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自転車も「所有」から「共有」の時代へ。カナダの新しいバイクシェアリングサービス「BIXI」

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by David Ascher

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クルマを多数の人で共同利用するカーシェアリングは、スイス・ドイツなど、ヨーロッパを中心に普及が進み、自動車は「所有」から「共有」の時代に移行しつつあるともいわれる。

では、自転車どうだろう? カーシェアリングの自転車版・バイクシェアリングというサービスが世界の都市部を中心に徐々に広がっている。北米でも、2009年4月からカナダ・モントリオールのバイクシェアリングサービス「BIXI」がスタート。自転車も「所有」から「共有」へシフトの兆しが見える?

2009年4月からカナダ・モントリオールでスタートする公共バイクシェアリングサービス「BIXI」の利用方法はとてもシンプルだ。

1. 最寄のステーションに立ち寄り、自動支払機で自転車の利用料を支払う。
2. 利用料が支払われると、自転車台のロックが解除され、自転車を使うことができる。
3. 使い終わったら、市内300箇所あるステーションに返却する。ステーションのどこででも返却OK。

また、自転車にはID情報を無線通信する「RFIDタグ」が装着されており、利用者は「BIXI」のウェブサイト上で、空いている自転車をリアルタイムで探すことができる。年会費は78カナダドル(約5,800円)、月額では24カナダドル(約1,800円)。モントリオールの1ヶ月バス定期66.25ドル(約4,900円)と比べても安価だ。

「BIXI」は、バイクシェアリングサービスに使用する自転車やステーションの設備にも様々な配慮を行っている。自転車は、モントリオール大学(Université de Montréal )の産業デザイン学科・准教授Michel Dallaire氏が設計したもの。耐久性が高いため、故障が少なく、長く使うことができる。また、ステーションの自動支払機は太陽光で運用。消費エネルギーの削減に役立つのはもちろんのこと、ステーション設置時に電気工事を行う必要がないという利点もある。

では、「BIXI」の実施トライアルの様子を以下の動画でどうぞ。

バイクシェアリングは、パリやバルセロナ、リヨン、ローマなど、ヨーロッパ各地で既に導入されている。2007年に開始したパリのバイクシェアリングサービス「Velib」はセルフスタンド式で24時間365日営業。仏・屋外広告会社「JCDecaux」によると、「Velib」スタート後1年間で、パリ市内に2万箇所以上のステーションが設置され、延べ2750万人が利用したという。また、北米では、米国・デンバーでは、2009年夏「B-cycle」というバイクシェアリングサービスがスタートする予定だ。

日本ではまだ馴染みの薄いバイクシェアリング。しかし、この考え方を活用した都市型レンタサイクルは実は日本でも一部で導入されているのだ。JR西日本が運営する「駅リンくん」は駅前の放置自転車対策として生まれたサービス。月額2300円で自転車をレンタルできるもので、JR西日本によると、京阪神の17箇所で1日5000人以上の利用があるという。

日本も、世界の他の都市と同様、大気汚染などの環境問題のみならず、都市部を中心に交通渋滞が深刻な問題となって久しい。バイクシェアリングはこの問題に対する解のひとつになるのではないだろうか。

もちろん、バイクシェアリングを日本で浸透させるには、いくつか克服すべき課題がある。まずは、道路事情。日本では、自転車専用レーンが設置されている道路はまだ少なく、自転車が安全に走れる環境がまだ十分とはいえない。また、ステーションの設置のための敷地を確保するのも容易ではないだろう。しかしだからこそ、これらの課題をクリアするために、画期的な自転車インフラの整備を政府が進んでやっていくべきだと思う。

バイクシェアリングという、環境に優しく、安くて便利な交通手段が新たにできることはこれからの時代に望ましいこと。バイクシェアリングの動向を今後も見守りたい。

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