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インタビュー:テラ・ルネッサンス理事長 鬼丸昌也氏 (前編) 「 誰にでも未来を作るチャンスはある」

NGO「テラ・ルネッサンス」を設立した鬼丸昌也さん

NGO「テラ・ルネッサンス」を設立した鬼丸昌也さん


2001年10月、大学4年生という若さでNGO「テラ・ルネッサンス」を設立した鬼丸昌也さん。現在、カンボジアの地雷被害、ウガンダの子ども兵士たちの支援事業をするかたわら、講演、ワークショップを精力的に行っている。NGOの設立から7年。過去と現在の彼が見つめてきた未来のビジョンと夢について語ってもらった。

──鬼丸さんは日本中のさまざまな場所で講演を行っていらっしゃいますが、どんなビジョンを持ってお話されているのでしょうか?

「まずは、僕が運営しているテラ・ルネッサンスの名前の由来を知ってほしいのですが、テラがラテン語で「地球」、ルネッサンスが英語で「再生、復興」という意味があります。テラ・ルネッサンスというコトバには「よみがえる・蘇生する」という意味が込められています。

どんな人にでも誰にでも、平和を願ったり、平和な社会に生きていたり、好きな人と暮らしたりしたいということだったり、それぞれの想いをきちんと交換したりする「願い」があると思うんです。ただ日常生活の中で忙しさが覆いかぶさってしまってそれを思い出せないだけ。忘れているだけなんです。だから僕たちは、地雷問題や子ども兵などの課題を通じて心を喚起して掘り起こすことによって思い出すきっかけを与えられればいいと思っています。そうすればもともと人には平和を願う気持ちがあるのだから、おのずと世界が平和になっていくんじゃないかと。この想いはずっと心の中にありましたね。

僕は、大学時代にカンボジアに行ったことによって、地雷問題という世界的な問題を本や、データではなく、リアリティを持って感じることができたんです。しかし、その当時、ただの学生だった僕は初めは何もできないだろうと思っていました。大きな課題も小さな課題も個人的でも世界的でも人はできないことにフォーカスして物事を遠ざけようとしてしまうことがあります。でも、できることに気持ちをフォーカスすることが大事なんだと気づくと、何をすればいいのかが自然と見えてくるんです。僕の場合、それは伝えること。これなら僕にでもできるんじゃないかと思ったのです」

greenz/グリーンズ 講演

──講演するといっても初めは緊張したりしなかったんですか?

「何も知らない大学生が単に平和とか言ってもリアリティがないですよね。でも僕が語る地雷という1つの兵器が持つ事実は大人も経験がない人も誰にも否定ができないこと。それをそっくりそのまま伝えればいいんだという気持ちに気づいたので講演をしてみようと思ったんです。それさえやれば、講演を聞いてくれた人たちが気づきを持って行動し、全ての生きものが安心して暮らせる社会を実践できるだろうと。これが僕の2001年の気づきです。かっこよくいうと(笑)。それがあったので、伝えることに躊躇はありませんでした。そこには恥ずかしいという思いもありませんでしたね。

いつも講演では2つのことを念頭に話すようにしています。1つ目は地雷問題や子ども兵についての事実、現実を知っておいてもらいたいということ。事実を「知らない」ということによって大きな罪を無意識に犯すという可能性があります。例えば、児童労働をしている会社の商品を買えば、その企業の行動を応援しているのも同じだといえますよね。想いも大事なんだけど、その想いを再現できる仕組みを企業やメディアが作らないといけないと思います。行動から意識が変わるということはたくさんあるんです。2つ目は「どんな人でもできることがあるんだ」ということ。講演は支援をしてもらうことを目的にしている訳ではありません。僕の講演から「誰にでも未来を作るチャンスがあるということ」に気づいてもらえればと思っています。みんなチャンスがないだけで、きっかけさえあれば絶対に変化できますから。僕は実際に事例を見てきましたし、確実に変わることができますよ」

──そのチャンスというのは外から与えられるものなのですか?

「タイミングはふさわしいときにやってきます。ただあまりにも日本社会は、ネガティブな情報が多すぎて、どうアクションすればいいのかという情報が不足していると感じています。地雷は子ども兵についてもネガティブな情報であることは間違いないとは思うんですが、人間って事実を聞いただけじゃ動かないんです。ネガティブであればあるほど自分と切り離すんです。つらいから。でも、事実に関するショックと感動があると人は動く。僕らはそんな風に人にアクションを起こすきっかけを与えていきたいのです。

今の市民団体のほとんどが、結果としてネガティブな面での事実を教えることが多くなっていると思うんです。その上、僕を含めて、多くの市民は何も知らないし、知らないから考えることもできない。けれども、それは情報の受け取り側の問題ではなく、発信側の問題なんです。 人がどう動くのかということを発信側はもっと研究しなければならないと思います。事実と感動がセットになるような講演をしたり、本やメルマガなどを使ったりとこちらの情報を受け取りやすいように。そして、課題が解決した先にある未来のビジョンを伝えていかなければいけません」

──21歳で起業して現在まで、信念を持ってあきらめずに進めることができるのは1つの「強さ」ですよね。自分ではその強さはどこから来ていると思いますか?

「もし、僕が強いのならそれは、弱さをいっぱい抱えている中で自分の弱さを認識できているというところなのかな。自分が知らない一面は自分はたくさんあるだろうし、全部を知ることはできないけれど、現実的に弱いところはしっかり認識していると思います。弱さを知っていると、弱さを克服するそこをがんばることも、自分の強みをさらにのばすこともできるから」(後半に続く)

プロフィール:

greenz/グリーンズ こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した

鬼丸昌也(おにまるまさや) 1979年、福岡県生れ。 高校在学中にアリヤラトネ博士(スリランカの農村開発指導者)と出逢い、『すべての人に未来を造りだす力がある』と教えられる。2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の悲惨さと、地雷を通じて見えてくる世界の諸問題の原因を知り、このことを多くの人に伝えるための講演活動を始める。2001年10月にNPO「テラ・ルネッサンス」設立。現在、テラ・ルネッサンス代表。講演をはじめ、カンボジアの地雷被害、ウガンダの子ども兵問題などの支援事業、ワークショップなど幅広い分野で活動中。2005年11月「ぼくは13歳 職業、兵士。」を上辞。近著は2008年5月10日に出版された「こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した」。鬼丸氏が21歳に起業してから現在までの軌跡をたどる。