのデザインは、いろんな人との関係性をどう作るか、どう生み出せるか、どう広げていけるか、がポイントとなってくると思います」と、永井さん。

『広告』1月号にも登場した哲学者・内山節さん(生活の半分を群馬県の山奥で送っている方だそうです)のお話では、自分の住んでいる土地で何かを始めようとする時には、「人」「人以外(自然など)」「死者(その場所でなくなった人、祖先)」をどうやって守りながら関係の幅をどれだけ多義的に広めていくか、と考えるそうです。これこそが、「これからのデザイン」の発想であると永井さんは捉えているとのことです。

そして、鈴木菜央もグッドアイデアについて語りました。

「僕の“グッドアイデア”の定義は、“自分の人生を自分の手に取り戻すこと”です。自分の首相を自分で決める、自分にとって気持ちよいものを買う、など、主体的に生きていく中に、グッドアイデアはいっぱいある。小さなグッドアイデアで、自分が幸せになりつつ多くの人が幸せになっていく、といったことが次の時代には必要だと思いますが、そんなマイプロジェクトを始める人が最近、本当に増えています。日本が「マイプロジェクト大国」になるよう、そんな彼らを応援する仕組みをこれから作っていきたい」

みんなが主体的で元気になれる“マイプロジェクト大国”ニッポン!ワクワクする「これからの日本」が見えてきました。

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今年の年間テーマは「これからの○○」

トークの後も、会場からはゲストのお二人に続々と質問が投げかけられました。プロジェクトの流れが行き詰まった時の突破口の見つけ方について、自分が立ち上げようとしているビジネスについての相談、そして、「これからの会社」「これからのデザイン」について……。自分なりのマイプロジェクトを始めた方、「これからの○○」を真剣に考えている方など、自ら考え、主体的に行動されている方が本当に多いことが感じられました。

ひとりひとりの「これからの○○」!

ひとりひとりの「これからの○○」!

年の初めに相応しく、ポジティブな変化を感じることができた今回のgreen drinks Tokyo。2月からは毎回具体的テーマを掲げ、「これからの○○」をさらに掘り下げて考えていきたいと思います。次回もお楽しみに!

【お知らせ】会場が『CAFE PARK』に変わりました

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2011年のgreen drinks Tokyoは会場を移し、恵比寿の『CAFE PARK』で開催します!恵比寿駅から徒歩3分、半地下にひっそりとたたずむ居心地のいい空間。フードもドリンクも豊富にご用意して、みなさんをお待ちしています!

『CAFE PARK』
http://www.cafepark.jp
東京都渋谷区恵比寿西1-21-15

東京メトロ日比谷線 恵比寿駅より徒歩2分
JR 山手線他 恵比寿駅より徒歩5分
東急東横線 代官山駅より徒歩5分

flickrスライドショー

Ustream映像

green drinks Tokyo、次回開催は2月10日(木)!

green drinks Japan、全国で続々開催中!