この食器、いったい何でできていると思いますか?
紙?いいえ、答えはなんと野菜。オランダ人アーティスト・Geke Woutersが制作した野菜製の食べられる食器だ。「Edible Art」(食べられるアート)と名づけられたこの食器、なかなか奥深い。
「Edible Art」の材料は、ニンジン、トマト、リーキなどの野菜。生物分解性100%で、もちろん食べられる。薄くスライスした野菜を乾かし、形を整えて、型押することで、野菜がボウルやカップなどといった食器に生まれ変わるのだから不思議だ。野菜によって微妙に色彩が異なるため、この食器も同じものはふたつとない。また、天然素材でできているため、湿気に弱く、素材の色や形が変形しやすいなどという面もあるが、これもまたこの食器の独特な個性ともいえるだろう。
Vegetable Cups: Copyright(C)2009 Devio Design, All rights reserved.
「Edible Art」に取り組んでいるGeke Woutersは、蘭ズヴォレ(Zwolle)にある「ArtEZ Academy of Visual Arts」で3Dデザインを学んでいた。次第に、自然からの恵みを従来とは異なる形に作り変えてみたいと考えるようになり、天然の素材で製品をデザインする方法を研究するようになったそうだ。野菜を薄く切って乾かし、型押しするというプロセスは、食器だけでなく他の製品にも応用できる可能性があるという。実際、以下の画像のとおり、彼女の名刺は野菜製だ。
Vegetable Businesscard: Copyright(C)2009 Devio Design, All rights reserved.
同様の野菜製食器の制作には、米カリフォルニアのアーティスト・Margaret Dorfmanも取り組んでいる。季節ごとに旬な野菜を活用。新鮮な野菜を薄くスライスし、乾燥させ、紙くらいの厚さにしたものを形づけていくというプロセスで、10日ほどで完成するぞうだ。
Vegetable Plate: Copyright(C)2009 Gallery Store, All rights reserved.
化学添加物を一切使わずして、こんなにビビッドで美しく発色する姿を見ると、野菜本来の生命力を少し身近に感じることができるだろう。
Vegetable Plate: Copyright(C)2009 Gallery Store, All rights reserved.
日本でも、2005年の愛・地球博でトウモロコシ製の食器が使われたほか、抹茶を点てた後に食べることのできる「抹茶器・煎茶器」やライフデザイン社の乾パン製ボウル「Edible tableware」など、”食べられる食器”は一部で広がっているが、Gekeたちの野菜を使った食器は、従来の”食べられる食器”にさらなるバリエーションを与えるものだ。
また、農林水産省もようやく対策の検討を始めたが、現在、日本では、規格外野菜が大量に廃棄されているというなんともモッタイナイ実状が存在する。食器だけでなく、名刺など他の製品へこのノウハウを応用することで、規格外野菜活用への新たな可能性も広がるだろう。環境負荷の低い製品づくりの一方策として、また食糧廃棄物量削減の一法として、今後の展開に期待だ。
乾パン製ボウル「Edible Tableware」について調べる。
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