\新着求人/人事や組織づくりの経験を、地域でいかす@福岡県赤村

greenz people ロゴ

映画『ミツバチの羽音と地球の回転』:生活と原発とエネルギーの未来

greenz/グリーンズ ミツバチの羽音:漁師

原発建設反対のために全国からカヤック隊が集まって反対派を支援したことでニュースなどにもなった祝島。瀬戸内海に浮かぶ祝島の人々は今も目の前の田ノ浦に建とうとしている原子力発電所の建設に対する反対運動を続けている。『ミツバチの羽音と地球の回転』はそんな祝島に暮らす人々の姿をとらえ、そこから日本人と日本という国土とエネルギーの関係について考え、持続可能な未来の姿を描こうという映画だ。本当に本当に多くの人に見て欲しい。

この映画の主人公のひとりとなるのは、いったん祝島を出てから島に戻ってきた山戸さん。浜でひじきを採り、山でビワを作り、島の特産品をインターネットで販売して祝島の産業の活性化を図っている。彼の父はずっと原発反対運動のリーダーとして活動をし、彼もまたその活動に心血をそそぐ。高齢化が進む祝島の原発反対運動の中でただ一人の若者といえる彼をカメラは追う。

greenz/グリーンズ ミツバチの羽音:枇杷

反対派を取り巻く状況は厳しい。祝島は上関原発が建てられる長島と同じ上関町に属し、祝島では反対派が9割を占めるが、町議会では賛成派が優勢であり、祝島の反対派の声は届かないのだ。それでも彼らは訴え続ける。それは原発が彼らの生活を直接に脅かすからだ。祝島の人々の生活は漁業と農業にかかっている。環境の破壊と風評被害はそれをすべてダメにしてしまう。一本釣り専門の漁師は何十年もやっていても潮を完全に読むことは出来ないと言い、冷却水が放出されたら潮がどう変わり、生き物がどう変わるかはまったく予想がつかないと語る。

そして、田ノ浦は生物多様性の宝庫でもあり、微妙な温度の変化がこの地域の生態系にどのような影響をもたらすかも予想し難いのだ。彼らはせいいっぱい生きている。しかし、原発ができたらすべてが変わってしまう可能性が高い、それがわかるから観る者は彼らに共感する。

どうしたら島の人たちの生活を守れるのだろうか? そんな疑問を観る者に抱かせたまま、映画の舞台はスウェーデンへ飛ぶ。スウェーデンには自前で風力発電用の風車を持ち、エネルギーを自給している小さな自治体がある。大規模な発電所に頼らない持続可能な暮らし、それがここでは実現している。電気自動車、環境裁判所、電力自由化といったトピックに日本がこれから進むべき道についてのヒントが隠されている。

greenz/グリーンズ ミツバチの羽音:スウェーデン

鎌仲監督の前作に当たる『六ヶ所村ラプソディー』と比較すると、反対運動に肩入れする立場をさらに鮮明にしているように見える。生活の中から実感として生まれる「反対」の気持ちを描いているのは同じだが、今回はその気持ちに完全に寄り添い、彼らの言葉を代弁しているとさえ言える。純粋に映画として楽しむなら、直接的に訴えを伝えようとするのではなく、人々の言葉や表情から心情が伝わってくる『六ヶ所村ラプソディー』のほうが楽しめるような気はする。しかし、すでにほとんどの人があきらめの段階には入っている六ヶ所村と違い、この祝島は「まだ間に合う」という緊急性がある。だから、映画としての完成度よりも見ている人に気づかせ、行動に駆り立てることに重きが置かれたのかもしれない。

この映画を見ることは、今日本が抱えている上関原発という問題から日本の未来について考えることだ。私たちはどのような未来を望み、そのためにはこの問題にどう対処すればいいのか。幸福で持続可能な未来を目指すためにどのような選択をすべきなのか、この映画はエネルギーという切り口からそれを問う。

まず映画を見て、エネルギーと持続可能な未来について考えようではないか。

完成お披露目上映会開催決定!

greenz/グリーンズ ミツバチの羽音:ポスター

「持続可能な未来を求めて-映画上映と講演」
【日程】2010年5月28日(金・満月) 
【会場】聖心女子大学 (定員 300名)〒150-8938 東京都渋谷区広尾4-3-1 
【プログラム】開場14:00 上映15:00  トーク17:00  終了19:00
トークセッション:鎌仲監督、祝島よりゲスト 
司会:加藤久人(NPO法人懐かしい未来)
【主催】グループ現代/「ミツバチの羽音と地球の回転」制作プロジェクト
【協力】永田佳之研究室 NPO法人懐かしい未来 

「持続可能な未来を求めて-映画上映とミニトーク」
【日程】2010年6月4日(金) 、2010年6月5日(土)
【会場】四谷区民ホール(定員400名)〒 160-8581新宿区内藤町87番地 TEL:03-3351-2118
【プログラム】開場18:00 上映19:00 トーク 21:00 終了21:30 
(6/4、6/5ともに上映後、鎌仲監督ミニトーク)
【主催】グループ現代/「ミツバチの羽音と地球の回転」制作プロジェクト

前売チケットはチケットぴあ、グループ現代で発売中。
前売:1300円 当日1500円(大人、学生、シニア、障がい者)
中学生以下500円(前売、当日共通。前売チケットは1300円でご購入いただき、当日会場で差額分を払い戻します。)
席を必要としない子どもは無料です。託児有(要予約)。祝島物産、祝島写真展、書籍販売、DVD販売など。
※駐車スペースがございませんので、お車でのご来場はご遠慮下さい。

『ミツバチの羽音と地球の回転』を観に行こう!