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水だけで時速300km!100年ぶりの記録更新を狙うすごいクルマ

提供:The British Steam Car Challenge

提供:The British Steam Car Challenge

水を動力源にして時速300kmで進む車!といっても最新の燃料電池車の話ではありません。それはなんと蒸気自動車! 蒸気自動車はその名の通り蒸気で動く車、蒸気機関車の仕組みを車に応用したものです。そんな変わった車での世界最高速記録に挑む男たちがイギリスにいるんです!しかも破ろうとしている記録が100年以上前のものだというからびっくり!

蒸気自動車の世界最高速記録時速203kmに挑むのはイギリスの“British Steam Car Challenge”というチーム。彼らは1999年から開発を始め、400度の高圧蒸気でタービンを回す蒸気自動車を開発、時速約100kmのテスト走行には成功していよいよ1906年に打ちたれられた世界記録に挑もうというのだ。

この“British Steam Car Challenge”ははじめからこの蒸気自動車による世界最高速記録を更新するために計画されたという。イギリス人が記録好きなのは有名な話だが(なんといってもギネスブック発祥の地だ)、どうしてそんな記録のために大の大人が一生懸命になってしまうのか…

蒸気自動車が発明されたのは1769年とされ、ガソリン車はもちろん蒸気機関車や蒸気船よりもその歴史は古い。19世紀はじめにはイギリスで実用化されたが乗合馬車業者の抵抗や安全性・公害の問題などにより普及するには至らなかった。しかし19世紀の末、今度はアメリカで発展を遂げ、1906年には時速203kmの速度記録を達成、当時の自動車(ガソリン車を含む)の最高速であり、この記録が蒸気自動車の最高速記録として今も残っているのだ。

greenz/グリーンズ stanley steamer
1903年、記録に挑む準備中のスタンレースチーマー
Photo from Wikipedia Commons.

今回“British Steam Car Challenge”が開発した車と比べると1906年当時の蒸気自動車はなんともスリムでシンプルだ。記録が破れるかどうかよりもこの100年前の車のほうに私は興味を覚えてしまう。

蒸気自動車は汚染物質の排出が少なく、エコカーといえなくもないわけだが、水を水蒸気にするためにはもちろん燃料がいるのでこれに化石燃料を使っている限りエコカーとしての意味はあまりなさそうだ。しかし、その燃料を再生可能エネルギーにし、そのシステムを100年前のシンプルなフォルムの中に詰め込めれば…。

この“British Steam Car Challenge”の挑戦ははたから見れば無駄なことに見えるかもしれない。しかし、こういう無意味なことからインスピレーションが生まれて大発明にいたることだってないわけではない。特にこの記録への挑戦によって100年ぶりに日の目を見ることになった蒸気自動車という発想はサステナブルな未来へのヒントになってくるかも(?)

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