英国ロンドンは、昔も今も、世界有数の観光スポット。最先端のアートやファッションを感じられる街、英国の伝統文化が残る街、音楽や演劇が楽しめる街…。様々な表情を持つこの街ですが、また新たな一面が発見できそうな試みが生まれました。ロンドン在住のホームレスの視点からロンドンの姿を伝えるというユニークな観光ツアーが始まったそうです。

「World Homeless Day（世界ホームレスデー）」にあたる2010年10月10日、ロンドンのホームレスを支援するボランティア活動「The Sock Mob」からインスパイアされ、ホームレスによる観光ツアー「Unseen Tours」が立ち上げられました。

これは、ロンドンの街角で暮らすホームレスが観光ガイドとなり、ロンドン市内の観光名所をホームレスの視点から案内してくれるという、超ユニークな観光ツアーです。ガイド役のホームレスは、ツアーの中で、自らの体験談なども紹介。治安の悪化やホームレスに対する偏見、差別など、その実態についてはまだあまり広く知られていない社会的課題について、ホームレスの「生の声」を直接聞くことができます。

「Unseen Tours」では、ロンドンの移住文化が感じられる「Old Street」、“人種のるつぼ”的エリア「Brick Lane」、街のシンボルであり、有名な観光スポットでもある「London Bridge」、コベントガーデンと並ぶ人気観光スポットの「Temple」で、四種類の観光コースを設置。

いずれもメジャーなエリアですが、街の隅々まで熟知したホームレスさんから、ガイドブックには載っていないとっておきの穴場スポットなども、教えてもらえるかも。ちなみに、ツアー料金は、参加者の“お財布具合”によって、5英ポンド（約660円）、もしくは8英ポンド（約1,050円）となっています。

「Unseen Tours」は、観光客に向けて新しい視点からロンドンの姿を伝える取り組み。ホームレスに関する社会的課題を広く啓発する効果も期待されています。ホームレスの人々にとっても、自らの経験や知識を生かした役割を通じて世の中とつながることができる、貴重な機会となるでしょう。ロンドンフリークな方も、ロンドン未経験の方も、この街の新たな魅力を発見できそうな、ちょっとディープなこの観光ツアーに、一度、参加してみてはいかが？

[via Springwise]