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ゴミは国を映す鏡?!新たな国際経済指標のダークホース「GNT(国民総ゴミ量)」

Trash: Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by lauren !!

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国の豊かさとは、いったい何だろう?

従来、国の経済規模を比較する指標には、生産された商品やサービスの付加価値の総計を表す「GNP(国民総生産)」や「GDP(国内総生産)」が広く使われてきた。しかし、気候変動や環境破壊が進み、持続可能な社会づくりが急務となっている現代において、「どれだけモノを作ったか?」という基準だけで国の豊かさを測るのは、やや一面的かもしれない。
そこで、新たな国際指標の概念「GNT(国民総ゴミ量)」が提唱されはじめた。この指標が示すものについて考えてみよう。

「GNT」は「Gross National Trash」の略称で、国全体で排出された廃棄物量を意味する。1992年「U.S. Environmental Protection Agency(アメリカ環境保護庁・EPA)」が、米テネシー大学の「Center for Industrial Services」の会議で初めて発表したもので、持続可能なビジネスの分野で20年以上のキャリアを持つ米環境ビジネスメディア「Greener World Media」の創業者Joel Makower も提唱する考え方だ。

廃棄物は、エネルギー・大気・水に影響を与え、温暖化ガスの排出により気候変動にも影響する。これらはいずれも人の健康や富に密接に関係しているもので、この意味で、「GNT」は、「GNP」や「GDP」とは異なる角度から国の豊かさを表しているといえる。

また、「GNT」は、持続可能な経済活動における有効な指標のひとつでもある。なぜなら、このような経済活動は「生産から消費へ」という一方向なものでなく、回収・再利用・再生のプロセスが介在することで、循環する仕組みとなるからだ。単に「どれだけモノを作ったか?」というだけでなく、「その生産のためにどれだけのものを排出したのか?」など、経済活動を複合的に捉えることが不可欠となり、「GNT」はその一助となる。

さらには、「GNT」が国の廃棄物量を定量的に示し、世の中がこれに目を向けるようになることで、廃棄物に関する新しいビジネスの創出やその発展にもつながるかもしれない。たとえば、以下の動画のとおり、米企業「Waste Management」は、企業・地方自治体への廃棄物管理のノウハウ提供や業務のアウトソーシング受託、消費者向けのリサイクル製品の販売など、廃棄物関連事業を次々と拡大している。今後も、多くの企業が、この分野の技術開発を進めたり、新規事業に展開していくとみられる。

「GNT」は、私たちに「豊かさとは何か?」を根本から見直すきっかけを与え、企業・消費者・社会が一丸となって持続可能な経済の仕組みづくりに向かうためのマイルストーンになりうる。まだマイナーなこの指標だが、次世代の経済指標のひとつとして、今後その役割がますます広がると期待される。

もうひとつの国際指標「GNH(国内総幸福量)」第1位のブータンの様子を動画で観る!

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