マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ(Media Lab)の創設者ニコラス・ネグロポンテによって立ち上げられた「One Laptop per Child(OLPC)」は、発展途上国での子供の教育のために安価なラップトップPCを寄贈するというプロジェクトだ。その名のとおり「世界の子供たち一人ひとりに一台づつPCが行き渡るようにしよう」というビジョンが掲げられているのだが、これらの国々は電力インフラが乏しい地域も多く、PCを自由に使うための環境が必ずしも整っていない。そこで、インフラの有無を問わずどこの子供たちでも使えるよう、”自給自足型”に改造されたPCが登場した。
こちらがOLPCのアフガニスタンチーム(OLPC Afghanistan)が開発した”自給自足型”PC。長時間集中してPC操作を行いやすいよう、英Freeplay Energyの手巻き式発電技術を応用して足こぎ式のラップトップPCを開発した。以下の動画のとおり、足元のペダルで発電した動力でPCが作動する仕組みになっている。ちなみに、発電用のペダルは小学生でも動かせるように工夫されているそうだ。
この開発には、アフガニスタン政府やアフガニスタンのIT企業Paiwastoon、米国際開発庁(USAID)が設立した「Afghanistan Small and Medium Enterprise Development(ASMED)」も共同で取り組んだ。混乱が続くアフガニスタン国内だが、PCをより多くの教育現場に実装し、今後の経済発展に向けた新しい教育の推進につなげたいとしている。
アフガニスタンのみならず、この足こぎ式のPCは、より多くの地域において、PCを用いた教育の実施やオンラインコミュニケーションの拡充といった可能性を広げている。もちろん中長期的にみれば電力インフラが整備されることも解決策かもしれないが、このためには相応の時間とコストという別の課題をクリアすることが必要だ。むしろ、その地域ごとの実状に合った様々な形態のPCが増えることこそ「子供1人にPC1台」を実現する現実的な一歩だろう。今度は、どんな地域からどんなカタチのPCが生まれるだろう?人々の知恵と工夫が少しづつよりよい未来へつながる事例のひとつとして、今後もこのテーマを追っていきたい。
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