世界最小の主権国家といえば、イタリア首都ローマにあるバチカン市国。東京ディズニーランドよりも小さなこの国が、欧州最大規模の太陽光発電施設の建設計画を発表し、世界初のゼロエミッション国家への大きな一歩を踏み出した。5億ユーロ(約650億円)規模にのぼるこのビッグな国家プロジェクトについて詳しくみていこう。
現在、バチカン市国では、2014年までの稼働開始を目指し、ローマ北部の「Santa Maria di Galeria(サンタ・マリア・ディ・ガレリア)」に740エーカー(約3平方キロメートル)の太陽光発電施設を建設するプロジェクトを進めている。太陽光発電施設としては欧州最大規模で、想定発電能力は市国全体の必要電力の約6倍に相当する100メガワット。余剰電力はイタリアなど周辺国へ輸出することも視野に入れている。
現ローマ教皇ベネディクト16世(Benedictus XVI)は、就任以来、地球環境保護に積極的に取り組んできた。信者に対して環境保護の必要性を説くだけでなく、市国内の施設におけるソーラー化を進め、2008年11月末には、ドイツの太陽電池パネルの製造メーカーSolar World(ソーラーワールド)の協力を得て、「Nervi Hall(ネルヴィ宮)」の屋根に大規模な太陽光発電システムを設置した。
以下の動画では、バチカン市国で初めて太陽光パネルが設置される様子を伝えている。
これまで環境先進国といわれた欧州各国では、2008年秋以降の金融危機の影響を受け、環境分野への投資が伸び悩んでいる。EU(欧州連合)では、加盟国の温暖化ガス排出量を2020年までに1990年比で最低20%削減するという目標を掲げているが、現時点では達成困難な状況だ。これらの国々とは対照的に、豊富な財力を活かし、太陽光という再生可能エネルギーへのシフトを着々と進めているバチカン市国は、今後、欧州のクリーンエネルギー化における「台風の目」となるかもしれない。
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