夜空に突如浮かび上がる緑色の光線。煙突から出る煙の輪郭をなぞるようにうねうねと動き回る。空中に浮かぶ謎の物体か!?
First 30 seconds of Green Cloud goes online from HeHe on Vimeo.
実はこれ、芸術作品なのだ。その名も「Nuage Vert」、緑の雲という意味で、2008年2月22日から29日にかけて、「HeHe」 (Helen Evans & Heiko Hansen)というフランスのアーティスト・コンビが行った環境アート。
煙突は、フィンランドはヘルシンキにあるサルミサーリ石炭火力発電所のものだ。この発電所は、地域の電力だけでなく、発電の際に生ずる熱を使って温水を供給している。
緑の光の大きさは、地域の電力使用量にあわせて変化する。電力の使用状況は発電所からリアルタイムに提供されていて、電力を多く使用すると光の輪が小さくなり、電力を節約すればするほど光の輪が大きくなる仕組みだ。
Image from Nuage Vert Blog
地域の住民には電力使用を節約したり、使っていない電気製品のコンセントを抜いたりするよう予め呼び掛けている。住民は、キャンバスとなった煙に投じられる光を見て楽しんだり、光の変化から電気の使用状況を読み解いたりするわけだ。環境運動に楽しんで参加しているつもりの住民だが、実は住民が見ているものこそが環境汚染の象徴だということや、普段何気なく使っているエネルギーも発電所が動いてこそのものだ、という当たり前の事実に気付くことで、そこから何かを感じてほしい、というのがアーティストの狙いのようだ。
アーティストが環境問題の方面に活躍の場を増やすことによってできることは、まだまだありそうだ。
火力発電所の仕組みについて勉強してみる
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