石油の代替エネルギーとして、今や注目の的となっているエタノール燃料。自宅でこのエタノールを手軽に作れてしまうという画期的なマシンが、アメリカで話題を呼んでいる。ポップなグリーンにデザインされたこちらの機械、その実力はいかに?
アメリカのEFuel社から発売された「EFuel100 MicroFueler」。このマシンで作ったエタノールは、セルフ式スタンドのように車に簡単に給油できる構造になっている。材料は砂糖、イースト菌、水。家庭の食卓にあるこれらの材料から、エタノールを作ってしまうアイデアは画期的だ。
砂糖4.5~6.4キロからできるエタノールは1ガロン(=約3.8リットル)。砂糖が随分大量だと感じるかもしれないが、飲み残しのビールやワイン、蒸留酒なども材料として利用できるというので、バーや居酒屋で利用すると効率よく燃料に変えることができるのかもしれない。
価格は9,995ドル。E-Fuel社のホームページから注文が可能だ。これを高いと感じるか安いと感じるかは、意見が分かれるところだろう。ただ、バイオエタノールのネックがガソリンに比べて製造コストがかかることだということを考えると、この機械導入によるメリットは大きいのかもしれない。
政府の優遇政策などの後押しもあり、エタノール生産が加速するアメリカ。家庭でも精製できるとなれば、ガソリンの代替燃料としての利用をさらに後押しすることになりそうだが、肝心のエタノール対応車はどこまで普及しているのだろうか。
エタノールでもガソリンでも走る「フレックス燃料車」は、ブラジルで普及浸透していることで有名。トヨタや三菱自動車など日本のメーカーも、昨年よりフレックス燃料車を生産し、ブラジルで発売している。ガソリンでもエタノールでも、そして混ぜて給油したとしても走行可能なエンジンを持っている優れものだ。
アメリカでは「E10」と呼ばれるエタノールが10%混合している燃料の対応が標準的で、多くのガソリンスタンドでE10が給油できる。フォードやVolvoなど有名メーカーが「E85」(85%エタノールの燃料)対応車を次々に発売し、一見普及してきているようにみえるが、実際は燃費の悪さなどから足踏み状態だという事実も伝えられている。
100 MicroFuelerのような家庭用マシンが、エタノールの普及の後押しになるか。注目が集まる商品であることには間違いないだろう。