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さる2月3日、企業のトップ、起業家、アーティスト、芸能人、研究者、さらには億万長者までもが、米国のビッグ・ネームたちが、カリフォルニア州南部の港町ロングビーチに集合した。ナット・キング・コールやキャメロン・ディアスをはじめとする多数の有名人を選出してきたこの町で、一体何が行われたのか?
ビッグ・ネームたちを呼び寄せたのは、TED(テクノロジー、エンターテイメント、デザイン)会議。世界への理解を深めることでより良い未来を築きたいと願う人々から成るグローバル・コミュニティづくりを進めているTEDが主催する毎年恒例イベントだ。
今年のTED会議のテーマは『The Great Unveiling』(素晴らしい除幕)。設立25周年を迎えたTEDの「まだまだ進化するぞ!」という前向きな姿勢が伝わってくる。
会場では、4日間にわたり、科学、ビジネス、アート、文化、環境などの分野で活躍する50人が、自分たちのアイデア、発明、イノベーション、新しい試み、そして夢やビジョンについて語った。会議名にエンターテイメントという言葉が入っているだけあって、プレゼンの合間には、喜劇やダンスや音楽などの余興も繰り広げられた。
なんと1000人以上が参加したこの会議には、大規模な会議にはお馴染みの分科会が1セッションもない。参加者全員にすべてを共有してほしい、という開催者の願いが込められているのだ。
It shouldn’t work, but it does. It works because all of knowledge is connected. Every so often it makes sense to emerge from the trenches we dig for a living, and ascend to a 30,000-foot view, where we see, to our astonishment, an intricately interconnected whole.
(うまくいくはずがない。でもそれはうまくいく。すべての知識はつながり合っているからだ。ときには、生活していくために掘り続けている堀の中から、三万フィートの高さまで舞い上がってみる。そうすると、驚くべきことに、複雑にからみあっている全貌が見えてくるものだ。)
TED会議のスゴイところは、共有の場にとどまらないところ。
せっかくアメリカを代表する(そして金銭的にも余裕のある)ビジネスマン、文化人、科学者たちが集まっているのだから、とでもいうように、毎年3人に、豪華な賞が贈られる。その名も、TED賞。
TED賞の受賞者には、10万ドル(約980万円)の賞金が贈られる。でも本当に豪華なのは、もう1つの特典。それは、TED会議で「世界を変えるための1つの願い」を発表し、そこに集まった各界の主導者たちに支援を募る機会。TEDコミュニティの一員ではない私たちでも、TED賞の公式ウェブサイトにアクセスして、支援したい受賞者の写真の下にある“Offer Help”ボタンを押せば、サポーターに登録できる。
TED賞受賞者の紹介ページにある”Offer Help”ボタンを押すとサポーター登録できる
”Offer Help”ボタンを押すとポップアップするサポーター登録ページ
ここで 今年の受賞者の紹介をしよう。
まずは、1992年にDOERという海洋コンサルティング・ファームを設立したSylvia Earle。海洋学者、冒険家、作家、講師などの顔を持ち、”Living Legend” (生きた伝説)と呼ばれている彼女の「1つの願い」は、海洋保護地区のグローバルネットワーク形成による海洋環境の復元。
美しい海の映像をバックに海洋資源の大切さを訴えるSylvia Earleの受賞スピーチ
お次は、「世界中の人々に宇宙人さがしに積極的に携わってほしい」という天文学者らしいお願いをしたJill Tarter 。彼女はSETI(Search for Extraterrestrial Intelligence)研究所のディレクター。つまり、宇宙人探しに特化した研究所における宇宙人探しエクスパートだ。
“Are we alone?”という質問から始まるインスピレーションにあふれたJill Tarterの受賞スピーチ
そして3人目は、ベネズエラで青少年オーケストラを多数運営するEi Sistemaの創立者である音楽家José Abreu。音楽をとおして人々や社会の変革を促してきた社会改革者だ。そんな彼の「1つの願い」は、芸術と社会正義に対して情熱を持つ才能ある音楽家に特別なトレーニングを実施し、その模様を記録すること。
「人は音楽を奏でた瞬間から貧困から抜け出す」と熱く語るJosé Abreuの受賞スピーチ
全く異なる分野で、どちらかというとあまり注目されにくい活動をしている3人の受賞者。けっして華々しくはないけど、「素晴らしい除幕」というテーマには合っているような気がする。
来年度TED会議のテーマは、『What the world needs now』(いま世界が求めるもの)。今度はどんな「1つの願い」が発表されるのか、楽しみだ。
>ワクワク感満点のTED会議のスライドショーを見て、インスピレーションをもらう
来年2月9日から13日にかけて開催されるTED会議の内容をチェックする
歴代TED賞受賞者の「1つの願い」のサポーターになって、ビッグ・ネームぞろいのTEDコミュニティーの一員になる