この写真は、モンゴルのパオ。骨組は木でできており、布でカバーされたシンプルな居住空間だ。では、廃材を利用してこういうものを作ってみたらどうなるだろう?
弱冠12歳のアメリカ少年がこれを実現した。マックス君(Max Wallack)は、発泡スチロールなどの廃材で、パオを模した「ホームドーム」を開発し、米メディア・WGBHの子供向け番組「Design Squad」の「ゴミをお宝化コンテスト」(Design Squad Trash to Treasure competition)で最優秀賞を獲得したのだ。環境保護と社会貢献を同時に実現したこの画期的なドームについて、詳しくみてみよう。
百聞は一見にしかず。
まずは、「ホームドーム」の仕組みを、こちらの動画でどうぞ。
ワイヤー、発泡スチロール、プラスチックなどの廃材でできたこの簡易シェルターは、軽い素材ながら丈夫で、保温性もバッチリ。ベッドまで備え付けられている。
そもそも「ホームドーム」が生まれるきっかけは、6年前、National Science Teacher’s Associationの発明コンテストで優勝したマックス君が、賞品のシカゴ旅行で、多くのホームレスに出会ったことだった。
シカゴには、道や地下にホームレスの人がたくさんいて、本当にかわいそうだなと思いました。彼らをなんとか助けたいと思って、いろいろ考えたんです。そこで、簡単に組み立てられるシェルターを思いつきました。ホームレスの人たちや難民、災害に遭った人に役立ってほしいです。
マックス君の作品は1000通の応募作品の中から選ばれたもの。廃材を活用しているという点で環境負荷軽減に役立つのはもちろん、画期的な発想とデザインで社会貢献につなげている点が高く評価された。
本コンテストのスポンサーでIntelの社会貢献活動財団「Intel Foundation」の会長・Brenda Musilliは、マックス君の作品にこうコメントしている。
「ホームドーム」はイノベーションの精神に溢れていますね。技術でどう世界を変えるのかもきちんと示されていて、素晴らしいと思います。
ホームレスや難民・被災者の人々に役立てようと、緊急シェルターを想定して創り出された「ドームホーム」は、マックス君の思いやりの心が独自の発想とデザインでカタチづくられたもの。12歳の少年が社会貢献と環境保護という二大命題をサラリと解決している事実はまさしくアッパレだ。同時に、社会をよいよい方向に変える力を持つ技術やデザインの偉大さにも、改めて気づかされる。
greenz記事「安全・安心・快適…ワクワク未来な家、ドームハウス」を読む!
八丈島のドームハウスに行ってみる!
「Design Squad」のビデオをオンラインで観る!