太陽光発電は家庭用に最も普及しているグリーン発電システムだということはご存知のことだろう。でもこの家庭用太陽光発電で発電した電力が電気を供給するシステムのために何割か失われてしまっていることはご存じないかもしれない。今回、東北大学とNECトーキンや住友商事,積水ハウスなどはその供給システムを効率化する実証実験に成功した。そのキーワードは直流給電。理科で習った直流と交流の直流である。
家庭に供給される電力は基本的に交流の電気である。これに対して太陽光発電システムで発電される電気は直流。そのため発電された電気はいったん交流に変換され、家庭内に送電される。しかし、実際に家電などで使用される場合ACアダプタなどによって再び直流に変換されて使用されることが多い。そして、この2回の変換によって20%以上の電力が失われてしまうのだ。
このロスをなくすために東北電力などは直流給電システムを利用した。直流給電システム自体は一般的なもので、現在省エネの観点から各方面で注目を集める技術でもある。特にデータセンターなど大量の電力を使用する施設では実際に導入される事例も増えてきているという。
今回の実証実験ではこの直流給電システムを太陽光発電と組み合わせ、より効率のよいグリーン電力システムを構築したというわけだ。東北大学の研究チームによれば,1kW程度の太陽電池パネルを使い,家電を直流給電に対応させることで,家庭内のCO2排出量を約40%削減できるという。技術や資源の限界から、劇的なCO2排出量削減が難しいいま、こういった細かな技術開発が重要になっているように思える。
直流給電、あまり耳慣れない言葉だが、新たなエコのキーワードとしてぜひ記憶にとどめておいて欲しい。