毎年、米テキサス州オースティンで開催されているマルチメディア国際会議「South by Southwest Conferences and Festivals」(以下「SXSW」・Twitterリンクはこちら)が、来年も3月12日~20日の日程で開催される。これに先立ち、SXSWではウェブサイト「SXSW 2010 PanelPicker」を通じて会議プログラムのコンテンツ候補を公開し、2009年9月7日までの間、ユーザ投票を募集した。インターネットを用い、プログラムの企画段階からユーザが参加できるというインタラクティブなこの国際会議について詳しくご紹介しよう。
SXSWは1987年から毎年開催されている国際会議だ。他の地域と交流が少ない地元オースティンのミュージシャンと世界の音楽業界とをつなぐ場を作ろうというのがきっかけで始まったこの会議は、1994年、映画部門とともにインタラクティブメディア部門が新設され、以下のプロモーション動画のとおり、マルチメディアとエンターテインメントを幅広く扱うユニークな国際会議へと発展してきた。2009年会議では、クリエイター・アーティスト・企業・ウェブ開発者・教育関係者・マスコミなど、多方面から3万人近くの参加者が集い、互いに交流し、アイデアを共有しあう場となったという。
マルチメディア創生期からこのテーマを扱ってきたSXSWは、ネットワークを活用した新しい仕掛けにも積極的に取り組んでいる。その代表例が、2006年から導入された、ユーザがプログラムのコンテンツ候補を選ぶというPanelPickerだ。2010年会議に向けた「SXSW 2010 PanelPicker」では、インタラクティブ部門・映画部門・音楽部門の3部門でコンテンツ案が公開されているが、中でもインタラクティブ部門に関する企画総数は2299本。ソーシャルメディアが消費者行動に与える影響について論じる「Socialnomics」や政治とソーシャルメディアの関係をとりあげた「Government 2.0」、ソーシャルメディア時代の新しい報道メディアについて議論する「News 2.0」など、ソーシャルメディアと社会・経済との新しいあり方を参加者とともに考える企画も多く提案されている。
マルチメディアやインタラクティブコミュニケーションに関する会議・イベントは近年、世界各地で開催されているが、SXSWの特徴は、技術面だけでなく、音楽・映画といったエンターテインメントの観点からも新しいメディアのあり方を掘り下げて採りあげている点だ。また、PanelPickerのように、会議のコンテンツ決定プロセスに一般ユーザを参加させるという、新しい”インタラクティブ”性を追求しているのも特徴的といえよう。残念ながら「SXSW 2010 PanelPicker」のユーザ投票は2009年9月7日に締め切られてしまったが、現在も各企画案の概要を閲覧することは可能だ。コンテンツ候補をざっとチェックし、これからのメディアの方向性を少し垣間見てみよう。
「SXSW 2010 PanelPicker」インタラクティブ部門のコンテンツ候補をチェックする。