国内に武力紛争を抱える国は2007年時点で31カ国、2003年の87カ国から大幅に減ったとはいえ、まだまだ少ないとはいえない。そのような武力紛争がいずれ大きな戦争へと発展し、多数の死者や難民を生んでしまう。そんな武力紛争が戦争へと発展するのを防ぐ努力をしているのが誰か知っているだろうか? それは国連でも当事国でも第三国でもない民間の人々なのだ。そんな人々を国際社会では“HIKESHI”と呼ぶ。もちろん日本語の“火消し”から派生したこの言葉、日本にもそんな“HIKESHI”がいて、さらにそれを支える「HIKESHIプロジェクト」がいよいよ正式にスタートすることになった。
この「HIKESHIプロジェクト」を進めるのは日本人HIKESHIである伊勢崎賢治さんとサステナ代表のマエキタミヤコさんを中心とするグループ。このプロジェクトの根幹にあるのは「“HIKESHI”と平和を広告すること」だ。マエキタさんが助教を務める東京外国語大学大学院の平和構築・紛争予防講座と有志クリエイターが協力して“ピースアド”を作成、そのピースアドによって“HIKESHI”を広め、紛争解決や平和構築を推進してゆこうという活動である。
この有志クリエイターは博報堂や電通という広告会社のクリエイターたちで、博報堂のチームを率いるのはHAKUHODO DESIGN社長の永井一史さん。“表現の寄付”という形で自らの専門知識を社会へと還元する。また彼らが協働する平和構築学ゼミには各国からの留学生が集まっており、彼らが自国に帰り、このプロジェクトを広めることで世界的なネットワーク化も期待できる。
そのピースアドの第1号として先日発表されたのが、300以上の異なる民族がそれぞれの言語で暮らす多様性の国インドネシアからの留学生アスカナ・ルイザ・グルシンハによる上記の作品。この作品は大きくピンクのハートが描かれたカードで、その中にRace(民族)、Religion(信仰)といった「誰かを排除したくなる要因」が書かれている。このカードはスクラッチできるようになっていて、「自分と相手のこの違いが許せない」キーワードがあればそれをスクラッチする。スクラッチする項目が多ければ多いほどハートは傷だらけになってしまうのだ。
キャッチコピーは
憎む理由が多いほど、ココロは虚しくなる。
というこの作品は平和を願うことがあなた自身のハートも守るのだというメッセージを強く訴える。これもアスカナさんが博報堂のクリエイターにアドバイスを受けて製作したもので、今後このようなピースアドが次々と発表される予定だ。
次のイベントは10/11に行われるトークショーで、ピースアド作品の展示も同時に行われる。さらに11/7にはトランペット奏者でもあるHIKESHI伊勢崎賢治さんによるジャズセッション、11/9~11/20にはピースアド展(期間中にトークショーあり)が行われる予定だ。
詳しくは10/1にオープンしたHIKESHI ウェブサイトをご覧ください。
場所:銀座アップルストア
時間:
13時~15時(3Fシアター) HIKESHI トークショー
15時~17時(5F) ピースアド作品展示
出演:永井一史、マエキタミヤコ他
11月9日(月)~11月20日(金) HIKESHI ピースアド展
場所:世界銀行情報センター(PIC東京)
11月9日(月)~11月20日(金)までの2週間 世界銀行情報センター1階ロビーにて展示
アクセス:
地下鉄三田線内幸町駅直結、日比谷線・千代田線・丸の内線霞ヶ関駅C3出口
開館時間:月~金 午前10時~午後6時(イベント開催時は午後8時まで)
休館日:土日・祝祭日および年末年始(臨時休館日あり)
*ピースアド展は文部科学省 大学院教育改革支援プログラム 東京外国語大学平和構築・紛争予防修士英語プログラムの一環です
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