法律・財務・経理といった専門性の高い職種をはじめ、クリエイティブデザインや広報・マーケティングなど、専門的なスキル・経験を社会貢献に生かす、新しいボランティアスタイル「プロボノ」。このテーマを専門に、ボランティアしたい人材とボランティアを求めるNPOとを結ぶオンラインプラットフォーム「Catchafire」が米ニューヨークでスタートしました。
「Catchafire」は、主たる仕事のかたわら、自分のスキル・経験を社会に生かしたいと考えている人々に、よりよいボランティア機会を提供し、NPOの運営に彼らの効果的なリソースを供給することを目指すオンラインプラットフォーム。具体的には、ボランティア希望者が興味のある分野、自分の持つスキル、実務経験などを詳しく入力して、「人材登録」する一方、ボランティアを求めるNPOは、具体的なプロジェクトの内容、これを遂行する上で必要なスキル・経験、求める成果などを明らかにして「人材募集」を行う仕組みになっています。ボランティア希望者は、「Catchafire」のウェブサイト上で、ボランティアワークの分野や団体のジャンルなどから気になる案件を探すことができるほか、「Catchafire」から定期的に、自分に合ったオススメのボランティア情報を共有してもらうこともできます。
米国では、従来から弁護士に対して年間50時間以上の「プロボノ」活動を行うことを推奨するなど、一部の職種で「プロボノ」が行われ、近年は、その職種範囲が広がってきているともいわれています。しかし、人材とNPOのマッチングはまだ十分でない面も…。実際、創業者のRachael Chongさんは、投資銀行に勤務していた時代、自分の実務経験を生かせるボランティアワークが半年間も見つからなかったという苦い経験を持つひとり。この経験が、「Catchafire」を立ち上げるきっかけになったそうです。
NPOとボランティアを結ぶオンラインプラットフォームには、「idealist.org」や「VolunteerMatch」、ティーン向けの「Do Something」、オバマ政権が立ち上げた「Serve.gov」などもありますが、「Catchafire」がこれらと異なるのは、NPOという「組織」とボランティア人材を結びつけるだけではなく、具体的なプロジェクトやミッションといった「仕事」と人とを結びつけることに重点を置いている点。また、「Catchafire」は、NPOとボランティアとのマッチングの精度を独自の付加価値と捉え、NPOがボランティア人材を採用する都度、成功報酬として1件あたり約200ドルを課金するというビジネスモデルのもと、営利団体として活動しているのも特徴です。
「Catchafire」では、ニューヨーク地区限定のベータ版として開設して以来、2ヶ月足らずで、既に2,000人以上のボランティア人材と300以上のNPOが登録しています。積極的な意欲と高い専門性を持つ人材にとって、企業など特定の組織以外でも活躍できる場が増えることは、個人のキャリア成長にもつながり、社会にも役立つこと。「プロボノ」という新しい社会貢献が、人と社会をさらに成長させてくれることでしょう。
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