「西粟倉・森の学校」のウェブサイトは、一見どこかのセンスの良い会社のサイトかと見間違うほどだ。デザインにつられるがままにクリックして読んでゆくと、西粟倉という村が、村の良さや村が持つ森林という資源をアピールするために作られたウェブサイトだということがわかってくる。
西粟倉(にしあわくら)は、岡山県の山奥にある村だ。失礼ながら、今日まで名前も聞いたことがなかった。あやうく、西栗倉(にしくりくら)と読んでしまうところだったほど。
しかし、この森の学校の「西粟倉の家」、「森の学校プロダクト」、「森の学校カフェ空間」、「森の学校ショップ(現在準備中)」などのプロジェクトは、どれもこの土地の魅力をまっすぐに伝えていて、通常の「村おこし」という言葉が似合わないくらいコンセプトがしっかりしている。
ウェブサイトでは、西粟倉で行われるもりだくさんのイベントについても紹介されている。たとえば、「ヒノキの学習机を子どもと一緒に作る、木工ワークショップ」は、絶妙なイベントだ。子どもと親、または家族が一緒になって、世界にひとつしかない学習机を作る。基本形はデザイナーが準備してあるので、へんてこな机になる心配はない。しかも、その机は子どもがずっと使っていくもの。木を伐るところから経験するそうなので、当然思い入れもできるだろうし、そうしてできた机に向かう日々の勉強にも力がはいらないわけはない。ヒノキの学習机作りが、そのまま家族みんながハッピーになれる未来を作るイベントになる。
その他にも、1泊2日の秋の森林体験ツアー、はたまたカフェ空間での勉強会など、子どもから大人まで「西粟倉・森の学校」と関わり、森や木とふれあうためのさまざまな機会が用意されている。
こんな素敵な、ウェブサイトやイベントを誰が作っているのか?
スタッフ紹介をのぞくと、デザインや木工、リサイクル、森林のプロフェッショナルたちが紹介されている。人の力、デザインの力で、地域を、森を豊なものにしていくんだ、という強い意志が伝わってくるチーム編成だ。2009年10月から、「西粟倉・森の学校」は地域商社となり、今後もどんどん新しいことに取り組んでいくそうだ。
西粟倉の森で起こっていることは、管理に困っている日本中の森林にも参考になると思う。最後に、「西粟倉村100年の森林構想」を紹介して、跋(ばつ)としよう。近くを通ることがあれば、西粟倉の森に行ってみたい。そうして初めて、この西粟倉の魅力がわかるのだろう。
100年の森構想イメージ
現在、西粟倉村では「西粟倉村100年の森林構想」という企画が進行中です。
森は人が手入れを怠れば、木々の成長が悪くなり森としての価値を無くしてしまいます。そこで、村の約95%を占める森を今一度見直し、木々の価値を高め、子孫の代に「村の資源」となる立派な手入れをされた森(木々)を伝えていこうというプロジェクトです。
西粟倉の木を使ったデザインコンペに応募しよう!(11月30日まで)